めちゃくちゃアツい今年のショパンコンクールを目一杯楽しむ方法
ショパンコンクールといえば、ピアノやクラシック音楽にあまり興味がなくても耳にしたことがあるかもしれない。
5年に一度開かれる日本で最も有名なピアノコンクールで、多くの漫画や小説でも題材にされている。演奏される曲は全てショパンの作品である。
今年は有名どころの日本人ピアニストが勢揃いし大注目の上、全ての演奏がYoutubeでライブ配信され、アーカイブも残るということで、音楽のお祭りを存分にリアルタイムで楽しむためのネタを整理してみよう。
日程
既に7月に予備予選が行われ、それを勝ち抜いた78名と、他のコンクール上位入賞で権利を得ていた9名の計87名が1次予選に進出決定済み。
10月3日〜7日 1次予選 87名→約40名
10月9日〜12日 2次予選 約40名→約20名
10月14日〜16日 3次予選 約20名→10名
10月18日〜20日 ファイナル 10名
基本的に、連日日本時間の17時〜20時のセッションと0時〜3時のセッションでライブ配信される。ファイナルは日本時間夜1時から。
配信について
こちらの「ポーランド国立ショパン研究所」チャンネルで配信される。
7月に行われた予備予選の動画も全部残っている。ライブ中にコメントもできるようになっており、世界中からリアルタイムで感想が届く参加型仕様で、見ているだけで楽しい。
コメントする際には英語が推奨されているのだが、あの人とかあの人とかの時は無法地帯化するんだろうなあ。
主な出場者
ショパンコンクールの出場者というだけで、だいたい天才少年、天才少女として幼年時代からオケと共演したりして名を馳せていた人たちばかりで、もう普通に一流ピアニストなわけであるが、その中でも今回特に注目されている日本人の方々がこちら。もちろん名前でググればいくらでも情報や演奏動画はヒットするのだ。
反田恭平さん
現状日本でトップオブトップの有名ピアニスト。テレビ出演多数。去年情熱大陸にも出ていた。コンサートチケットは瞬殺。優勝候補。予備予選も圧巻の演奏。
牛田智大さん
幼少期から天才イケメンピアニストとして女子のハートを鷲掴みしまくっていた有名人。12歳でCDデビュー。2018年の浜松国際コンクールで2位となり、本選出場権を得た。その様子がNHKでドキュメンタリーとして放送された(後述)。こちらも優勝候補。
小林愛実さん
前回の2015ショパンコンクールでファイナリストとなった実績のある人気ピアニスト。もちろん天才少女であり小学生でオケと共演したり演奏動画が100万再生超えたり、いろんなコンクールで優勝しまくっている。ファイナルでリベンジして欲しい。
角野隼斗さん
チャンネル登録者数80万人を超える世界的に人気のYouTuber(かてぃん)であり、東大理系卒ピアニストな有名人。予備予選後に情熱大陸出てたり、こないだハラミちゃんとかとNHKで共演してたり。この人の演奏時は配信にドッと人が増えると予想される。
沢田蒼梧さん
名古屋大学医学部!に在籍しつつ天才的ピアニストな、すごい人。Wikipedia見るだけで面白い。
日本人以外で、個人的に気になった方々。
ホルヘ・ゴンザレス・ブアハサン(キューバ)
マルティン・ガルシア(スペイン)
ニコライ・ホジャイノフ(ロシア)
キム・スヨン(韓国)
ユペン・メイ(中国)
ゲオルギス・オソキンス(ラトビア)
これを見ておけば100倍楽しめる作品集
まずピアノ関連の漫画から。
「ピアノの森」(一色まこと)
アニメ化もされた。26巻の作品中、13巻くらいからずーーっとショパンコンクール。審査の内情描写とか中国、ポーランド勢との争いとか、かなりリアル路線で面白い。連載が途中で数年止まった後に再開して無事大団円を迎えたレアな作品。ちなみにアニメ版で主人公の一ノ瀬海のピアノを担当してるのが上で紹介した反田さんという噂。
「神童」(さそうあきら)
THE・天才少女なピアニストと普通の音楽科学生が絡んで成長していく話。音大生の生態描写も面白い。最後の方少しもやもやする展開だけど、それも「さそう節」か。私はピアノ漫画で一番好き。作中で、音大受験でショパンのエチュード10−8を弾く印象的なシーンがある。反田さんの予備予選での同曲演奏がこちら。
「ピアノのムシ」(荒川三喜夫)
調律師の仕事の苦労や葛藤などをリアルに描いていてためになる漫画。YAMAHAが仇役になってるのかなー。ショパンコンクールでは、ピアノメーカーの争いも熾烈で、ファイナリストが何名自分のところのピアノを選んでくれるかを競っているらしい。その辺の話がこちら。さらになんと今夜BS1で「もう一つのショパンコンクール ピアノ調律師たちの闘い」の再放送があります。お見逃しなく!
