『フレイザー報告書』こぼれ話(15)
引用は適宜省略している。また、[ ]カッコ内は訳者による補筆である。
◎女性信者は三人一組
文[鮮明]がニクソン発言で言及した「[合衆国議会]広報チーム」は、1971年12月の渡米後、文が最初に着手したプロジェクトの1つである。このチームは当初の計画よりも小規模で、若い女性の統一教会員で構成されていた。
この箇所に付けられた原註-388(英語版342ページ)について。
1971年12月の信者への演説で、文は次のように述べている。
「(文)師は各上院議員に3人の若い女性を割り当てます。[だから私たちは300人の若い女性を必要としています。]上院議員を復帰させるには、まず補佐官、特に秘書を友人にする必要があります。[…私たちが上院議員を復帰したのち、それらの女性たちは海外へ派遣されます。そうすることで、アメリカを救うことが出来ます。]」
1973年5月、文は再び、統一教会の信者が合衆国議会議員と緊密な関係を築くことに関心を示した。「師には沢山の見目好い女子が300人必要です。彼は1人の議員に3人の女の子を割り当てるつもりです。…1人は選挙のため、1人は外交官になるため、1人は党のためです。私たちの女子が多くの点で上院議員より優れているなら、上院議員は私たちのメンバーにまさに惹き付けられるのです」
上院議員100名全員にあてがうつもりでいやがる。
◎乗っ取った名前で出ています
文鮮明機関のひとつである統一工業が、合衆国政府の許可なく銃火器の製造・輸出を試みようと、製造業者に接触していた疑惑は『フレイザー報告書』(和訳版)67〜69ページに記されているが、ここで出てくる業者名「コルト」の日本語訳は悩ましい。
第2次世界大戦後、軍用銃火器の需要が無くなったことで赤字経営に苦しんだコルト社(Colt's Patent Firearms Manufacturing Company)は1955年、 Penn-Texas Corp.(米国初の“乗っ取り屋”と言われる Leopold D. Silbersteinの持株会社。アメリカにおけるコングロマリットの始祖ともされる)に買収される。同年、工作機械製造業の Pratt & Whitney Machine Toolを、1958年にはディーゼルエンジン製造業の Fairbanks, Morse and Companyを合弁した Penn-Texasは Fairbanks Whitney Corp.と改称、1964年に事業の再編成がなされた際、名前が知れ渡っているという理由でコルト工業(Colt Industries)とさらに名称が変更される。この時点で、かつてのコルト社はコルト工業のいち部門(Colt's Firearms Division)という扱いになってしまうのだ。
さらに厄介なのは、1988年にM16の製造契約を巡るアメリカ陸軍の入札で敗れると、銃器部門は投資グループである CF Holding Corp.に売却されるのだが、その際 Colt's Manufacturing Company, Inc. とかつての社名によく似た名前となるのだ(蛇足ながら、銃器部門を売り払ったコルト・インダストリーズは Coltec Industries と改称したそうな)。
結局、コルト社は破産と身売りを繰り返し、2021年にチェコの銃器関連総合企業体 CZ Group傘下となると、翌年持株会社は Colt CZ Groupと改称しましたとさ(またかよ！)。
ちなみに、合併・買収した相手の名称を名乗る企業は『報告書』にもう一つ存在する。「ディプロマット・ナショナル銀行(DNB)乗っ取り事件」の際にDNB株購入の資金源のひとつとなったケミカル・バンクだ。
神山[威]が株を購入する4日前、クリフォード・ヤスタケ(教会の財務管理に様々な形で関係している教会幹部)が、チェース[・マンハッタン銀行]の文の当座預金口座からニューヨーク統一教会の名義でケミカル・バンクの当座預金口座に28万5000ドルの小切手を裏書きしている。この28万5000ドルの出所は文鮮明の定期預金[払戻による収入]であり、そこから文の株式購入資金が捻出された。
ケミカル・バンクは、引用文中にもある(文鮮明の個人口座を4つも持っていた)チェース・マンハッタン銀行と1996年に合併した。ケミカル・バンクが名目上の存続企業だったが、知名度の高さからチェース・マンハッタンの名称を残したのだ。
◎文鮮明の好きな数字
ローランド：文は数秘術を大いに活用しています。
「数秘術って何？」 恥ずかしながら私もそうでした。
