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突然交通事故にあった長男の闘病日記

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アメリカ在住。ビジネススクールでmaster degreeを取った26歳の長男が新しい職に就く前に交通事故に遭う。長男と家族(夫、次男、私、愛犬)での闘病日記。
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#レクリエーション療法士

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】3月24日(木) 0日目:突然の事故

朝4時頃に誰かが家のドアをノックしている。 昨晩友人宅に行くと言って出かけた長男だと思ったがどうもポリスのようだ。 夫を起こして彼が対応してた。外で話し込んでいるので私も行ってみた。 どうも交通事故を起こし今ERにいる、critial conditionだという。 すぐに服を着替え、寝ている次男に声をかけ夫と二人でERへ向かう。 向かう先は隣のcountyにある大学病院のshock trauma center。 ERへ向かう道中は深い霧だった。雨も少し。標識も見づらい。これが

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】4月26日(火) 33日目: Rehabilitation Center 8日目

recreational therapist : レクリエーション療法士 今日はリハビリ施設に訪問できない日。 昨日の夕方、長男から私の携帯に着信。 「ボクの財布はどこにあるの?」 そう、交通事故を起こしそのまま長男は救急車でERに運ばれた。 長男は事故のことを一切覚えてない。 だが、交通事故を起こしたことは知らされていた。 「救急車でERに運ばれた時に、あなたの貴重品も一緒に運ばれてるのよ。免許証、財布、車と家の鍵、AirPods に 携帯電話。 お財布の中のクレ

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】4月27日(水) 34日目: Rehabilitation Center 9日目

今日はリハビリ施設訪問の日。 夫の仕事は午前中に終わるので、その後に寄ってくれた。 私は家で雑用。 朝から、喉のX線、眼科医の健診があり、予定されていたレクリエーション療法には参加できなかったらしい。 残念だ。 飲み込みの検査では、少量の水分の飲み込みはOKだったらしいが、多めの水分は飲み込めずに戻してしまったらしい。 詳しくは造影をして確認するらしい。 その後、理学療法士との訓練。 夫も一緒にジムに行って見学。 トレッドミルでの歩行の訓練では、疲れたのか途中でやめたら

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】4月29日(金) 36日目: Rehabilitation Center 11日目

夫と一緒にリハビリ施設へ。 月曜に私たち夫婦は研修を受けたのだけど、まだ不足してるものがあるのでそのフォローアップをしてもらった。 朝9:30に長男の部屋へ着くと、ベッドの上で携帯をいじっていた。 着替えの服を持ってきたと伝えると 「長袖の服がほしい」 というので、持ってきたパーカーを渡す。 長男が 「How is ***(弟の名前) ?」 (弟はどんな感じ?) と、聞いてきた。 「大学の寮が18日にcloseするから、家に戻ってくるよ。夏のインターン先も決まったよ

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】4月30日(土) 37日目: Rehabilitation Center 12日目

今日はリハビリ施設へは訪問できない日。 昨晩、長男から携帯に着信。 「退院は火曜日?」 と長男。 「火曜日の予定だけど、金曜日に延期になるかもしれないのよ。 何か欲しいものある?」 と私。 「アイスクリームが食べたい」 「アイスは無理かもしれないけど、シェイクを持っていくよ。 看護師さんに持っていっていいか聞いておいてね。」 声は弱々しいが、普通の会話になっている。 今日のお昼に、長男から着信。 「クレジットカードがいる」 と長男。 「どうして?」 「Ap

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月1日(日) 38日目: Rehabilitation Center 13日目

今日はリハビリ施設へ訪問できる日。 昨日の夜、今日の朝、と何度も長男から電話。 「明日は何時に来るの?」 「ドリンクを持ってきてほしい。」 「キャッシュがいる」 etc. 日曜なのでリハビリ施設も忙しくなかった。 長男のセラピーも今日はお休み。 きっと一日退屈してるのだろう。 午後2時半にリハビリ施設へ到着。 一人しか病室に訪問できないので、まずは夫が先に行く。 約束したチョコレートシェイク他を持参して。 30分後に夫が戻ってきたので私と交代。 夫が 「シェイク

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月2日(月) 39日目: Rehabilitation Center 14日目

今日はリハビリ施設へ訪問できない日。 明日、長男が退院するので、大工さんに、お風呂、トイレ、玄関の階段、裏口から庭に続く階段に手すりを付けてもらった。 手すりの設置はリハビリ施設から指示されたものだ。 夫は、毎日、病院や健康保険会社、息子の職場の人事などと連絡を取り合っている。 長男に不利になることが無いように、と出来る限りのことをしている。 次男は私と夫との子だが、長男は私の連れ子。 夫からすると、長男は step son になる。 しかし、実の子と同じように愛情を

