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シャチバルーン(シャチ型ソーラーバルーン)を飛ばそう~理科の応用学習と学級活動(学活)での話し合い実践~(その3)


 

 

 次の学級活動まで一週間。その間に,普段おとなしめの女の子は行動に出ます。
 その間のある日の休み時間,その女の子が近づいてきて神妙な顔つきで,「先生,シャチの写真を持ってきていいですか?」と尋ねてきました。学習に不必要な物は持ってきてはいけないという学校のルールはあるけれど,これはどうしても持ってきたいという気持ちの表れだったと感じました。
 「もちろん。そのシャチの写真は話し合いのために必要なものだね?持ってきていいよ。」と伝えると,ほっとした顔で「(写真は)1枚?何枚いいですか?」と追加質問。「自分が伝えたいことを伝えられるだけ持ってきていいよ。」と伝えると,とてもうれしそうに笑って頭を下げ,席に帰って行きました。
 いよいよ学級活動。その女の子はその年の夏休みに家族で旅行し,水族館で見たシャチの写真を持ってきていました。みんなに写真を見せながら「シャチってこんなにかっこいいの。このシャチが空を飛んだら,とてもかっこいいと思う。」と熱のこもった発言。シャチそのものを知らなかった子どもも,その女の子の話に触発され,次第にシャチ派が多数を占めていくようになり,とうとうシャチに決定したのです。
 私は,シャチバルーンそのものもデザイン的にもとても気に入っている物ですが,それと同時に,この一人の女の子が自分の思いを懸命に伝え,多数派を破り,しかも多数派だった男の子たちも納得してシャチバルーンづくりに取り組めたということが,とてもうれしかったのです。
 この取組を通して,私自身がとても大切な学びができたと今も思っています。

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