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「デフレ低金利からインフレ高金利へ時代転換 『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』(日本経済新聞出版)チャールズ・グッドハート&マノジ・プラダン」

下記の先行記事中に、

『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』(日本経済新聞出版)チャールズ・グッドハート&マノジ・プラダン について、読後記事にすると記しました。

かなり重厚な内容でしたので読むのにしばし時間を要しましたが、これまで昨年から本コラムで繰り返し述べてきたデフレからインフレへのパラダイム転換について、理論的背景がはっきりと浮かび上がってきた思いです。

日本の低落と世界の労働年齢人口

この本の中では、日本の失われた30年について、明確に記述しています。

似非識者が言うように労働生産性が低かったわけでは決して無い。
Chinaの圧倒的廉価な圧倒的多量の労働力により、日本国内の雇用がChina労働力にとってかわられたのだ、と明確に言い切っています。

デフレ基調と労働年齢人口、格差の本質的原因

1990年代からコロナ迄の期間、Chinaの労働年齢人口が増大を続け、それによって安価な労働力で低コストでモノが生産され、デフレとなったのだとこれも明確に言い切っています。

そして日本の国内も世界の先進国も同じですが、Chinaの労働力にとってかわられない僅かな高度の労働力のみ、所得が温存され、その他の高度でない労働力による雇用はChinaのそれに奪われた、ということです。
そしてこのことが先進国で起きている格差の本質的原因だということです。

人口構造の大逆転とインフレパラダイムへ

そして重要なことが次に書かれています。
今から将来のことです。この本は2019年に英文で出版されていますが、そのときに既に今日のインフレを正確に予想していました。
そしてこのインフレの根底的原因が、世界の人口構造の大逆転だと言っています。
Chinaの労働年齢人口は既に2,3年前から減少に転じており、今後も低い出生率からChinaの労働年齢人口は減少し続け、世界に廉価な労働力を提供することは無くなります。
もとより、先進国をはじめとした東欧を含むその他の国においても同様に労働年齢人口が減少します。
それらにより、雇用コスト圧力がこれまでと全く逆に高まり高圧力となり、インフレを惹起する、と言っています。
まさにこれは今起こっていることです。

世界はこの書物に書いてある通り理論的にもインフレパラダイムに転換しました。

マクロ情勢を長期スパンで見ることの重要性

以上述べてきたことが、既にこの本の英書版で2019年には明らかになっていたにもかかわらず、世の識者、経済学者などはほとんど全くそのような言論をした形跡がありません。
さらに言えば、まだこの書を認識せず評論している識者、経済学者がほとんどと言っていいでしょう。

わたしは、僭越ながら、いつも思うのですが、世の識者や経済学者などは結局こんなものなんだと思います。うかうか信じるには全く及ばないと思います。
是非皆さんも、自分で勉強して、経済金融、政治経済などは独自の見識を持つようにいたしましょう!

もう一つこの書物が重要なことを言っていることを最後に付け加えておきますと、この書のように、時として世紀単位を超えて長期的スパンで世の中の動きを見ることの重要性です。
いま述べました世の識者が起こす誤謬も、短期視点で細かく詳細に見過ぎるとそれはしばしば過ちを犯すということなわけです。

以上、『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』(日本経済新聞出版)チャールズ・グッドハート&マノジ・プラダン
を読んでの書評とおすすめでした。

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