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「有機フッ素系機能材料 撥水、耐熱、光学性、液晶など その1」

有機フッ素材料に関して、昨日の記事に続き記してみたいと思います。

フッ素系液晶材料

ポリマーとか高分子、樹脂と言われるような材料ではなく、医薬にも似たいわゆる低分子の有機フッ素材料として有名なのは、液晶テレビなどに使用されている。フッ素系液晶材料です。

皆さんの家に液晶テレビがあるとすれば、その液晶材料として使用されているのは間違いなく、フッ素系液晶材料です。

電界に対して、配向状態を変化させ、その変化を光学シャッターとして一つ一つの画素に使ったものが液晶ディスプレイですが、
そのシャッターのスイッチング材料として液晶材料が使われているわけです。
20年以上前から、液晶テレビが上市されて、その液晶に電界信号を与えるのに一つ一つの画素にトランジスタを作り込んでいる液晶素子ですが、その与えた電界に対して、速く、再現性良く、繰り返しスイッチングすることが液晶材料には求められます。
この速く、再現性良く、繰り返しということを最も性能良く実現する液晶材料が、フッ素系の液晶材料なのです。
そのために、今全ての液晶テレビに、フッ素系の液晶材料が使用されているいるわけです。
特に、この速く、再現性良く、繰り返しという三つの性能は、フッ素材料のイオン性不純物を含みにくく、分子間相互作用が小さいという特異な特徴が活きたものでフッ素材料にしか実現できないといえるものです。

私の20年以上前の液晶材料開発経験

実は、私もこの液晶素子に使われる液晶材料の開発を、20年以上前ですが、行っていました。
私の取り組んでいた液晶材料は今世の中で使われている液晶素子とは方式の異なる、つまり淘汰された特異な技術だったのですが、結構面白い物性や特性を持った材料でそれがデバイスにするときの特徴にもなっていました。

この液晶材料は、パーフロオロポリエーテルという構造を持っていてそのため、液晶構造の温度依存性に特異な挙動をするために、フッ素を持たない液晶材料に比べて極めて美しい三次元構造を発現するものでした。そして先述した他のフッ素系液晶材料がもつ、イオン性不純物を含みにくく分子間相互作用が小さいという特徴も十分に理解することができました。
私は、この挙動をとても興味深く思いながら、開発にそれこそ命がけで皆と一緒になって取り組んでいたのですが、残念ながら多勢に無勢と言いますか、結局技術競争に勝つことができず、残念ながら開発を断念せざるを得ませんでした。

しかし、一方で、フッ素系の材料の持つ特徴を骨身に沁みて理解できたということ、技術開発は成功しないと意味のないことを骨の髄まで学ぶことができたことが、後日取り組んだ技術開発に活きることになりました。

以上のフッ素液晶材料の特徴は他の分野への応用でも大きな特徴となっている

以上の特徴というのは、他の分野で有機フッ素材料が使われるときも同様に大きな作用を発揮し、いろんな形で効果、便宜を使うものに提供しています。
是非、そういう目で有機フッ素材料を見ていただけるとよくわかることがあるのではないかと思います。


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