「トッド人類史入門 西洋の没落」エマニュエルトッド、片山杜秀、佐藤優(文春新書)
エマニュエルトッドの新刊新書のご紹介です。
全五章の構成です。
前半の一~三章は、既刊「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」(文藝春秋)の解説的なものです。
慶應の片山氏、佐藤優氏も第二章の対談、解説章の第三章においても抑制的で好感が持てました。
改めて、この浩瀚な「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」の要点を再認識することができ有益でした。
そして、第四章は、トッド氏の昨秋(2022年秋)の水戸でのインタビューで、トッドの日本観が楽しく読めます。
しかし圧巻は最終第五章で、トッド氏が今年(2023年)1月フィガロ紙のインタビューに応じたもので、いま世界で起こっていることの核心を突いた寸言の連続に痺れます。
ウクライナで起きていることの真の意味を理解し、これからの世界を、日本をどう捉えていくか、真摯な思いに駆られます。
最終五章を繰り返し読むだけでも、935円のもとが取れます。
また、第一章の最後で「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」の姉妹版、女性の人類史として「彼女たちはどこから来て、今どこにいるのか?」が文藝春秋から訳出、近日刊行されることが記されています。
これも大いに楽しみです。
(この新書では、章とは言ってませんが、便宜上、各単元を”章”として記しました。)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?