見出し画像

ホクナリンテープの間違えた認識

Take Home Message

◻︎ホクナリンテープに咳を止める効果はない
◻︎気管支を広げて呼吸を楽にするお薬
◻︎徐々に薬の効果が出る(6−8時間程度)
◻︎24時間程度もつ
◻︎動悸や手足の震えなど副作用がある(乱用は控える)

ホクナリンテープってなに?

 診察を受けていないのにもかかわらず、テープを貼って来院するお子さんが多いことにびっくりします。世の中では咳を抑えるテープとして認識されていることが多いお薬ですが、本当に咳を止める効果があるのでしょうか?

(1)ホクナリンテープの効果
 テープに含まれるホクナリンという成分は、気管支を広げるお薬です。気管支喘息、気管支炎などで気管支を取り巻く筋肉が炎症を起こし狭くなっている空気の通り道を広げる効果があります。このホクナリンと同じ成分の飲み薬や、吸入薬が効果発現までにかかる時間が短いのに対し、このお薬はテープにその成分が入っており、じわじわ皮膚からお薬が吸収されるため、効果が出るのは6ー8時間後からであり、その後24時間程度効果が持続します。内服薬や、吸入薬と異なり、効果が長持ちするので、早朝に起こる喘息発作を、予防することができます。ここでいう喘息発作とはあくまでも気管の狭窄に伴うような、ヒューヒュー、ゼコゼコ、ゼーゼーなどの症状を指します。

画像1

(VIATORIS ホクナリンテープ 作用と効果)

画像2

(VIATORIS ホクナリンテープ 作用と効果)


(2)咳を止める・予防する効果はある? 
 咳を止める・予防する効果は全くありません。また喘息発作の予防には効果がありますが、即効性がないため、すでに起こっている喘息発作を抑えるには向いていません

(3)気になる副作用について
 薬の作用部位が、気管支以外にも心臓、交感神経にあります。その為心臓に作用すれば動機が起こり、神経に作用すれば、四肢の震えなどの症状が出出る可能性があります。またアレルギー反応が出ることや、体の中のカリウムいう電解質が低下し、筋力低下、不整脈などを起こす危険性もあるのです。
 調子が悪い時にこのような貼るお薬は、飲み薬よりも気軽に使えると思います。しかし、その分危険も多いのです。クリニックでこの薬が処方された時も、お子さんのご家族の方々で貼る前にもう一度、気道狭窄症状(ヒューヒュー、ゼコゼコ、ゼーゼーなどの症状)があるのか確認していただければと思います。お子さんの状態が気道狭窄症状に当てはまるかどうかわからない場合には、クリニックで一緒に確認しましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?