数秘術（すうひじゅつ、英: Numerology）とは、西洋占星術や易学等と並ぶ占術の一つで、ピタゴラス式やカバラ等が有名である。「数秘学」とも言う。 一般的な占術の方法は「命術」で、占う対象の生年月日（西暦）や姓名などから、固有の計算式に基づいて運勢傾向や先天的な宿命を占う方法である。
これだとピンとこないが、
人間への数の神秘的な影響があるとされることの研究
こちらのほうがしっくり来るか。たとえば、上述した「1人の議員に3人の女の子」のような「3」という数字。そう言えば、最初の合同結婚式(1960年)では3家庭だし、翌年は33家庭とやはり3の倍数だ。その後も3という数字に文はこだわっている。
原理講論には3日に関する教えがあります。3という数字は重要な数字です。ご存知のように今日は9月15日ですが、旧暦では今日が7月の最終日です。明日は旧暦の8月1日で 、ご存知のように、7数は完成であり完璧なのです 。 また、最初の7日間は、人間の堕落など特定のことが間違って行われたときでした。8数とは新しい始まりです。明日は旧暦の8月1日ですが、8数は新しい始まりであり、1数は本当に新しい始まりなのです。
3や7だけではない。他にもある。
私たちの結婚式は他の結婚式と違うのですか？ すべての歴史的なものを蕩減復帰しなければなりません。もともとは、形成、成長、完成の3つの段階を経て回復する過程を意味するために、ステージに向かって21のステップを踏んでいます。 つまり、形成、成長、完成を経て、完成段階に至る過程を経ているということです。 各ステージの最後に3回お辞儀をします。これで12 回になります。 各ステージの最初と最後に3回お辞儀をします。
数字の13はカップルを作ることを意味するイエスの数字であり、あなたは最後のお辞儀を○○[訳注：原英文空白]へします。 この最後の儀式の前に、サタンの血統が神の血統に変わることを意味する聖なるワインの儀式という、他の多くの儀式があります。6000年にわたって行われたすべてのことを解いて、復帰の過程を経て初めて、その儀式を行うのです。
10ヵ国を代表する777組のカップルの結婚式。そうすることで、彼は世界への12の門を開いたのです。3つの7、完全数。実際、彼は791組のカップルを結婚させました。彼は兵役で欠席する場合に備えてカップルを追加しました 。
パチンコじゃあるまいし。
原理講論から分かるように、神は四位基台を失いました。したがって、神にとって、復帰の目的とはこの四位基台を復帰することでした。ですから、聖書にも摂理にも多くの4がありました。ゆえに40年と400年の摂理です。それゆえ、すべての復帰、蕩減は原理に従って行われました。
……だそうですよ。だからといって、
国連決議が可決されました。…他国を援助するため国連軍が初めて派遣されたのです。16ヵ国の若者が血を流しました。…16という数字にも意味があります。4 x 4 です。数字はすべての国を表します。
朝鮮戦争で国連軍に実際に参加した国は22ヵ国。韓国と米国を除いても、残る4ヵ国はどこいっちゃったんでしょうねぇ？
朴大統領は第7代大統領。つまり、李承晚(イ・スンマン)は3回選出されたということです。尹[潽善(ユン・ボソン)]大統領は一度。そして現在、朴大統領は3期目を迎えており、その節目は、2度の7年間が終わる1975年です。数字の8は、新たなスタートの数字です。その時こそが、世界にとって新たな幸運の時なのです。
翌年の維新憲法で大統領任期が6年に改められることを見通せなかった文鮮明の霊感にツッコミをいれたいが、興味深いのは文が、大統領の法定任期よりも就任期間を、それも7年という区切りで見ているという点である。でも、朴正煕が大統領に就いたのは1963年なので計算合わないぞ(どうやら軍事クーデターの発生した1961年から計算している模様)。
あなたは「天の家族が必要」と考えなければなりません。また、「私たちは天の教会を持たなければならない」と考えてください。それなくして、氏族復帰の土台はありえません。氏族的土台がなければ、イエス様は十字架以外に行く道がありませんでした。そんなわけで、個人の割り当ては3年以内で120人の魂を勝ち取る、それが決まりです。3年以内に修了できない場合は、7年に延長されます。イエス様はパートナーの出現を考慮しなければならないので、3年が2倍の7年になります。3プラス3に安息日の1を足すと7になります。
では、地元に戻る目的を知っていますか？ イエス様が十字架に磔られたのは、12人の弟子たちの一致の欠如に由来します。 72人の魂の間に一体性はありませんでした。すなわち、12プラス72の、全部で84人あります。
