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介護保険物語 第10回 その1

どうも!
社会福祉法人サンシャイン企画室の藤田です。

思い返せば前回の第9回をアップしてからどのくらい経つのでしょうか?調べてみますとなんとあれは昨年の9月6日のことでありました。

本当にお待たせしました。

そして今回はとうとう昨年の改正つまり最新の改正に追いついてしまいました。

<令和3年改正の概要>
①「感染症や災害への対応力強化」
②「地域包括ケアシステムの推進」
③「自立支援・重度化防止の取組の推進」
④「介護人材の確保・介護現場の革新」
⑤「制度の安定性・持続可能性の確保」

令和3年度介護報酬改定の主な事項について

これらについていつものようにわれらが森藤部長にインタビューしてまいります!

大変なボリュームとなりましたので、今回は5回に分けて発信してまいります。

今回は「その1」です。早速まいりましょう!

1 感染症や災害への対応力強化

藤田 ホントにお久しぶりです。お元気でおられましたか?

森藤 いやいや、それなりにやっておりました。元気ですよ。

藤田 そうですか。それはよかった。では早速ですがお願いします。いよいよ最新の改正に追いついてしまいました。その内容はというと、まずは「感染症や災害への対応力強化」についてです。ここからスタートしたいと思います。どうぞお願いします。

大規模な自然災害を想定する必要がある

森藤 そうですね。感染症対策や災害への対応ということについてはこれまでもいろんな形で取り組みが求められてきていることは間違いないのですが、今回の改正では特に業務継続に向けた取組の強化ということが強調されています。

と言いますのも、今までの感染症や災害は一部地域やある特定事業所の被害で治まる程度のものでしたが、これからは、その事業体の業務継続体制すらも破壊してしまうほどの、これまでにはない大規模で強力な感染症や災害を想定せざるを得ないのではないか、ということがあるからです。

それは、現在世界中に蔓延し大被害を巻き起こしている新型コロナウイルス、そして地球温暖化によると思われる集中豪雨大規模台風による自然災害を踏まえてのことであり、果ては南海トラフなどの大地震をすら見据えているのでしょう。

こうした広範な地域の大多数の事業所に大被害をもたらすような状況下でそれでも介護等の業務をいかに継続していくかということを、このような事業に携わる者としてしっかり考え、対策を講じておいてください、という国からのメッセージということなのでしょう。

藤田 なるほど。でもそうしたことを踏まえてその対策を講じろと言われても、考えようがないというか、その明確な答えは出ないんじゃないですか?

シミュレーションとしての訓練の実施

森藤 そうです。ただ机上で考えてもわからないことなんですね。だから実際に動いてみる。シミュレーションしておくことが重要だということなんです。

だからこれらの取組については業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施にとどまらず、訓練(シミュレーション)の実施を義務づけているわけです。

そこに「国の本気度」が窺える、とわたしは思います。

藤田 なるほど。これまでとは少しフェーズが変わってきている感じですね。

森藤 そうですね。例えば火災を考えてみれば、そりゃ避難訓練することも大事ですが、でもそれよりもなによりも、施設で火事を出さないようにすることがもっとも重要なことだったわけです。今までは。

でもこれからはそれだけじゃダメなんですね。と言うのも、自然災害や感染症の蔓延についていえば、施設の自助努力ではどうにもならないわけです。火事を自分からは出さないようにいくら気をつけていても、外部状況により強引に被害に巻き込まれてしまう

そしてその被害が、これまでとはまったく違う規模でやってくる、と想定しておく必要があるわけです。

そんな中で、業務を継続できるように備えることが求められているということなんですね。

行政からの指針はあるの?

藤田 なるほど。でも業務の継続という場合、例えばデイサービスでは、これまで定期的に外部からボランティアさんに来ていただいて、利用者様に楽しい時間を提供してくださっていたわけで、こういったことも業務として継続したいと思っているんですが、コロナを考えるとどうしても自粛する形になって、つまり継続できてないわけです。

でも自粛すると言っても、その判断のもとになるようななんらかのものがないと、やっていいんだか悪いんだか、その辺の収まりがどうも悪いんですね。その辺りのことについて行政からなんらかの指示めいたものってあるんですか?

