見出し画像

そういえば春、だった。

「またか……」

これで何度目だろう。保育園の休園の知らせに文字通り頭を抱えた。

その連絡を受けたのは追加接種翌日で、体調も芳しくなく、久しぶり午後から休みをとり、さて寝床で休もうかな、とした、その時だった。(そもそも1日休めない状況もどうかしてるが)

この知らせが届くと、すぐに息子を迎えに行かなければならない。今回は熱はないのが幸い、とは言えフラフラになりながら何とか息子を迎えに行った。

翌日は卒園前最後の行事だった。「行きたかったのにぃ……」いつもより早く迎えに来てくれる喜びでこれまでは何も言わなかった息子が、初めて悔しがった。何度コロナに振り回されるんだろう……何もしてあげられなくて、泣きそうになる。

卒園前の休園と、副反応のクラクラと痛みと、繁忙期で処理できない仕事の憂鬱と、何でこうも重なるのか…という状況で暗くなるばかり。気持ちが全然晴れぬまま、息子を見ながら横になりつつ(つまりほぼ放置)何とかその日はやり過ごした。

翌朝、幸い?にも副反応は腕の痛みのみ。つまりは在宅ワークしながら、テレビに子供をお守りしてもらう日々が復活。

腕の痛みよりも心の重さ。私の心は全くもって器用じゃない。年始からの積み重なりがキャパオーバーしていっぱいいっぱいで本当は寝込んでいたい。それでも、目の前に息子を見つつ、半日で溜まったメール、止まらないチャットを処理せざるを得ない現実に動かざるを得ないわけで。

しかもこういう日に限って割と重要めの仕事があって最優先で対処しないといけない。はぁ……慣れましたけども(半ば諦め)

その割と重要めの仕事を終えた時、担当の同僚から御礼のチャットと一緒に一言が添えられていた。

「さにさんとこのお子さんももうすぐ卒園式ですよね?休園、大丈夫ですか?」

同僚にも同じ歳の子供がいる。彼のお子さんは今週末が卒園式らしい。

「はい。来週なので何とか今のところは大丈夫かと。あるといいんですが」

「来週なんですね!来週なら桜も咲いてますね!」

この一言ではっとした。

そっか、桜。桜の季節だった。

卒園式も実感が無いまま、外出もままならない日々を過ごしてたらいつのまにか開花が迫ってたらしい。というか、今の季節が「春」と言うことにもちゃんと気づいていなかったのかもしれない。

3月の何日なのかは納期の記号にしか見えないまま、危うく区切りの春が過ぎていくとこだった。何気ない一言で気づかされる春。そして桜。

調べてみると開花予想日と卒園式は同じ日だった。心に小さく桜が咲いた。

まずは来週無事に卒園式がありますように。叶うなら、息子が笑って旅立つ春を桜の開花と一緒に見届けられますように。

せめて当日は、ちゃんと春を感じられますように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?