見出し画像

Silica Gel/Desert Eagle

2013年デビュー、2017年には国内の新人賞を受賞。その賞は「あの」HyukohやSE SO NEONも受賞していたとだけあって、韓国のインディー界ではさぞかし有望株とし見られていたのだろう。
しかし、その後2018年初めにメンバーの兵役によりバンドは活動休止となる。
2年以上の時を経て、2020年「Kyo 181」で復帰するわけだが、これがブラウン管のテレビに映る砂嵐からわずかに聞こえる化粧品CMのBGM、といった趣で、その歪んだ音質からくるディストピア感には初期アリエルピンクを思い出さずにはいられない。
こういったポストプロダクションによるシャビーな加工は、ともすれば「自由が丘に去年できたカフェであえて錆び感出してきたイス」に出会ってしまった時の、鼻白む感覚を思い出してしまうのだが、「Kyo 181」では各パートの適切な音色配置や、彼らの音楽性の重要なシグネチャーである反復する4小節によって展開を最小限に抑えることで、悪趣味1歩手前の領域に踏みとどまっている。

そのセンスが高じたといっていいのか、2021年リリースした「Dessert Eagle」では上モノ(ギターやシンセサイザー)とリズム(ドラムやベース)のレベルバランスのおかしさはそのままに、展開ではいわゆる「Smells Like~」進行を拝借。なんと曲後半ではメタル、ハードロックよろしく、シンセによるリフのユニゾン、その上を縦横無尽にディストーションギターが駆けずり回り、リズム隊は隙あらばフィルインしようと目を光らせている、、、

2021年に彼らの音楽が諸手をあげて受け入れられていることには驚くが、オーセンティックなロックミュージックのマナーを偽悪的にカットアップし、再構築していく手法はもれなく批評性を帯び、魅惑的だ。そしてそれは、これまでに何度も起こってきたクリシェでもある。
彼らがその、何度目かの大いなるマンネリの先導者であることは間違いなさそうだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?