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XXVIII. 未来

水仙、梅、沈丁花.

フリージア、ミモザ、ニオイスミレ.

待ち遠しい春は、駆け足で近づいてきては去って行く.この土地に訪れた春も、去年と何一つ同じではない新しい風が吹く.眠りから覚めた者たちの音や匂いが満ちていく.湿度がそれを伝える.

変動の予感.一斉に移動が始まった.昨日まで居たものが、今日は居なくなっている.次々にクローズしていく東京のアイコニックな場.かつての東京を愛し、これからのトウキョウを愛せそうにない感覚は、かつての東京の記憶が残る、今このうちにこの地に背を向ける.

この流れを10年以上前から知っていた.今なお過去に執着するならば未来から目を背けなければならない.現在が未来に繋がる潮流の上にあるのか、過去に固着したものなのか.それは私たち次第.

花の香に今何を想うのか?花は運命の通りに開花する.

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