では、地元に戻る目的はわかりますか？ 84人がイエス様の氏族に団結しなければなりません。そして、84人の弟子が彼の周りに団結していれば、彼は氏族的基盤を成し得たでしょう。
︙
あなたは統一教会を完成させなければなりません。12弟子の中から三位一体が選ばれ、三弟子を中心に12弟子、72弟子となります。84は氏族レベルの完成です。その後、各氏族は120の信者を育て、それらを中心に団結する必要がありました。それは世界的な基盤です。だから、彼はそうしなければなりません。 霊的には、120人でも上の部屋に集まったときに聖霊が降臨し、そこからキリスト教が始まったのです。
12の氏族にも72人の信者がおり、これがイスラエル国家の形成の前身でした。イエス様の失敗のために、私たちはこの数を回復しなければなりません。 これは、ひとつの教会に少なくとも 120人の信者が必要であることを意味します。ひとつの教会単位には120人が必要です。個人基点を持ってくるとしても、7年間で84人の信者を連れて来なければなりません。これは、方式がワン・ワン・ ワン・レベルに達する必要があることを意味します。各々の信者は、ひと月に1人を連れてくる必要があります。ワン・ ワン・ワン方式です。それはこの数学に基づいています。 この数は、必ずしも魂を獲得するためのものではありません。個別に仕上げる必要があります。我々は終わらさねばなりません。これは単に勝つためだけではありません。これを満たさねばなりません。個人的には、各自が7年間の公の奉仕を果たさねばなりません。
御父様は21年路程です。誰のため？ 彼はあなた方のためにこの路程を進んでいます。ですから、あなたは7年間の公の奉仕で彼の路程に合わせなければなりません。ですから、御父様はすでに、あなたの7年間の公の奉仕をどのように遂行するか、このすべての公式、これらすべての指示をあなたに与えています。 だからこそ、彼が祝福する資格のひとつは、少なくとも3人以上の終身信者を連れてくることです。つまり、12人のうち、3人はたやすく終身信者を連れてくることができます。12人は72から来ます。12対72は1対6の比率。これが、六千、六百、または十二百という数を蕩減し、復帰しなければならない理由です。
……もういいっすか？ 拾い上げてたらキリがない……。
最後にロバート・ローランドの証言を、先に引用した部分を含めあらためて引用してみよう。
1965年にさかのぼる彼の教練手引書と彼のスピーチがあります。…彼はこれらの手引書やスピーチのいくつかで、1981年が期限であることを信奉者の何人かに伝えました。文の生涯の研究は魅力的です。私に残された唯一の疑問は、彼は非常に明確に述べていたので、1981年までに朝鮮半島を支配するというこの目標を達成しなければ、あと21年、つまり7年間を3回待たなければならないのかということです。文は数秘術を大いに活用しています。
私に残された唯一の疑問は、非常に長い研究を通し、私は彼を知り尽くしていると思うように知るこの男が、世紀の変わり目に80歳になるこの男が、2002年まで待つことをいとわないのでしょうか？ しかとはわかりません 。
なぜ1981年がデッドラインなのか？
ご存知のように、今日は父母の日です。この15回目のお祝いは、父母の日の14周年を記念するものです。1960年に最初の七年路程が開始され、そして1974年の今年、2回目の七年路程が終了します。1981年までに、合計21年を経て、3回目の七年路程を修了します。 私たちは、宇宙と人間の分配と復帰のために、普遍的な蕩減の全額を支払っています。
「(真の)父母の日」とは陰暦(統一教会言うところの天暦)3月1日のこと。1960年の同日(陽暦4月11日)に文鮮明・韓鶴子の結婚式(統一教会曰く聖婚式)が執り行われたのに由来する。
六千年の罪の歴史に相当する、61歳に私がなる1981年には、罪のない世界に蕩減し世界を復帰しています。
その1981年10月に、文鮮明は米司法省から脱税で起訴される(1984年に有罪判決が確定し収監)。
1972年4月15日は金日成の60回目の誕生日です。サタンの完全数は60です。彼がその年を超えれば、彼は落ちぶれるのです。
「金日成は60歳過ぎれば落ちぶれる」と言っておきながら、いざ自分が60歳超えたらどうなのか、わからなかったんですかね……
ローランドが言及した2002年に朝鮮半島を征することも出来なかった文鮮明は2012年に没する。2002年から21年後、つまり今年、我々は教団の動向をより監視しなければならないのだ。
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