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追伸/「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」(文芸春秋)エマニュエル・トッド著、堀茂樹訳 ”我々にとっての最重要課題=日本の人口減少について”

昨日記事にした、「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」(文芸春秋)エマニュエル・トッド著、堀茂樹訳 だが、我々にとっての最も重要な課題が突きつけられている。

親日家トッド

エマニュエル・トッドは、日本についての記述にかなりの紙数を費やしてくれている。真摯に日本のことを考えてくれているようだ。それは、これまでの彼がその発言によって、自分の国フランスをはじめとしたヨーロッパ、米国で大きな批判と非難にさらされていたとき、日本が彼の発言に理解を示してきたことが有るようである。

その日本に対し、人口減少、つまり出生率の大きな減少を憂いてくれている。移民を受け入れずにこのままで推移すれば日本は衰滅していくだろうとの趣旨の発言もどこかで見た。
近年、私は敢て読んでいないが、

上記のように日本のために斯様な著作までしている。

出生率の低減

この問題こそが日本にとって最も重要な課題。
過早な決断で、日本文明自体を棄損してしまえば後世に取り返しのつかないことになってしまう。
熟慮に熟慮を重ねて、最善、最適切な打ち手が必要なのだと思う。

出生率の低減自体は、先進国ではどこの国も一様に起きている現象。
初等教育の普及に続いて、中等教育までは国民全体に普及される。ここまでは、中層階級の育成と拡大に寄与し、国家は経済的にも政治的にも良き進展を受け、結果として日本も戦後高度成長時代は人口ボーナスの大きな後押しもあり、現在ある非常に高度に進展した社会となることに帰結している。

しかし、初等、中等教育の普及に従って、大学以上の高等教育の普及も急速に進展する。ただし、この高等教育はどこの国でも同じだが、国民の30%程度を限界点として普及が飽和する。
当たり前だが、人間性の本質によって、中等教育以上の役にも立たない可能性の非常に多い高等教育を真剣に受け続けられるわけはない。

そしてもう一つ重要な点として、これもどの国も同じだが、女子の高等教育普及が男子のそれを上回るという事態が発生する。
そしてこのことにより、晩婚化と非婚化という現象が発生してくる。
結論的にそれらの帰結として、出生率の低減が起きて来るということ。

日本の出生率低減

エマニュエル・トッドが言うには、日本の出生率低減、人口減少が改善しないのは、男系直系家族形態文化で女性の地位が低いことによる、としている。
英米仏は、核家族形態文化の中で女性の地位が歴史的に高く、結婚の形は大きく崩れているが、非婚出生も含めて、出生率を維持できている。
独は、日本と似た男系直系家族形態文化であるが、移民によって人口減少を抑制できている、ということだ。

この辺は、実感としてある程度わかるが、深く掘り下げて考えてみないと十分には承知しかねる。
特段日本文明上の核心事項に関係しない制度に関することは拙速でも進めなければ手遅れを招くことは必定である。

政治制度として、
高等教育を受けた多くの女性(実際には教育程度に関わらずだが)に、
1)仕事上受ける出生に伴う制約を無くすこと、
2)出生に伴う、そして家事全般に関する女性の負荷を男性が半分は負うこと
については、迅速に整えることが急務であることは間違いない。

日本の人口低減を必然としない。皆で革新的打ち手を見出していこう!

しかし、さらに深く日本文明を理解した上で、最適切な打ち手が求められていることは間違いなく、識者の提言を是非待ちたいが、私自身も意識して記事としていきたいと思っている。

是非、有意の方々には、この日本の重大過大について一緒に真剣に考えていただきたいと思っている。

私自身、この「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」によって、さらにトッド氏の考えへの理解が深まったし、世界的視野も広がった。
また、日本の先達である、速水融についても改めて知ることが出来た。
少しづつ勉強をつづけながら、可能な限り提言などをしていきたいと思っている。


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