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「今回の米銀破綻による金融不安について」

今回の金融不安

今回の米銀シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の破綻による金融不安についてですが、特に前者は利上げによる債券下落によるもので、全体としてみれば、リーマン後の長い信用拡大が続いた後引き締め局面において起きる、そういう意味では起きるべくして起きる金融不安と言えるかもしれれません。

15年前のリーマンの時は、ハイリスクの住宅債券による金融不安であるのに対して、今回は国債を中心とした債券であり、当局が極めて迅速に対応したせいもあり、今のところ大きな綻びが発生しているという状況ではないようです。
また、リーマンのときと比べ、米国は多少の規制緩和がありましたが規制は厳しく、当時と比べて銀行の自己資本比率などは良好です。
しかし、リーマン後あるいはコロナ対応の金融緩和により膨らんだマネーの量はそれこそ莫大な量になっていますので、リーマンと比べて些少かと言うとそうでもないのではないでしょうか。
しかし今のところリーマンより大きいことはないとは言われています。

日本への影響

日本への影響ですが、これは個別には出てくる可能性が有るとは言うものの、日本の金融規制はしっかりとしており、自己資本比率などは問題なく良好と言えるかと思います。

しかし、日本の場合も、外債を多量に持っていたり、日本国債の金利が急激に上がりだしたときは、邦銀、特に地方銀行などが危機に陥る可能性はあると言われています。

しかし総じて日本への影響は大きくないと言えると思います。

日本は金融危機への対応を誤らないことが重要

日本が気を付けるべきは、もうはっきりしています。
リーマンの時のテツを踏むなと言うことです。

あのとき白川日銀がやったような、米欧が大規模金融緩和をしているときに平気の平左で原理主義的な引き締め政策をして1ドル80円を切るような急激な円高にしてしまうようなこと、をしないということです。
あのとき、あの円高で雇用の大規模輸出に繋がり、国内雇用が壊れました。

金融不安時には米欧と共同歩調を取りつつ、国益上の金融政策ポジションをしっかりとった金融政策運営が非常に重要です。

今回は、黒田日銀の方針を堅持しての次期総裁植田氏ですので大丈夫とは思いますが、間違いがあれば政治的解決を迅速に行ってほしいと思います。

今後の金融情勢

全般的情勢としては、市場は下落基調が続く可能性が高いです。そしてボラティリティーの高い状態も続くでしょう。
そういう覚悟は必要と思います。

しかし、危機が大きければ既に市場関係者から聞こえて来ているようにFRBも利下げにさえ踏み切る行動に出ると思いますし、国債が不良債権化しているわけですから銀行救済も当局としてはしやすいと思います。

日本は、やはり日銀の動きがかなり重要です。米欧の金利情勢に対応して機敏に立ち位置を決めていく必要があります。
日銀の金融政策は為替狙いではありませんが、実質為替が円高に過ぎれば雇用が揺らぎます。日銀は物価と雇用のために金融政策を実施する機関ですのでそこは怠りなく動いていただきたいと思います。

日米欧の中央銀行がしっかり動けば、今回の金融不安は多少時間がかかっても立ち直ることは間違いないでしょうから、そこからの市場の動きというところを申し上げると、やはり相対的に金融の安定な日本が立ち上がりが早いと思います。
これは返す返すも残念ですが、リーマンのときも日銀がしっかり金融緩和さえしておけば日本経済も今頃は、という状況でした。
今回こそは、ポスト金融不安で日本経済が再始動していくまたとないチャンスです。

政府の財政政策及び日銀の金融政策に大いに期待したいと思いますし、今回はその期待にこたえる体制が出来ていると思います。


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