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うつ病カウンセラー、実はうつのことよくわかってなかった事を識る

■改めてうつを知る

前回、お薬の副作用で苦しんでいた時期に、改めて色んな事を調べて見ることにしました。

というのも

「私心理士だしうつの症状くらい知ってるし」

と心のどこかで知ったかぶりして、おかしなプライドが邪魔をしていた自分に気がついたのです。

私が知っていたのはただの診断マニュアル上の文言と薬の名前であって、実際に薬の働き方も知らなければ症状から回復する手立てや流れ、症状が発症するメカニズムも知らなかった!自分の症状に自分が無知である事に、薬の副作用をきっかけとして気づくようになりました。

同時に当時の私が最も困っていたのは家族の無理解。動けない私を見て苛立ち責め立ててくる両親。自分でも何が原因か分からないし(一応うつとはこの時点までで既に一年以上のお付き合いをしてきたので、これまでとは様子が違う事に自分では気づいてました)そもそも話す気力もない。でも黙って責められ続けるのはどう考えても回復にはデメリットになる…

そこで考えました。伝わりやすい当事者の体験談を両親と共有できれば、 少なくともサボりやなまけではない事くらいは伝わるだろうか、と思い当事者の体験談がわかりやすく伝わるメディアを探しました。見つかったのが

■「ツレがうつになりまして」

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映画化もした細川貂々さんのコミックエッセイです。まずは私がエッセイを読んで、続編のエッセイも買って、映画をDVDで借りて来ました。そして、母と一緒に見てみました。

一緒に見た感想として…

私は俳優さん達の演技力の素晴らしさに感嘆し、改めて「勝手にわかったつもりになって食わず嫌い」をしていた事を反省しました。というのも、過去にテレビドラマで自閉症のお子さんとお母さんを主人公としたドラマを見て、「違和感を拭えない」と感じてそれ以来、疾患や障害の当事者を描くエンタメを意図的に避けていたのです。

一方の母はというと、特に感想もなくこちらも求めず、そして相変わらず価値観のズレからくる諍いは起こりましたが、それでも教科書的な範囲で症状についての理解をしてくれたようです。

父には、理詰めで色んなネット記事等を印刷して目に見える所に置き、どのように私と向き合って欲しいかを間接的に伝える戦略を取りました。基本的には、父はそれらに真剣に目を通すという事はありませんでしたが(彼は家族の前でそうした振る舞いをする事を照れくさく思うタイプなので)後々、あるきっかけをもとに、父も私の症状について批難する事は無くなりました。

そのきっかけには、認知症の祖父が関係していました。私が実家に戻ってきた頃、祖父の認知症状は日に日に悪化し、家族の負担感はピークに達していました。そして、祖父に施設入所してもらう事となったのです。祖父が施設に入所した後も、両親は定期的に祖父のもとを訪れては必要な衣類の準備や爪切り等ケアに行っていました。思い返せば、それが父にとっての親孝行にもなっていたのでしょう。

ある日、私は父と2人で祖父の施設を訪ねました。その後、父と2人で喫茶店へ入り、そこで私の症状について、今後の回復までの道のりについて、父が気になっていたらしい事をいくつか質問されました。朝体が痺れるように力が入らず、自分でも悔しいけれどどうにもならない事、夕方頃からようやく動き出せるのでどうしたら回復に繋がるのか調べて症状と向き合っていること、体が動けるようになったら仕事したいと思っている事等、思えば私もそこで初めて父と向き合って話をした気がします。

それがきっかけでしょうか、相変わらず互いに距離は置いていましたがそれでも、父も私の事で怒るような事は減っていきました。

家族がストレス要因となる頻度が減り、私も自分で回復する為のプロセスを計画するようになります。

・生活リズムを一定にする

・ラジオ体操やヨガ等不可の少ない運動から始めて、体力がついてきたら自転車で移動する距離を伸ばす

・日光を浴びる

・タンパク質、オメガ3脂肪酸を摂取する

・脳トレゲーム等で適度な負荷をかけて脳をリハビリさせる

・コラージュ療法を始めて自分の心の世界を表現すると共に、ハサミやノリで手先や空間認知のリハビリをする

・好きな漫画やアニメ、読書、音楽を読んだり聞いたりして心のエネルギーを回復させる

■「うつヌケ」

そんな事をしているうちに、また1冊の当事者書籍と出会います。それは、田中圭一先生の「うつヌケ」でした。ツレうつもうつヌケも、比較的売れ筋だったのでどちらもご存知の方も多いかと思います。

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うつヌケには、複数の当事者エピソードが記されており、そのどれもが共感できるとともに「こんなにも多くの人がこの症状に苦しみながらも、うつと共に生きていく新たな人生を歩んでいるのか」と知る事ができた1冊でした。

こうしたいくつかの当事者体験記や専門家の情報を収集する事で私は改めてうつを識り、うつと共に生きていく道を選びました。今では「うつになった事がきっかけで自分の限界を知る事ができるようになった」し「自分の心との向き合い方を知る事にも繋がった」と、この経験を肯定的に捉えています。一方で、今でも抗うつ薬も入眠導入剤も入眠持続剤も飲み続けています。かれこれお薬とは6年目のお付き合いになりますが、「薬が無いと寝られない」と考えるよりは「薬があれば寝られるんだから差し支えない」と考えています。

●今日のしくじり

・症状についての理解を深める事が回復の為の道筋を知る第1歩

・医学、薬理学、栄養学、スポーツ科学、心理学、色んなアプローチがある中でまずは自分が取り組めそうな事を見つけよう

・同じ境遇の人の体験を知る事で、症状も状況も異なれどその苦境に共感する事で自分が孤独じゃない事に気づける

・当事者の体験記を広める事が自分の症状を周囲に知ってもらう事のきっかけに繋がるかもしれない

さて、本日のしくじり先生の授業はここまで!

みはさん、なんとなくわかった気になっていたご自身の症状との付き合い方。今一度まわりを見渡して、お困りの症状の正体を解き明かしてみませんか?何か新たな手がかりが見つかるかもしれません。


もし中の人と相談してみたい、と思ってくださった方はこちらまでお気軽にご連絡ください。皆様からのご相談、お待ちしております☺️


それでは、起立!礼!

お読みいただきありがとうございました!

有資格者の心理カウンセラーが自身のうつ病経験のしくじり体験談やそこから復職にいたるまでのコツや、病気と付き合う為のノウハウを記事にしています。遠隔カウンセリングも行っておりますので、なかなか外に出るのが難しかったり直接人と会うのが苦手な方もお気軽にお問い合わせ下さい☺️