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#086 本を要約「ウォール街のランダム・ウォーカー」 その1

バートンマルキールの「ウォール街のランダム・ウォーカー」について私なりに要約してみようと思います。

これは木下斉さんのジブン株式会社ビジネススクール
「読解力を鍛える」の課題に対して、往年の名著をもう一度アウトプット前提で読んでみました。アウトプットすることを前提に読んで新たな発見を狙います。
そして、ジブンの意見を書くことで投資に対する姿勢をぶれなくすることも目的としています。

本書は1973年に出版され、内容を追加しながら最新13版まで続くロングセラーです。私も20代の頃に本書に出会ってから年初に久しぶりに最新版を購入しています。

ランダム・ウォークとは

「株式市場のランダムウォークとは株価の短期的な上がり下がりは予測不可能」
の一言に尽きる。
これは、株式の短期トレードを推奨する投資顧問やコンサルタントをしている人たちには都合が悪いでしょう。彼らは近未来の値動きに対して理屈をつけて「予想」することで金銭を得ているからです。
本書では「ランダムウォーク」を説明するために多くのページが割かれています。

投資アプローチ

投資について説明する本なので、伝統的な投資アプローチにどんな考え方が説明されています。

1.ファンダメンタルズ派
株価は株式会社の本当の価値に近づいていくはずだから、会社の価値を数字数時換算できれば、本質的な価値より割安な銘柄を買うことができ、持っているだけで利益を上げることができると考える人たち。

2.砂上の楼閣派上記、ファンダメンタルズ派とは異なった軸で市場をとらえており、実際に株価の上げ下げは市場参加者の「お互いの読み合い」で動くため。企業の本質的な価値よりもダイナミックな値動きが起きることを利用して利益を上げようと考えるひとたち。
代表格のケインズは価格形成を「美人投票」にたとえた。ゲーム参加者がそれぞれ「自分がどう思うか」よりも、「大多数の人がどう思うか」に重点を置いて株価を予測するさまがわかり易く比喩えられている。

[私の考え]
私としてはファンダメンタルズ派に考え方は近いです。
数日から半年程度の期間を短期としてとらえており、その値動きについては人の心理が反映され価格が大きく動くことがある。

しかし、数年を最低とする中長期スパンであれば株価はファンダメンタルズ派の示す通り、本質的な価値に収れんすると思っています。
ただし、群集心理を反映した短期の上げ下げは人間では予想することは無理だと思っています。というわけで、私は投資を長期保有を前提に実施します。

バブルの歴史

本書のバブルの歴史を示した2〜4章は投資におけるバブルを観察した資料非常にまとまっています。

17世紀のチューリップバブルから最近のビットコイン高騰まで網羅しています。
実際の価値とは無関係に株価が上昇していく様子を「バブル」と呼ぶ。
参加者がいずれ崩れるとわかっているアソビに一口乗っている。
そんなババ抜きやジェンガのようなもの。

順調すぎる成長(とりわけさん傘舎ほとんどが儲かっているような状況)はバブルの可能性があり、いつか重力にまけて落ち込んでくるということ。
私としてはここに波乗りするの難しいと感じています。タイミングを見計らって株式を買った場合、たいていの場合、そこそこの損失を出しています。

膨大な時間と、ノウハウを勉強した上で、センスがある一部の天才だけが生き残る世界(それこそレッドオーシャン)でしょう。

プロの投資家の成績表

第二部がこの書で一番面白いところです。投資のプロってどれくらいの成績を上げているのかをデータで示しています。著者の主張を裏付ける20年間の投資成績を数字で語っています。

投資のプロについて斬っています。
チャートにのみ依存するテクニカル手法についてはもちろん、ファンダメンタル主義について結果は不十分と看破。

ファンダメンタルズ派に対しては
企業の本質価値にに影響を与えるイベントはランダムに発生するため(つまり企業の価値自体がランダムに変化し続ける)株価はランダムに変化し続けるとしている。
私にはしっくりきました。
市場はファンダメンタルズ情報を直ちに株価に織り込む。しかし、会社の価値はそもそも一定でなく、その会社の商品やイベント、周囲の環境によってしょっちゅう変わり業績にランダムに影響を与える。

つまり、正確に価値を測ることなどできないし、できたとしても数日もすればそれは古い情報になってしまい、新たに会社の価値は変わる。

そして、インデックス投資のバイアンドホールドの強さついてデータで説明している。筆者は1970年からある株式投信358本を追跡調査している。47年経ったのち残っているのはなんと78本。
そして過去47年を比較するとS&P500の成績を1%以上上回るファンドは11本だけ(ゼロではない)。どれもプロのファンドマネージャーが運営する投資信託なのだが市場平均より成績が上回ることは稀。

前半終了

長くなりそうなので
第2部まで読んだところで自分の考えを書いておきます。

私自身は手数料の安いインデックスファンドにほぼ全振りして15年ほど投資をやってきました。結果としては市場平均を謳歌しているので成績は優秀です。その反面、NISAが始まってから遊びで買った個別株はこっぴどくやられておりこの本の第2部で語られる内容は納得感があります。

そして何より
15年ぶりに読むと当時よりもさらに説得力を感じます。
なぜならすでに50年分の株式市場のデータ集まっているので。
バートン・マルキール氏は92歳でご存命のようなので次の改訂時にはウクライナ戦争なども含めた情報が盛り込まれるはず。

ロングセラーの理由のわかる良い本でした。資料としての価値も高いので一家に1冊あっても良いと思います。

次回は3部から。
数式も出てくるのでどの程度の粒度で読み込むか時間と相談してみます。

でわおやすみなさい
ばいちゃ!

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