【番外編】不可逆廃棄孔イド 感想

 今回は鵺の陰陽師ではなく、TYPE-MOONさんが送るスマホ向けタイトル『FGO(フェイトグランドオーダー)』の最新メインシナリオについて少し書こうと思います。このイドのシナリオを読んだあと鵺の陰陽師、と言うか創作全般に通ずる感情が芽生えたので。

 ネタバレありなので未読の方はご注意を。

◆別離というテーマ

 FateシリーズはPCゲームの『Fate/stay night』が始まりです。正義の味方に憧れる主人公が過去の英雄でありヒロインのセイバーと出会い、万能の願望器・聖杯を巡る戦いを通じて己の過去や運命と対峙する物語。よく言われていますが、鵺の陰陽師はfate及び作者の奈須きのこ作品っぽい要素が各所にあります(因みに川江先生がfate好きかどうかはまだ未確定。本人の言及を待ちましょう)。

 で、本題はそのテーマ。

 fateは『別離』の物語です。主人公の衛宮士郎とヒロインのセイバー(剣の英霊。20歳以上のオタクなら多分顔と名前くらいは皆知ってる)は互いの好意を伝え合うも、最終的には別れます。

 これは最初から決まっていたことで、どうしようもないことです。でも、作品の世界観的に残り続けることも可能でしょう(実際別のヒロインルートだと残留する)。けど例えその方法が手元にあったとしても、士郎とセイバーは別離を選んだに違いありません。いや、選ばざるを得なかった。それが『前』へ進むのに必要なことだから。

 不可逆廃棄孔イドでも同様のことが起こります。詳細は省きますが、戦いの果てに主人公は相棒、あるいは共犯者と呼ぶに等しい巌窟王を筆頭に、複数の復讐者(アヴェンジャー)クラスのサーヴァントとの別離を迫られます。その中には当初のFGOを支えたと言っても過言ではない人気サーヴァントのジャンヌ・オルタも含まれており、我々プレイヤーは「あぁ。ほんとにfgoは終わるんだ」と思い知らされました。

 そして物語の最終盤。巌窟王とオルタは主人公へ別れを告げます。この別離は必要なことで、必然だった。

 巌窟王は言う。「長い旅だった」と。
 
 オルタは言う。「負けんじゃないわよ」と。

 更にイドのシナリオクリア後、二人にはマイルームボイスが追加されています。ある意味これが本番。

 要約すると「思い出を振り返るのもいいけど、前を見て明日へ進もう」的な感じです。

◆終わりは必ずやって来る


 実は巌窟王もジャンヌオルタも、別れはずっと示唆されていました。けれどFGOがソシャゲということもあり、ユーザーは本気でその事実に向き合ってこなかった。故の衝撃と喪失感かもしれません。

 しかしよくよく考えれば、ソシャゲという媒体であれば必ず『終わり』はやって来ます。漫画やアニメと違い物語の終わりというだけでなく、ゲームなのでサービスが終了すれば必然的にプレイ不可能という事態に陥る。

 つまり私たちが一生懸命課金して育てたサーヴァントたちとのお別れは決まっていた。今回、シナリオを通じて改めてその事実を突きつけられたのです。

 この時、私はふと思いました。今鵺の陰陽師はけっこう掲載順がピンチで、正直打ち切り候補と言われてもおかしくないくらいです。なのでXでも打ち切りや巻頭カラーを逃すことを恐れている声を多々見かけます。

 でも打ち切り関係なく、基本的に週刊雑誌の漫画はいつか必ず連載終了します。その時私は、何を思うのか。ようやく終わったと安堵するのか?終わらないでほしいと嘆くのか? それとも素直に完結を喜ぶのか? 何にせよ『終わり』は万物共通で、遅いか早いかの違いでしかない。違いがあるのは自分の心構えだけ。

 なら私は、最後まで楽しみたい。たとえ鵺の陰陽師が巻頭カラーを逃して打ち切りになったとしても「面白かったな」と素直に言いたい。その為には毎週純粋に作品を読んで、楽しむ。時にはつまらないこともあるだろうけど、それも一興。とにかく掲載順に囚われず、フラットな視点で鵺の陰陽師を読みたい──まぁ、これが一番大変なんですけど笑。

◆鵺さんと学郎


 運命の出会いと言えば、それこそ学郎と鵺さんの出会いはまさに『運命』です。二人はまだまだこれからの関係ですが、最終的には別離を迫られる可能性が高そうです。レベル5の鏖を倒さねば幻妖の根絶は不可能な以上、鵺さんの生死は必ず起きる問題です。鵺さん本人は気安く「私も死ぬつもりだ」とか言いそうですが、その時学郎が何を思い、何を成すのか。これも密かな楽しみの一つです。

 というワケで今回はここまで。感想お待ちしています。

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