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ふたりぼっち東京

1月も遂に中盤へ差し掛かり、年末年始の空気は世間からほとんど姿を消した。そんな中、星に、「あなたも年末年始とディズニーについて書いてよ」と言われたので、何となく書いてみる。
ちなみに写真は夜の横浜。東京でも、年越しの時撮った写真でもない。



いつだっただろうか、師走の頃、星が新しいバイトを始めた。聞くところによると、大晦日もそこで働いて年越しは電車の中で一人だという。じゃあ会おうよと、なんとなく寂しいなと思った私は星に投げかけて大晦日から元旦は2人で過ごすこととなった。

まあそれはそれは濃い一日になった。大晦日の真夜中に集合した我々はそのまま高尾山へ向かい、あーだこーだと誰にでもない文句を垂れながら死にかけで坂をのぼり、寒い寒いと言いながら朝焼けを待ち、日の出を見たらハイ退散とその場を後に、電車でつかの間の睡眠負債返済タイムを挟んだ後、箱根でいつも通りラーメンを食べ、温泉につかり休憩所で漫画片手に融解そして夕方に解散。一日でやるスケジュールでは無い。移動距離からして無駄だらけである。

さて、そんなこんなで濃い一日を過ごした訳だが、では年越しの瞬間はどうだっただろうか。

最初は東京駅の丸の内口前辺りでする予定で秋葉原から歩を進めていた。しかしながら、結果的に年を越したのはその手前、神田と東京のちょうど中間、よりは東京寄り。なんとも微妙な道のど真ん中であった。
言ってしまえば年越しだって、単なる日付変更でしかない。でもこの、12月31日から1月1日へと変わる瞬間を人々は大切にする(自分も大事にしたから星といる訳だが)ようで、普段であれば夜であっても人がいるはずの東京に、おかしなくらいに人がいない。車すらほとんど通ってない。自分たち以外の人間が、今もどこかで生きている。そんな当たり前を疑いたくなるほどの静寂。そんな中で二人きりで新たな年を迎えた。

息を止めたかのようなビルたちの隙間で二人だけが「あけましておめでとう」と笑い合う。
賑やかしく、濃い一日の中で、その静謐な一瞬がどうにも心の中で光っていた。


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