池田潔先生が「学生を思う」という近著の中で「センス・オヴ・プロポーション」という言葉について述べておられます。センス・オヴ・プロポーション、日本語では平衡感覚という訳語がこれにあてはまる。つまり釣合いの感覚でありまして、何の釣合いかというなら、物事の軽重と、それに策時間あるいはそれに捧げる努力でもよい、この二者の釣合いをいいます。
すなわち、卑近な例でいうなら、たとえば君がなにかの理想を抱くほどの男子であるなら、一日のうちテレヴィジョンを見る時間が、書を読む時間より長いということはありえないことだと思う。まず平衡感覚でいうなら、読書とテレヴィジョンに当たる時間は五対一くらいでよろしかろう。ーそういう具合いにしようするわけです。