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ケアートミュージアム no.4

こんにちは!
社会福祉法人サンシャイン企画室の藤田です。

引き続きまいります!ご存知「ケアートミュージアム」連載第4回です。

早速いきましょう!

「あて」 2021年9月7日製作、横22.5cm、縦22,3cm、ダンボールにアクリル絵の具

これはデイサービスのご利用者IY様の作品です。タイトルは「あて」。

<妄想解説>
タイトルの「あて」はもちろんあの「酒の肴」のことです。

調べによりますと、この「」ということば、もともとは室町時代に使われていた、「酒」と「菜」を合わせた「酒菜」に由来しているらしいです。そして今回ご紹介する絵のタイトルの「あて」ということば、これは「あてがう」を語源としており「酒にあてがうおかず」を意味するとのことです。(「DELISH KITCHEN」 https://delishkitchen.tv/articles/371 より)

ですから「肴(さかな)」と言ってもそのものはいわゆる「魚」には限らないようです。でもこの絵で描かれているのはどう見ても「魚」でしょう。しかもその肉はもうすでに誰かに食されているようで、骨と頭しか残っていません。

元は結構大きな魚みたいで、思わず落語の『猫の災難』を連想してしまいますね。

ですから「あて」と言っているものの、もうすでにその役割を終えていることになります。そしてこの姿からもうひとつ連想しちゃうことばがあります。それは「あら」。

調べによりますと、この「あら(粗)」ということば、「荒い」とその語源を同じくしているようで、古くは「穀物の外皮」のことを指していたとか。それが「良い部分を取り去った残り」となり、そこから魚の「あら」という意味になったそうです。これがさらに転じて「他人の欠点やミス」のこととなり、そこから「人のあらを探す」という使い方が出てきたようです。
(「語源由来大全」 https://gogenyurai.com より)

ですからこの絵は「あて」にして「あら」なわけです。

これを描かれた利用者様は若い頃からずうっと流川でお酒を提供するお店をやってらしたとのことです。今でも終始明るい笑い声を出しておられ、酸いも甘いも噛み分けてこられた、人を惹きつける魅力にあふれる方なのです。

わたしも実は「あら」が大好きでして。なんと言っても最大の魅力はその「安さ」です。そしてネギや大根なんかと一緒に煮付けると、その美味しいこと!行きつけの市場に行ってあればつい買っちゃいます。身の方は高くてとても買えないタイだって、「あら」となれば手が届きます。

戻ります。
注目すべきは絵の下の方に描かれた魚の頭の部分。本来ならその上に描かれている骨に沿ってもっと下の方に目線があるべきなのに、首をぐいっともたげて右の方に視線をくれています。そしてその表情の物悲しいこと。骨ばかりになってしまった自らの身体を振り返り、なにかを想っているようです。頭部を描くのに使われている黒の絵具がもやもやと周辺部分にも溶け出し、朦朧とした想いを表現しています。

「あら」の背景の色彩が、右上(尻尾)から左下(頭)に向かって徐々に明るくなっていることにお気づきでしょうか。この頭部分の明るみを「あら」さんに授けられた「希望」と言わずなんと言えばいいのでしょう!きっとこの後「あら」さんは頭を本来の位置に戻し、その明るみに向かって泳いでいくはずです。

とは言えその「希望」なるものの具体的正体はなんなのかわかりません。でもひょっとすると「希望」とは、この絵でほのかに灯しだされている明るみのような、抽象的なものでしかないのかもしれませんね。

ということなので、もしわたしがこの絵に題名をつけるなら、ずばり「およげ!たいあらくん」はどうでしょうか?



タイトル背景画:サンシャインスタッフのご子息作

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