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テキーラロドリゲスのNOMADOコラム #10

『金継ぎ』って聞いたことはありますか?
落として欠けてしまった、割れてしまった、ヒビが入ってしまったけど、思い入れがあったり、純粋に高価なものだったりで、捨てるに捨てれない器は必ずどの家庭にもありますよね。
金継ぎはそれを漆など自然の材料を使って修復する、室町時代より続く日本の伝統技術です。金継ぎをすることで、器がより芸術的にもなるし、価値があがる場合もあるし、何よりも壊れた器を修復しながら長く使用できる為、昨今のSDGsの流れにマッチして、耳にする機会や試してみる機会も増えてきていますよね。こんなことが簡単に出来るってわかっていたら、処分しなかった器などもあったのになぁ、くすん。

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そんな時、お友達が誘ってくれた金継ぎワークショップ。日本の伝統技術なのに、ちょっとイマドキな匂いがプンプン。予約困難な中、偶然参加できることになりました。
しかーし、ここで大きな問題が、、、、金継ぎをするに値するような、まともな器がうちには無かった。9割方の我が家の食器さん達は、100均もしくはIK〇Aからお迎えしたもの。ワークショップへ参加するのもタダじゃぁない、ならば価値ある食器を金継ぎしたい!
ということで、食器棚をひっくり返し、まとも且つ壊れた食器を物色し、やっとこさ見つけた、欠けてしまったお皿2枚にグラスが1個。これが限界。さぁ、それらを持って金継ぎにいざ参らん!
割れたものを修復すると金色の筋が割れ目に入るので、とっても素敵になっちゃうのですが、今回トライするのはちょっとだけ端っこが欠けた皿2枚と、派手に柄がボキッと折れたシャンパングラス。シャンパングラスはチャレンジで、先生にダメと言われたら、スゴスゴと持ち帰ろう。なんだか不安いっぱいで向かうと、立川談志師匠的なチャッキチャキの女性の先生が本日の講師。愛情たっぷりのチョイ毒舌キャラの先生で、最初はビビったものの、お話が楽しくって、伝統技術という敷居の高い雰囲気なのに気楽に参加させて頂きました。先生の愛のムチに程よい緊張感を持って作業してまいりました。

欠けたお皿の修復方法は以下の通り。
① パテやペーストで欠けた部分を埋める。
② 本来の姿からはみ出ている部分をやすりで削る。
③ 欠けを埋めた部分に漆を塗る。
④ 漆を塗った場所に金粉を蒔く。

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ガラスはかなり難しいみたいでしたが、先生が「とりあえず、やってみっか」とおっしゃって下さり、挑戦することに。強化するために、わざと多めのパテでぐるりと巻いているので、見た目は少し不格好ですが、完全に諦めていたのに蘇った感激&金継ぎにより自分だけのオリジナル食器感で、愛着が湧いてなんかホッコリ。
小さな欠けの場合は比較的簡単に直りますよ。

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時間が余ってしまったので、先生に隠れて、欠けてはないお皿の縁の部分にもポイントとして金を塗ってみました。
これで数日~2週間ほどじっくりお勤め(乾燥)したら、再度シャバ(食卓)に復帰です!
金継ぎをした器は、食洗器やレンジなどでの使用を勧めていないようですので、お気をつけてください。

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金継ぎで器を修復しながら、そして自らの手で修復すことによって生まれる愛着をたっぷり感じながら、ずっとずっと陶器を使えると知っていたら、食器選びの基準も変わってきますよね。ファストファッションならぬファスト食器を買って、割れたり欠けたりしたらすぐに捨てて、また新しいファスト食器を買えばいいなんて時代はちょっと古いのかもしれません。まだまだマスク、ソーシャルディスタンス、リモートワークなども続き、人と直接触れ合うチャンスは以前の通りではありません。心にぽっかりと穴が開いてしまっている人や、色々な気持ちを持て余してしまっている人たちも依然多いと思います。その代わりに、以前は見落としがちだった自分の生活の一つ一つに改めて目を向けて、それに愛着を持ち、その愛着に囲まれて生きるというのは、これからの時代での幸福感の一つのカギなのかもしれないな、と金継ぎを通して思いました。


私のほうれい線にも金継ぎししたーい。

iguana寝てる


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