CoDプロ対抗戦の観戦記事を、Rush Gamingさんが選手視点から振り返ってくださいました!

 先日、GAMEクロス様に『【CoDプロ対抗戦】RushとREJECTの運命的な「負けられない試合」を読み解く』という記事を掲載していただいた。ここでは競技シーンの一ファンとしてフラットな「視聴者視点」からRush vs REJECTを振り返った。そして本日、嬉しいことにRush Gamingのkurutamiさん、Gorou選手、Current選手がこの記事を読みながら、「選手視点」で振り返るという配信が行われた。自分の記事でこのようなことをやっていただけるのは本当に嬉しく、記事を書いてよかったなぁと思った。ありがとうございます。

 さて、この配信を見ていて面白いなぁと思ったことがいくつかあったので書いておこうと思う。それと、ちょっと勘違いがあったのだけれど、僕個人は「プロ対抗戦だけ見ている勢」ではなく、APAC、CDL(推しはOG)、その他コミュニティ大会など「大会を見ている勢」であることは断っておきたい。あくまでこの記事での視点が「プロ対抗戦だけ見ている」という前提なのだ。読み手の多くも恐らくはプロ対抗戦だけを見ている人だろうし、そういう視点で書かせていただいた。

言葉のわかりやすさの話

 まず、僕は記事を書くにあたって、読者の読みやすさとストーリーとしての面白さを大事にしている。そのため、記事では「連携力」とか「腕力」とかの分かりやすい言葉を使っているのだけれど、その内実というか、実態は当たり前だけれどもっと細かい。

 特に「腕力」に関しては、Winred選手のような「個人の撃ち合いの強さ」はもちろん、チームとしての「撃ち合いの強さを生かせる動き」だったり「位置取り」だったりを可能とするだけの力を総合して、僕は「腕力」と呼んでいる。だから、Gorou選手が振り返りのところで話していた「Winred選手やSirius選手は元々腕力があって、それを生かせる動きなどを模索していた」という趣旨のコメントは僕もそういう意味も含んで書いていたわけだ。ひとえに僕の筆力が足りていないといえばそれまでなのだが……故に、Gorou選手の細かな掘り下げは「それです! それ言おうとしてました!」という感じで大変ありがたかった。

 第1回のコミュニケーションの話も、「いつ行っているコミュニケーションか」が分かりにくかったのだけれど、Gorou選手がしっかり話してくれていたので助かった。

当事者と観戦者の齟齬こそが面白い

 第2、3回に関しては、選手側の試行錯誤が「発展途上」という形で画面に現れていたんだなぁと答え合わせをしているような気分になった。

 第2回の「危機感を抱いたか?」というところも(Current選手は抱いたらしいが)、チームとしては僕が記事で書いたほどは絶望的な感じじゃなかったというのが、振り返り配信の趣旨にも合っていてよかった。

 あらゆるスポーツにおいて、選手たちの実際の考えと視聴者の受ける印象(特にこの場合はRushだけのファンではない視聴者)の齟齬は当然発生するし、それはある意味どちらも正しい。残酷なのは、選手たちがどう思ってプレイしていようとも、競技である以上、多くの視聴者は結果(試合という過程を含む)しか見られないという部分だろう。見ている側からすれば、第2回のRushの敗北はマジでヤバいんじゃないかと思えるものだった。だからこそ、第3回、第4回と成長していったRushのすごさがより劇的に映ったのである。

 それから第3回の記事に関しては、選手側と視聴者側の見ているもの/見えているものが大体同じだったのも面白かった。第2回の敗北は、選手視点と視聴者視点で違えど、とにかく何かしらの影響があって、第3回までの間に行った施策が発展途上という形で現れた。中で起こっていることと、外から思っていることは違えど、結局は一つの形として近いものが試合に現れたのは興味深いことだ。

 第4回大会にかんしては、コントロールの全員乗りがまさにノリだった話や、HPで実はCurrent選手が最後爆発していたという話が見てるだけじゃ分からない部分で興味深かった。ミニマップとキルログをもっと詳しく見ればCurrent選手の活躍がキモだったと分かったかもしれないが、やはり視点選手がGorou選手だったのと、最後の点を敵を倒して取った、という点で劇的だったので、視聴者はほとんど僕と同じく「Gorou選手が決めたぁ!」と思っただろう。こういう齟齬も大会ならではで面白い。