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月3日(火) 40日目: Rehabilitation Center 15日目

今日はリハビリ施設からの退院の日。 夫と一緒に施設へ。朝9:30に着く。 売店で長男リクエストのオレンジジュースを買って病室へ。 帰る気満々の長男。 着替えなどを袋に入れ、荷造りは完了。 後は、看護師と医師を待って説明を聞くだけだった。 長男が胃ろうをするのに栄養剤(TWOCAL® HN)を大き目のsyringe(注射器)を使って入れるのを嫌がっていたので、家で電気式のポンプを使うことになっていた。 この電気式のポンプを使うと、栄養剤がゆっくりと胃の中に入っていく

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月4日(水) 41日目: Rehabilitation Center 16日目

リハビリ施設からの退院の日。 昨日、trach(気管切開)のチューブを外し、その後の経過観察でOKが出たので、今日の朝退院が許可された。 長男から 「何時ごろに来るの?」 と連絡。相当、待ちくたびれているようだ。 施設に着き、長男の病室に着くと、フリースのジャケットを着て帰る準備をした長男がベッドの上にいた。 手続きや、処方箋を薬局に送ってもらったり、色々時間を要した。 「まだ行かないの?」 と、長男が何度もせかす。 「まだ、手続き等があるから待ってね。我慢して」

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月6日(金) 43日目: 倦怠

昨日と違って今日の長男は一日中倦怠感に悩まされていた。 昨日は家の中を歩き回っていたのだが、今日は午後までずーっとベッドの中で寝ていた。 「立っていると頭がふわふわするんだよ」 薬の影響か? 処方薬のひとつに valproic acid という薬がある。 valproic acid : バルプロ酸ナトリウムは抗てんかん薬の1つとして利用される。世界保健機関のWHOエッセンシャル・ドラッグ・リストの中にも収載されている。 * 参照 wikipedia より 医師から

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月7日(土) 44日目: Kentucky Derby

朝、夫が仕事帰りに次男を大学の寮でピックアップしてきた。 今日は Kentucky Derby の日。 夫と夫の亡き両親が競走馬のビジネスをしていた関係で、5月一週目の土曜に開催される Kentucky Derby を家で観戦するのは、我が家の定番の行事になっている。 長男は朝から割と調子が良かった。 昨晩、液体の薬を syringe(注射器)を使って長男の口に流し入れた際に、その液体の薬が気管に入ってしまった。 咳き込み、その反動でせっかく閉じかけていた気管切開の穴

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月8日(日) 45日目: Happy Mother's Day

今日は母の日。 まさか、長男が生きて、また自宅に戻って一緒に祝ってもらえるとは思ってもみなかった。 朝、6時の薬の時間に長男の部屋に行く。 胃ろうで投薬。 長男から 「母の日 おめでとう」 と言われた。 そのまま、長男は睡眠。 すると8時頃に私の携帯に着信。 「一回目のfeeding をして」 朝の薬と TWOCAL® HN を胃ろうで長男に与える。 キッチンカウンターには、いつものようにバラの花束、GODIVAのチョコ、母の日カードが置いてあった。 これも我が

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月9日(月) 46日目: The Crash Reel

夫はレクリエーション療法士からお勧めされたいくつかのmovieを長男と一緒に見始めている。 数日前は Regarding Henry を見ていた。 1991年の古い映画だが、二人で話しながらみていた。 今日は The Crash Reel 。 トップスノーボーダーが事故でTBI(traumatic brain injury)になり、その後の過程を追ったドキュメンタリー映画だ。 見ていると長男といくつか似ている箇所があった。 長男もこの映画を見ながら、自分の症状はどうなっ

【突然交通事故にあった長男の闘病日記】5月10日(火) 47日目: 主治医

今日は長男の主治医のオフィッスへ。 アメリカでは医師の他、Nurse Practitioner (医師のように、一定レベルの診察や治療を行うことができる上級看護師)が主治医として患者を診ることができる。 私の主治医の名前はNancy, Nurse Practitioner として私を20年診ていてくれている。 長男も同じ診療所に通っているが、主治医は特に決まっていなかった。 今回、Nancy が長男の主治医になった。 長男が入院中に私たち家族を心配してNancyが電話