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介護保険物語 第10回 その5(最終回)

どうも!
社会福祉法人サンシャイン企画室の藤田です。

大変な好評をいただいている「介護保険物語」第10回。

大変なボリュームとなりましたので、今回は5回に分けて発信してまいります。

今回はその最終回「その5」です。早速まいりましょう!

<令和3年改正の概要>
①「感染症や災害への対応力強化」
②「地域包括ケアシステムの推進」
③「自立支援・重度化防止の取組の推進」
④「介護人材の確保・介護現場の革新」
⑤「制度の安定性・持続可能性の確保」

令和3年度介護報酬改定の主な事項について

5制度の安定性・持続性の確保

ぜい肉に見えてもそうではない

藤田 さていよいよ最後の項目です。制度の安定性と持続性の確保。これは次の2点ですね。

❶評価の適正化・重点化
区分支給限度基準額の計算方法の一部見直し
訪問看護のリハの評価・提供回数等の見直し
長期間利用の介護予防リハの評価の見直し
居宅療養管理指導の居住場所に応じた評価の見直し
介護療養型医療施設の基本報酬の見直し
介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)の廃止
生活援助の訪問回数が多い利用者等のケアプランの検証

❷報酬体系の簡素化
療養通所介護における月額報酬化
リハや口腔、栄養等における加算の整理統合

藤田 これはどうでしょう?

森藤 ここで取り上げられている項目・内容は要するにこれまで過去の介護保険法の改正で新たに創設されたり、変更されたりした中であまり効果が見られなかったと思われる、いわば介護保険制度のぜい肉部分の修正を図ろうとするものですね。

でもこれらの施策は一つ一つをよく見てみれば、どれも決して不要な制度ではなく、数は少なくてもその制度の利用者・該当者はいるはずで、その制度を中止されたら困ってしまう利用者もいるにちがいないと思います。

じつは、ここが介護事業というものの難しいところだと思います。

例えば特養で介護業務、つまりいろいろな入所者の処遇を実施していると、ついあれもやってあげたい、これもやってあげたい、とどんどん、どんどん、至れり尽くせりの方向へ進んでいってしまい、それを実現するために、さらに業務をふやすことになり、現場はさらにアップアップの状態になって行ってしまう、ということがよくあります。

藤田 あるある(笑)。確かにそうです。

森藤 要するにきりがないんです。

かといって、今までやっていたことを止めてしまうのは、サービスの低下をまねくようでなかなかやりにくいわけで。

だけど、施設ではここまではできるが、これ以上はできない、という線引きをどこかでしないと、介護業務の安定性・持続可能性が確保されない、ということになってしまいます。

介護保険の制度でいろんなことに取り組むのも良いのですが、まずは最低限必要なことがそれを必要とする人々に確実に行き渡るようにすることが大切なのではないでしょうかね。

さじ加減は利用者様に沿うべし

藤田 ここのところで先のLIFEのところで出た心配をもう一度もってきたいのですが、先程はLIFEによって、ここまでやればいい、といった線引きが集団でなされる危険性がある、それによって今の個別的介護が昔の集団的介護に逆戻りしかねないのでは、ということを懸念されていました。

でもここでは介護には何らかの線引きが必要だと言われている。

なんか言っておられることが矛盾するような気がするのですが?

森藤 いやいや(笑)。そうではなくて。

ここで言う「線引き」というのは、きりなく続く介護をいつまでも続けていてはいけないから、どこかで線引きが必要ということです。この線引きをさじ加減と言ってもいいでしょう。

そしてこのさじ加減は決して一律ではなく、利用者によって凸凹をつけなきゃいけないものなんですね。つまり利用者によってどこまでやるか、というさじ加減は異なっているわけです。

また同じ利用者でもその状態によってさじ加減は変わらなきゃいけませんよね。

そして、こうしたさじ加減はチームのカンファレンスで決めるべきであって、一介護士が勝手に決めるものではないわけです。

それに対してLIFEのところで懸念した線引きは、この本来凸凹であるべきさじ加減を、一律なものとして線を引いちゃうのじゃなかろうか、それはダメなんだけど、という懸念ですから。

藤田 なるほど。それならよくわかりました。

いやあ。今回も手に汗握る面白いお話でした。ありがとうございました。

ということで今回の第10回をもちまして、一応「介護保険物語」は次の改正のある2年後までお休みということになります。

2020年9月3日に始まったこの「介護保険物語」。1年4ヶ月の長きに渡り全10回としてお送りしてきました。

最初は手探りで始めたのですが、森藤部長の熱意によってこんなに長く、そしてこんなに面白いものになったと思います。

長い間本当にありがとうございました。

森藤
 いえ、こちらこそありがとうございました。

藤田 とは言え(笑)、森藤部長にはまだまだ「介護のポテンシャル」でお話を伺う予定ですし、この「介護保険物語」も、ポツポツと「介護保険物語・外伝」としてお話をうかがえるとのことですので(笑)、実質はあまり変わりなくこうした連載ものをさせていただく予定です。

これからもよろしくお願いします!

森藤 お手柔らかにどうぞ(笑)。

<広島弁まとめ>

とうとう最後になってしもうた。なんか泣けてくるでえ。今回は短いでえ。「それでも続くよ、どこまでも」いうのが今回のまとめよのう。まあもう少し言うなら、介護いうんはやりだしたらきりがないけえ、どっかで線引きせにゃあいけん。いけんけどその線引きは利用者に沿って、おんなじ利用者でもそのときの状態に沿って引かにゃあいけん、いうことよ。
ほんまこれまで長いことつきおうてもろうて、森藤部長、ありがとのう。これからも何かと続く思うんで、ほんまよろしう頼まあ。

みなさん、長い間お付き合いいただきまして
本当にありがとうございました!
またお会い出来る日を楽しみにしております。
これからもどうぞよろしくお願いします!

「介護保険物語」の二人(左から、森藤部長、企画室:藤田)
もう一回出てくる「介護保険物語」のしつこい二人

おしまい


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