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「円安定着と現今の昨年類似の様相について記しましたが、豊島逸夫氏が昨年との相違について議論していましたので論じてみます」

本コラムでは以前から円安定着と日本の金融経済について様々論じさせてもらっています。
そして、利上げの続く米国と日本の現状を取り上げて、昨年の今頃と現今の状況が類似しているとも言ってきました。
しかし、豊島逸夫さんが本日6/23のコラムで昨年との為替状況の相違を論じていました。参考になりますのでこれを引用し、少し先行きなどについて述べさせていただければと思います。

「今年の円安、景色は昨年と異なる」(金のつぶやき/日経)

本日6/23(金)豊島逸夫さんは上記記事の中で以下のようなことを論じています。

まず今143円台の円安について、欧州の利上げが英国などの0.5%とかなり大きな利上げでサプライズ感があること、米国も昨日、本日とFRBパウエル議長の発言は年内あと2回の利上げの確立の高いことを示しており、円は安くならざるを得ない状況であるとしています。

一方で、昨年と違い、今年は政府日銀の口先介入や日銀の(昨年末黒田前総裁の実質利上げ措置などをイメージしていると思われます)政策変更は大きな為替影響を与えうる情勢になっていることを述べています。
そして、国際金融スジの為替投機は昨年に比べて静かであり、もし米国の景気後退リスクが高じてFRBが年内利下げに走るようなことがあれば、変わってくるだろう、と言っています。
最後の変わってくるだろうというのは、突然円高に振れるリスクが大きいよ、と言っているのだと思います。

なるほど、今年は昨年とは違うが

なるほど、昨年の円安と今年の円安は確かに違うと言うのは確かなことです。
まず第一に、水準ですが昨年の今頃の135円程度に比べ、8円強円安の143円くらいで今は推移しています。
次に、今の円安は昨年のウクライナ戦争の始まりとともに発していて、昨年の今頃の段階では、一時的な為替変動かある程度持続的なものかについてはどちらかと言えば前者の理解がまだ多かったと思います。それが現段階では様々な現今の円安因子が明らかになって来て、この円安は定着性の高いものとの論説も多くなっています。例えばみずほの唐鎌大輔氏の一連の論説などはその種の優れた論説だと思います。これは、本コラムでも繰り返し引用させていただいています。一例を下記に掲載しておきますが、私自身も、その説を肯定し、本コラムで種々な観点から述べさせていただいています。

そして最後に、これは豊島氏の言ってることに似ていますが、米欧の利上げのトレンドと日銀の金融正常化への兆しや動きが交錯する時期が近付いていることです。ここは昨年とは大きく異なる環境の相違だと言えます。

さて、今後の為替の動向は?

結論から言いますと、大きな円高というのはなく、130-140円の円安水準というのは定着していく可能性が高いと思います。
これはこれまで本コラムで言ってきたことと変わりません。
豊島氏は、先の記事で最後に急激な円高への振れもある、との隠れたメッセージを投げていると思いますが、短期間円高方向に少し大きく動くことは昨年秋政府による円買い介入や昨年末黒田前総裁による実質利上げサプライズなどでもあったように今年もあるかも知れません。
しかし、日銀の金融政策に関するアクションについてはあるかもしれませんがあったとしても大きく利上げに動くような情勢は有り得ず、長続きするような作用はないと思います。
そして、この円安については、繰り返し述べて来ておりますように構造的な要因によるもので中長期的に定着する構造になっていると思われるからです。

今後も円安は定着

以上、述べてきましたように、昨年とは異なる環境に置かれている日本の円安ですが、今後もこの辺りの水準で定着していく動きに変わりはないと私は判断しています。

今後も、この動きになんらかの変化が生じれば本コラムで論じていきたいと思いますのでご愛読いただければ幸いです。

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