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弁護士が教える書面作成の作法②

 どうもスヌスムムリクです。

 前回は、書面作成のポイントについて紹介しました。

 今回は、書面作成の留意点です。

 なお、弁護士スヌスムムリクのblogも興味があればご覧ください。

書面作成の留意点

 書面作成の留意点として、以下の6つを挙げます。

1.書面は第三者の目に触れるものと考える

 書面を外部に出す場合には、仮に特定個人に対してのみに出すとしても、将来的に第三者が当該書面を見る可能性があるということを意識しておいた方が良いです。

 もっと分かりやすくいうと、裁判になった場合に裁判官の目に触れるものと思って作成した方が良いです。

 そのため、例えば、やってもいないことを認めたり、謝罪したりするような内容を記載することは避けるべきです。

2.名誉毀損的な表現は控える

 普段、私が仕事をしている中でも、「偽装」「虚偽」「嘘つき」といった表現が含まれる書面を見ることがあります。

 確かに、書き手は、思うことがあって書面を作成されているわけなので、ついつい筆が滑ってしまうこと自体は理解できなくもありません。

 しかし、同じ事実でも体験する立場・状況によって認識は異なりますし、当然、その評価も人それぞれですので、書面に上記表現をしたところで、交渉が円滑に進むはずはありません。

 むしろ、上記「1」のように、第三者の目に触れて低評価になる可能性がありますし、かえって相手方から反論される危険もあります。

 そのため、名誉毀損的な表現は控えるべきだと思います。

3.過激な請求は、恐喝になる可能性がある

 恐喝は、債権者・債務者間でも、請求方法等が逸脱した方法だった場合には成立する危険があります。

 そのため、自分が債権者だからといって、債務者に対して、過剰な文言を記載した書面を送付して債務の履行を求めるようなことをするのはおすすめできません。

 むしろ、文書作成のポイントで挙げているような事項に沿って、根拠・理由を明記し、粛々と大人の対応をすべきだと思います。

4.送付書面の写しを必ず取っておく

 私の普段の業務でも、担当者に以前に送付した書面の写しを送る様に求めたところ、写しを取っていなかったと残念な返答をされることがあります。

 写しがなかったとしても、データがあれば、以前の送付書面の内容を把握できますが、データすらないのは最悪です。

 書面のやり取りをする上で、先方だけが知っている情報があるという時点で、立場的に一歩後退していますよね。

 また、送付書面の写しを取っておかないと、裁判等のために証拠を揃える際にも手間になります。

5.期限設定=約束ではない

 書面の中で、「本書面到達後2週間以内に回答ください。」みたいな記載を目にしたことはありませんか?

 確かに、私も書面を作成する上で、同様の期限設定を行います。

 しかし、この期限は、あくまでも書き手(自分)の一方的な指定であって、読み手(相手方)と合意で定めたものではありません。

 そのため、厳密には、書き手(自分)の側で設定した期限を守る必要はないということになります(約束ではないため。)。

 実際、相手方としては、書き手側に一方的に指定された期限内に実現困難な事項があることも想定できます。

 こうした場合には、無理に期限内に中途半端な対応をするより、仮に期限を経過しても、内容の正確性等を重視した対応をするのが望ましいと考えています。

 とはいえ、書き手側としては、次の対応をするかどうか判断する上での目安として、期限を設定しています。

 そのため、誠意を見せる意味でも、可能な限り、期限内の回答ができるように対応すべきです。

 また、期限内の回答が難しい場合には、その旨を事前に書き手側に伝えておくのが望ましく、全く連絡をせずに期限を経過してします状況は避けるべきです。全く連絡をしないと、訴訟提起、契約解除等をされる危険がありますからね。

6.裁判等の法的手続をちらつかせることのメリット・デメリット

 例えば、請求書の最後に、「貴殿から期限内の支払いがない場合には、裁判等の法的手続を講じる所存です。」といった記載を目にしたことはないですか。

 こうした記載は、裁判等を想起させることで、債務者(読み手)に「任意の履行」を促すというメリットがあります。

 しかし、他方でデメリットもあります。

 1つ目のデメリットは、かえって債務者(読み手)が委縮してしまう場合があるということです。本来の目的は、「任意の履行」を促すことにあったはずですので、裁判等を想起させるよりも、面談・協議の申入れをした方が先方との交渉が円滑に進むこともあります。そのため、上記記載を必須事項のように盛り込むのは控えるべきです。

 実際、私の経験でも、上記記載がある書面を送った後に、債務者(読み手)に電話したところ、「裁判するならすれば良いだろ!」と言われ、書面を無視されていたケースもあります。このケースは、その後に協議に持ち込みました。

 2つ目のデメリットは、上記記載にもかかわらず、債務者(読み手)から「任意の履行」がなかった場合に、裁判等をせざるを得なくなることです。

 債務者の立場でイメージしてみてください。

 ”支払いがなければ裁判するぞ!”と言われつつ、実際に支払いをしなかったが、裁判は行されなかった…

 ”じゃあ、今後も書き手(債権者)からの書面は無視してもいいか。”となりませんか?!

 これは少し極端かもしれませんが。

(書面作成の留意点)
 □ 書面は第三者の目に触れるものと考える
 □ 名誉毀損的な表現は控える
 □ 過激な請求は、恐喝になる可能性がある
 □ 送付書面の写しを必ず取っておく
 □ 期限設定=約束ではない(でも注意が必要)
 □ 裁判等の法的手続をちらつかせることのメリット・デメリット

まとめ

 いかがでしょうか。

 ご紹介した書面作成のポイント、留意点に配慮するだけで、ぐっと読みやすい書面になると思います。

 実際には、上記文書作成の作法を意識しつつ、簡単に文書構成を考えた上で、書面作成を始めた方が良いです。

 例えば、賃料未払いに対する請求書だと、以下のような文書構成ができます。

 ①はじめに:タイトル
  賃料未払いの件について連絡した旨を明記する
 ②賃料未払いの発生:事実
  ・賃貸借契約の締結等
  ・賃料未払いの発生、未払金額、内訳
 ③意見(評価)及び根拠・理由の明記
  賃貸借契約書●条(賃料支払義務、賃料支払時期)違反
 ④さいごに:結論
  本請求書到達後●日以内に支払うように求める

 なお、法的請求や法的請求に対する回答については、費用対効果によるかもしれないですが、弁護士に内容を確認してもらった方が安全です。

 次回はもう少し具体的な内容をお話します。

 なお、弁護士スヌスムムリクのblogでも弁護士業務等に関連する記事を更新していますので、ご覧ください。

 ではでは。

 

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