あとピアノ漫画というと有名どころで「四月は君の嘘」「のだめカンタービレ」といった名作があるので余裕あればそちらも。
次に小説。
「蜜蜂と遠雷」(恩田陸)
やはりなんと言ってもコレ。浜松国際ピアノコンクールをモデルとしたピアノコンクールに特化した直木賞受賞作。実際に浜松国際コンクールで優勝した人が前回ショパンコンクール優勝している。アルゲリッチがモデルのおばさん審査員やホロヴィッツの秘蔵の弟子も出てくる笑。
主人公の女性ピアニストと別の出場者が、実は幼なじみだった!と判明するシーンがあり、ご都合主義かと思いきや、上に書いた反田さん、小林さん、(チャイコフスキーコンクールで2位の人気ピアニストである)藤田真央さんのお三方が子供の頃結構ご近所の幼なじみだったらしく事実は小説より、、、笑
この小説はちょっと長いが作者のクラシック愛がものすごく感じられてオススメだ。なおちなみにこの作品は映画化もされたが、いろいろとトンデモな改変がされており笑、そちらよりも圧倒的にこちらの「蜜蜂と遠雷 若きピアニストたちの18日」がオススメ。
そしてそのものズバリのマニアックな解説書がこちら!
「ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く」(青柳いづみこ)
実際に前回のショパンコンクールを現地取材したピアニスト兼ライターの方の詳細なレポート。各コンテスタントの細かい演奏評や大会の裏側まで取材したネタが盛り沢山で楽しめる。
審査について
ルールとしては以下が明記されている。また審査員は記名投票を行い、大会後に公開されるため、最終的には誰が誰に何点つけたかもわかるようになっている。
一次予選〜三次予選
そのラウンドだけでなく過去のラウンドも考慮して評価する。
まず、次のラウンドに進ませたいかのYES/NOを明記した上で、25点満点の採点を行う。そこからまず平均値を出して、そこから上下3点を超えて乖離しているものを平均から3点(2次、3次は2点)差の点に置き換えて再度平均をとる(一人の審査員の極端な点で平均を引っ張ることができないようになっている)。その平均とYES数だけが審査員に示されて、それを元に合議し進出者が決定される。
ファイナル
各審査員が10点満点で評価。予選同様平均から2点以上乖離したものは2点差に寄せた後に再度平均を取り、それを元に合議し各賞を決定。
(昔はエゲツないホームタウンデシジョンで圧倒的な演奏だったアシュケナージがポーランド人に優勝を奪われたり、独特の演奏で評価が分かれたポゴレリチの扱いをめぐって審査が紛糾していたが、今はそういうことがないよう改善はされている模様。「ピアノの森」でその辺のルール改正の経緯がなぞられている。)
その他細かいネタ
・ファイナルで演奏される協奏曲はほとんど1番なので、ほぼ全員を同じ曲で聴き比べできる。が、毎回退屈な前奏を4分くらい待つ必要がある。その第一楽章のメロディに「あなた〜変わりはないでーすかー」なところがある。
・1次、2次予選で頻繁に演奏されると思われる幻想曲(Fantasy in F minor, Op. 49)の出だしが、そのまんま「雪の降る街」のメロディである。
・ポロネーズは2次予選、マズルカは3次予選で演奏される。
というわけで、正直全員上手すぎて評価とか私にはまったくわかりませんが、音楽のお祭りを楽しみましょう!私は期間中ライブチャンネルを環境音楽にしながら生活する予定です!
ではでは。
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