 僕たち視聴者は基本的にビッグプレイを見たいので、視点人物のチョイスは大切だ。AR好きの僕はGorou選手やNgt選手視点になると特に喜ぶ。Sirius選手やmoke選手、Luke選手、City of NewYork選手、Inaba選手の時も「何かやってくれそう!」と嬉しくなる。

 齟齬の話をたくさんしたので、最後に。振り返り配信を見ている僕たち視聴者は、もちろん「そんな違いがあったのかぁ!」と面白かった。しかし、むしろ当事者の選手たちの方が、記事を読んで僕たち以上に齟齬を感じて面白かったんじゃないかとさえ思った。「そんなつもりないけど、視聴者からはそう見えるんだ」という類の面白さを少しでも感じて頂けていたなら、執筆者としては大変嬉しい。

本番力

 配信の中で何回か出ていた「本番力」という言葉は、LVも勝利後のインタビュー記事で似たようなことを言っていたなぁと思った。「同じメンバーで長くやれたから何がしたいか分かる」「同じメンバーで大会に出てるから変な緊張がない」というような話をしていた気がする。これはCAGのmoke選手以外の3人にも言えることだろう。

 そして、この「本番力」を上げて大会に慣れるために第2回以降に色々な大会に出まくったという話はなるほど感があった。それだけが理由ではもちろんないが、プロ対抗戦を重ねるほど動きがよくなっていたのはこの本番力の向上もあったわけだ。僕のように「大会」だけ見ていると、「最近Rushたくさん大会に出てるなぁ」くらいしか思わないわけだが、その目的に「本番力の向上を狙ってたんですよ」と言われると、「なるほど! だから成果が出ていたのか! すごい!」と納得感があった。

2週間の成長

 それと「あと2週間で成長できるのか?」という疑問の話。これはCDLとかを見ていても、あるいは日本のチームを見ていても、Gorou選手が言っていたように「2週間で全然違うレベルまで成長できる」というのは正答だろうと僕も思う(そもそもREJECTが第1回に比べて第2回3回と劇的に成長したのもその証左だろう)。しかし、記事を読むであろうeスポ民ではない一般視聴者の心理的には、「2週間は短い」と感じるものなのだということを了解してほしい(これ以上メタ的な部分につっこんだ書き方はここではしないが……)。

 その上で言いたいのは、どんなジャンルにおいても「2週間で成長できる人間/チーム」というのは優れていて、それを当然のようにできると言い切れるRushの面々はやはりプロなのだということだ。振り返り配信のあの部分を見ていて、「その記述には色々事情があるんや!」と思うと同時に、プロのすごさをしっかりと感じた。

目標の話

 他に面白かったのは、Rushの今期の目標の話だ。これは第2回の齟齬にも関わるが、「1つの大会(試合)だけに左右されないで、長期的な成長をする」ことが目標であるらしい(思えば確かに第1回の前のトレーラーか、あるいは公式サイトだったか、どこかでその話はされていた)。この目標は、チームとしても選手のキャリアとしても、目先だけでなくしっかり未来まで見据えていないと出てこないものだ。

 ライトな視聴者の多くは大会の結果、特にプロ対抗戦の結果を重視していると個人的には思う(というか、それしか知らないし興味もないんじゃないか)。だから、分かりやすい目標は「プロ対抗戦で勝つ」とかだろう。でもそうしないで、長期的な成長に目標を置けるのは、チームや選手のメンタリティに軸足を置いているある意味で堅実かつ誠実な目標だと思った。

 そして、SPRINGシーズンのRushは、記事でも書いたように大きく成長できていた。つまりこの目標は、掲げられているだけでなくしっかりと達成されていっているのだ。

 SUMMERシーズンでのRushはどんな成長を見せてくれるのか。これからも一視聴者として大会を追っていき、その成長を楽しんでいきたいと思えた。

 最後にはなりますが、僕の記事を使ってこのような振り返り配信を行っていただき、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?