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雪が降る街 2018.2.2

東京じゃ今年2度目の雪が降ってる。九州は福岡に生まれた僕にとっちゃ、雪なんて滅多に見ることは無くて。たまに降ったとしても、薄く貼っただけの雪では、雪だるまは泥だらけで。そんなものだと。綺麗に積もる雪を見れば、東京に来たのだ、東京にいるのだと、強く思った。


どうにか、どうにか気持ちを伝えようと、毎度試みるけど、本当の気持ちが伝わったのかどうかは本当のところは誰にも分からない。もっと優しい言い方は出来なかっただろうか、もっと冗談めいて言えなかっただろうか。なんでもっと上手く言えないんだろう、なんでもっと想えなかったんだろう。結局は後悔ばかりの日々だ。なんだよこの夜は。


始発を待たずに、新宿から歩いて帰る。戒めのように歩いて帰る。外は横殴りに雪が降っていて、傘をささずに、コンビニでいつものように缶ビールを買って帰る。雪が雨より優しいのは、濡れるのに時間をかけてくれるからだ。


なるだけ、なるだけ後悔しないように生きてる。生きたい。心がける。10年後の僕にとっては、今日はどうしてもやり直したい、戻りたい今日かもしれない。タイムマシンで真っ先に戻りたい今日かもしれない。それでも、そんな先の話なんてと思う自分がいて、途方もなく、途方もない夜を歩いた。


2本目の缶ビールを買うコンビニで、東南アジアの方だろうか、店員さんが、声をかけてくれた。


今日は寒いですね。


笑顔で話す彼に、また雪が降っちゃいましたね。と返した。


帰り気をつけて。
朝まで頑張ってください。


缶ビール1本だけ買って、入り口のドアを抜けたら、しゃがみこんでボロボロ泣いてしまった。こんな真夜中に、雪だらけの格好で缶ビール1本だけ買うような変なやつに、こんなにも、こんなにも優しい。たまたまかもしんない。ちょうど機嫌が良かったのかもしんない。それでも、なんだか全部のことが、全部が吹き飛んでしまうような、馬鹿みたいだ。思いがけない時に、思いがけないものに。救われる時がある。ふとしたことで、人生はビカっと明るくなる。


雪は容赦なく僕に降りつけるが、寒いなんてことはないぜ。心はずっと燃え続けてる。


優しくありたい。近ければ近いほどだ。だって僕の心はこんなにも複雑で簡単だ。それしかないじゃないか。いつのまにか明日は今日になった。いつだってそうだ。やらなきゃいけないことをやるだけだ。だから上手くいくんだよ。


ただ、爽快までゼロになるのは違うよな。

読んでいただきありがとうございます。読んで少しでもサポートしていただける気持ちになったら幸いです。サポートは全部、お笑いに注ぎ込みます。いつもありがとうございます。言葉、全部、力になります。心臓が燃えています。今夜も走れそうです。