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ケアートミュージアム no.9

こんにちは!
社会福祉法人サンシャイン企画室の藤田です。

引き続きまいります!ご存知「ケアートミュージアム」連載第9回です。

早速いきましょう!

「禿山」 2021年9月製作、横32.6cm、縦32.0cm、ダンボールにアクリル絵の具

これはデイサービスのご利用者AK様の作品です。タイトルは「禿山」。

<妄想解説>
これはまた凄い作品です。

水中に存する何かのデブリ(登山用語。なだれで運ばれた雪塊や、山崩れによる土砂の堆積のこと。フランス語)なのか、あるいは大気圏外に浮かぶ正体不明の物体か。はたまた人間の心の中のある種の形象か。

題名である「禿山」からは『展覧会の絵』で有名なあのムソルグスキー(1839-1881)の『禿山の一夜』を連想しないではおれません。この絵の全面に展開されている赤黒い絵具の色が『禿山の一夜』に通ずる不安感を醸し出しているのでしょう。

ムソルグスキーは音楽家としてバリバリに活躍した人ではなく、母国ロシア帝国(1721-1917)の大改革から革命に至る激動の時代に生きたことでその私生活は大きな影響を受け、作曲活動もままならない中、心痛から若くしてアルコール中毒者となり、連続する心臓発作の末に42歳という若さで亡くなった方だそうです(Wikipediaより)。

そんな彼の代表曲である『禿山の一夜』は生前は一度も演奏されることはなく、1886年(彼の死の5年後)にリムスキー・コルサコフ(1844-1908)による改訂版が出てそれが現在わたしたちの知る『禿山の一夜』です。またもうひとつの有名な曲『展覧会の絵』もほぼ同様の経過を経て現在に至っています。

『展覧会の絵』と言えば、テレビドラマ「刑事コロンボ」の中の名作回『二枚のドガの絵』(1971)の中で効果的に使われていたことを思い出します。また冨田勲さんの編曲したものがわたしは大好きなのですが、…おっとしまった。またまた話が逸れてしまいました。

絵に戻りましょう。

この絵は約30センチ四方の大きさがあるのですが、部分部分を見てみるとさらに素晴らしさが感じられます。

部分01

この部分など、禿山(逆「くの字」に曲がった緑色の部分)の上に雷鳴(その右の黄色いひび割れ)が鳴り響いている様のようです。

部分02

この部分の中央、分厚く盛るように塗られた濃い朱色がなんとも不気味で、海の底に横たわる海嶺のようです。あるいはサバト(ヨーロッパで信じられていた魔女あるいは悪魔崇拝の集会)に現れた悪魔の尻尾か。

写真ではよくわかりませんが、現物を見るとすごく美しくて、こんな柄のシャツを作りたいと思います。

ということなので、もしわたしがこの絵に題名をつけるなら、ずばり「豊穣の海」はどうでしょうか?


タイトル背景画:サンシャインスタッフのご子息作


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