見出し画像

モルディブに行きたい

あんまり前置きをごちゃごちゃ書くのもだるいので簡潔に話すと、あたしは異国の推しと会えたかもしれなかった。

異国の推しというのは、言うまでもなくRM、キムナムジュンさんだ。

先日ナムさんが来日した。あまりにも突然の来日に日本のARMYは騒然とした。ナムさんは東京の空港から入国し、そのまま滞在するそうだった。

ナムさんが出国、入国したのが9月3日。
なんとあたしはその翌日の4日に東京に行く予定を立てていた。なんならその日3日の夜の夜行バスに乗って向かう予定だったのだ。しかも4日にあたしは「ナムさんの好きな作家さんが立て続けに展示会やってる!東京の美術館巡るべ!」の計画を立てていた。


いやおい!!!出会っちまうかもしれないよ!!!Twitterで吐くほど見た「ナムさんと美術館で遭遇したレポ」が自分の立場になってしまうかもしれないって事でしょ!!!ウワァーーーッッ!!!!


3日、あらゆるダチから連絡を受け、
「ついにナムさんと出会うんだね!運命だよ!」
「ナムさん迎えに来たじゃん!おめでとう!!」
「絶対会えるよ!!祈っておくね!!」
と、みんなの期待と喜びを一心に受け、4日の朝、喉まで上がってくる胸を飲み込みながら美術館を巡った。


・・・・

結論から言うと、出会うことは無かった。リヒター、李禹煥、異性装の歴史、ライアンガンダー、4つの展示会に行ったが、どこにも彼の姿は無かった。

いや、むしろそれが想定内だったのだ。本来の予定はそうあるべきだ。予定を崩したのはナムさんの方だ。100%見入ることが出来たかと言われれば多分否だ。最大値で85%くらいだ。多分。

でも本当に楽しかったし、ナムさんの好きな人達の創り出す芸術を沢山受け取れたのですごく嬉しかった。これは本当だ。好きな人の好きなものをあたしも好きでいられる程の幸福は無い。作品の一つ一つを砕いてヘモグロビンになんとか変換して輸血したいくらいだ。好きな人の好きでいっぱいになりたいのだ。かなり気持ち悪い表現だが結構本気だ。
でもそうする事は今の化学では不可能なので、大人しくもう1つの身体であるスマホのフォルダに収めておいた。


・・・・


東京から自分の住む京都へ帰り、ナムさんも韓国へ帰って数日が経った。
そろそろナムさんの日本滞在記がポツポツインスタにあがってくるかな〜と思っていたところだった。

https://www.instagram.com/p/CiMJ2LWvLx2/?igshid=YmMyMTA2M2Y=


いやリヒター行っとるがな!!!!!


あたしは 大きく動揺しながらも
「いやまぁあたしはわざわざナムさんの好きな作家さんばっか見てたんだしそりゃ1個くらいはダブるって…日にちもまだ定かじゃないし……」
などと斜に構えていた。

後に遭遇レポがやはりあがってきた。

日にちが4日だった。あたしが行った日だった。
たまらず何時に遭遇したか聞いてみた。
15時だったらしい。
あたしは11時に行った。



4時間。たったの4時間だ。



想像してほしい。4時間という時間。

家から出て映画館に向かい、ちょっと長めの映画を見てから近くのカフェに入って感想をツイートするくらいの時間。
途中休憩があるタイプのスケールがデカい商業演劇のおおよその上映時間。
バラエティー番組の特大スペシャルの時間。
1限始まりから昼ごはんを食べ3限の教室に着くくらいまでの時間。
ちょっと夜更かしした時の睡眠時間。

取り返しのつかないくらい長いようで、何かひとつのタスクを削れば出会えたかもしれないくらい短い時間。


そうか。あたしとナムさんの時差は4時間か。


この4時間。たった4時間の時差により、あたしは「もしかして」を滑り落とした。

いや、そもそも関西圏に住むあたしがたまたま上京とタイミングが被り、異国に住む好きな人と同じ日に同じものを見たという事だけでものすごい確率なのだ。十分誇れる確率なのだ。

でも、やっぱり………と考える。
諦めきれない時差なのだ、4時間。
全く厄介だ。くそ〜。


・・・・


あたしは4時間の時差のある国をとうとう調べてしまっていた。それくらい4時間に執着していた。まぁまぁ色んな国が出てきたが、中でもあたしはモルディブが目に止まった。



モルディブってどこだよって人に簡単に説明すると、東アジアに位置するたくさんの島からなる国で、昨今新たなリゾート地として世界各国からセレブがバカンスに来ている国である。


腹立つくらい青い。空も海も。
綺麗過ぎる。


まるでこの4時間が美しいとでも言っているみたいに見えた。

そんなわけがない。だったらこんなに苦しんでいない。あたしの中で4時間は悔しさで煮詰めてグツグツしている。澄み切っていない。


でもお前が今グツグツしているのは4時間という時間である。4時間後ではない。


とかなんとか、あたしの中に住まう聡明なあたしが、グツグツ煮込むあたしの手を掴み言った。

もしかしたら、このモルディブは4時間後の、あたしがナムさんとの4時間の時差を超えた先の景色なのではないかと思った。
この澄み切った広がる海に、ナムさんがいるかもしれないのだ。



モルディブに行ったらナムさんに会えないだろうか。



そんなわけない。そんなわけないけど。

あたしが異国で生まれた世界的大スターと巡り会いたいという願いを叶えるのは、これくらいそんなわけないのだ。

 でも、世の中「そんなわけない」を消していくものだ。そんなわけない、が人生で何回覆されるのだろうか。沢山ひっくり返された「そんなわけない」の何十回目かに、ナムさんと出会う事があるんじゃないだろうか。



・・・・

なぁナムさん。あなたの国から1番近い、時差もない国に、あたしという人間が住んでいます。

あなたに会いたいです。どうですかね。会うとしたらどこで会いますか?


あなたさえ良ければ、晴れ渡る空と澄み切った青い海が広がる、あなたの色でいっぱいな所で出会いたいです。



そうだな〜、例えばモルディブとかどうですか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?