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「一技術者が仕事の意義について考えてきた一側面 (7)C社と近代の構図/定年講演

1)西欧近代(個の確立)とその解毒剤    或いは

2)日本文明の上部構造(近代精神)と下部構造(日本文明の地下水脈)

という捉え方でC社における近代の構図を理解できます。

C社の近代性は、創業者のTM氏とクラーク博士(この辺りは私より詳しい人たくさんいると思います)。

C社が依拠する文明は、「行動指針」に端的に表れています。

行動指針は、『実力主義、国際人主義、新家族主義(社員は家族のように)、健康第一主義』で、前2つと後2つは相反する概念でそれが平然と並んでいるところに日本的でしっくりとした深みが感じられます。

社史50年史、70年史、『夢が駆け抜けた』、『人物往来』昭和41年3月号を読みますとよく腹に落ちてきます。創業者の個人的体験として、北大予科入学前の結核療養による二年間の浪人期間にも注目したいと思っています。

C社の上部構造は、強烈に西欧近代的であると思いますが、一方でそれに呼応し合う下部構造は、日本文明の地下水脈と濃厚に血脈を通じていると思います。この地下水脈は、「横の連帯と縦の紐帯」と言って差し支えないと思いますが、日本文明の地下水脈そのものはそれを語ろうとすれば数多の論述を必要とするでしょう。

結果的に、私はこの三十四年の現役生活を、この下部構造との調和の中で何とかやってこれたと思います。

また、であればこそ、近代の追及に意味があると思っています。

(8)に続く

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