森藤 そうですね。一応あるんですよ。でもそうした指示めいた文言は「~してもいいですよ」という形でして、最後には「施設の判断に委ねる」とあるんですね。

判断を委ねられても、じゃあ誰が決めるのか?という問題がつきまといますしね。そこはやりたい気持ちと世間の流れと、バランスで考えていくしかないんでしょうけど。

でもまあ言ってみれば、そうした判断をするシステムを作っておくこと自体が「業務を継続する」ための方策のひとつだと考えて、これはわたしたちがぜひ考えて作っておく必要があるんだと思いますよ。

施設側がそうしたことにも本気で取り組むよう、こうして謳ってるわけです。

藤田 なるほど。

森藤 それで、じゃあマニュアルを作ろうっていうことになったら、そのための指針は示されています。施設ごとに行えるような資料を提供してきているんです。

それに3年の経過措置はあるにしろ、基本的にはこれをやらなかったら減算になりますからね。

近隣住民との連携について

藤田 災害が大きくなってくると、うちの施設だけを考えるんじゃなくて、ご近所と一緒にその対策を考えておく必要があると思うんですが、そのようなことってこれまでになにかをしたことってあるんですか?

森藤 ないことはないんですけど、難しいんですよ。そう単純ではない。向こうには向こうの事情がありますし。

藤田 町内会の自主防災組織みたいなところから話は来ないですか?

森藤 町内会からは来ないけど、こちらから話をしたことはあるようですよ。

でもこちらにもこちらの事情があって、本当に受けられるの?という問題がありますね。広島市から福祉避難所という看板を立ててくれないかっていう申し出もあるんですが、そう単純には手を挙げられないんです。

うちで想定されている災害っていうと河川の氾濫です。そのときは垂直避難をするわけで、いかにスムーズにできるか、ということをBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の会合で話し合ってますが、その際に例えば生活に必要なものを備蓄しておく必要があるよね、ということになるのですが、うちには備蓄品を置いておく場所がないんですよ。そもそもがそんなことを想定して建物が造られていないんですね。

藤田 なるほど。そりゃそうですよね。昔はそんな状況ではちっともなかった。

少し皮肉れてみた結論

森藤 それに、現実問題として、もし本当にこの施設がそんな避難をする必要があるような災害がやってきたとしたら、これはもう大災害で、近隣だって大被害にあってこの施設を助けに来るどころの話しでもないし、この施設に逃げ込んで来られるような回りの状態でもないでしょうからね。

そういう観点からすこし皮肉れて言えば、行政のこの謳い文句はある種のアリバイ作りなんじゃないでしょうか。

藤田 ははあ。なにか起きたときに「だから言ったでしょ」と言えるように(笑)。

森藤 そうです(笑)。


ということで今回はここまで。次回(その2)でまた近いうちにお会いしましょう!

<広島弁まとめ>

令和3年改正5項目の①「感染症や災害への対応力強化」について

このところを見てみんさい。コロナやら、台風やら、地震やら、地球規模ゆうてもええような大きいことがようけ起きとるじゃろう?じゃけえそがぁな大災害想定して介護業務の継続策ゆうんを考えとく必要があるんよ。ほじゅけ言うても考えとるだけじゃあええ策はなんも思い浮かばんのんじゃけえ、訓練いうか、まあシミュレーションゆうか、そういうことするんが大事なんじゃけえ、やってみんさいやゆうことよ。たいぎいよのう。行政からは継続のための具体的な案はなんも出されとらんのんじゃけど、その案を落とし込むマニュアル作りの指針は出しとるけえね。いなげなよのう。ほいでもって想定しとる災害は大きいもんじゃけえ、うちの施設だけじゃあのうて近隣住民との連携も必要じゃあ思うけど、そういう連携はまだ始まっとらんのよ。お互い事情ゆうもんがあるけえねぇ。ほいでも結局このままじゃあ、絵に描いた餅のようなもんじゃわ。


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