初めてノートをとったとき。

初めてノートをとるのは小学校1年生なのだろうか。

私の場合は、初めてノートをとったのは高校生だった。

私は小学校1年生から不登校だった。

というか、不登「校」ではなく不登「園」という表現も含めるのであれば幼稚園も半分くらい休んでいた。小学校は入学して1週間行ったかどうか。運動会は小学校1年生の予行演習だけしか出ていない。あいだで保健室登校をしていた時期もあるが、半日行って帰るだけの日も多かった。

そんな私は中学校に入り、環境が変わったことで制服を着てきちんと入学式に出て、新しい教室に入り、自分の席に座っていた。1週間ももたなかったが。

小学生から中学生になり、先生方はきっとつい先日まで小学生だった子どもたちに少しでも新しい環境に慣れてもらおうと最初の授業はたいていが自己紹介だった。そのため、私は中学校の教室で過ごしたたった1週間もない期間はノートを開くことすらなかった。

そんなわたしがなぜだか進学し、初めてきちんと授業を受けたのが高校1年生のときだった。それまで本当にノートをとったことがなかったので、黒板にかかれた板書をどのようにノートに書き写せばいいのかわからなかった。先生の板書は話題の途中で出た落書きなのか、ノートに写しておいたほうがいい内容なのか、いまひとつわからなかったのだ。

なんだかんだで授業を受け、ノートを書き、テストを受け、気が付けば月日が経ってノートは最後のページが近づいてくる。ノートの終わりまで使う、ということも初めての経験だった。それまで落書き帳としてノートはもっていたが、それほど勤勉なわけでもなく、絵や文章が趣味というわけでもなく、数ページ落書きをすればおしまいだった。

あぁ、ノートって最後まで使うことがあるんだなぁと思った。

世の中では当たり前のことだったと思う。ただ、わたしにとっては初めての体験。ちいさな感動。

今でも高校自体のノートはとってある。私の勲章。もう開くこともなく、棚の飾りになっているが。

今度実家に帰った時には開いてみようかと思う。苦しくて苦しくて泣きながらも通った高校。だけどあのころ、一歩を踏み出したおかげで、今の私がいる。今だって天真爛漫、陽気に過ごしているわけではないけれど、あの頃より歳をとり、相変わらずに不器用だがそれでも自分をごまかしながらでも生きていけている。ときどき消えたいときもあるけれど。

紙ではないnoteに、言葉を紡いでみる。

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