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「来年24年の為替は?130円下限そこそこ円安水準か? 植野大作氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券、チーフ為替ストラテジスト)のロイター論説から―比較的当たるような気がするが、、」

来年の為替/植野大作氏(三菱UFJモルガンスタンレー証券)

来年の為替について、三菱UFJモルガンスタンレーの植野大作氏がロイターに記事を寄稿しています。

なかなか、良く情勢を見ているな、と思います。
まず、日米の金利動向についてですが、米国(これは欧州も)は利下げモードに入ったのに対して、日本は利上げ予定であることから、大勢としては円高に振れるだろうと言っています。

金利動向、実質金利について

また、金利動向について、実質金利について言及している点は非常に重要です。
米国が略で、実質金利=名目5%ー物価上昇3%=2%程度に対して、日本はこれも略で、実質金利=名目0%ー物価上昇率3=マイナス3%。
これらが、来年は、米国で利下げで同時に物価上昇率も少し下がり気味になる、日本は、短期金利のマイナス0.1%がゼロになる、ということも言っています。

ただし、ここはよく考える必要があると思います。
ここで重要な点を言っておくと、以前に本欄記事に引用していたと思うのですが、利下げしても物価上昇率が下がるので米実質金利はほとんど変わらない蓋然性が高いという点です。
植野さんはこの辺りをクドクド言っていません。
日本の金利については、マイナス0.1%がゼロになり、物価上昇率が少し下がりますので実質金利は多少上がりマイナス2%強になる可能性が有ります。

という状況の中で、日米実質金利差も縮小する、ということがほぼ予想として成り立ちます。

その他のファンダメンタルズ

その他のファンダメンタルズについても、植野氏はきっちり把握されていて、ドル円の実需は以前と異なり、ドルに強めになっていることを指摘しています。
この点は、みずほの唐鎌氏と同様の捉え方で信頼できます。

昨年末の植野氏の23年予想との比較

ここまで、私としてもある程度信頼できそうな予想だと思っています。念のため、植野氏の昨年末時点での今年23年の為替予想の記事を当たってみました。

ご多分に漏れず、円高を予想していました。昨年末或いは今年初めの時点で円安を予想していたアナリストはみずほの唐鎌氏以外はほとんどいませんでした。
冒頭に挙げた、植野氏の記事でも、
冒頭に今年の為替について、
「「為替アナリスト泣かせ」の年だった」
と正直に予想の当たらなかったことを白状しています。
ただ、中身を読むと、他の多くのアナリストがしていたような極端な円高論を振りかざしているようではなく、場合によっては円安局面も十分あり得るとのニュアンスが出ています。

こう見てきて、ある程度今回の予想は妥当であり、昨年の予想の内容もそれほど極端なことも言っておられない点にも鑑みて、
植野氏の、
130円下限のモデレートな円安水準、
という予想は、妥当性が有りそうに思います。







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