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人生は帳尻が合うように出来ている

人生は帳尻が合うように出来ている

この言葉に出会ったのは、高校3年生の時。社会科担当のおじさん教師が、授業中の何気ない雑談の中で放った言葉だった。

「先生は若い頃、顔も見た目もこんなんだし、何も取り柄がなくて、いいことがなかった。でも、真面目に地道に生きてきたら、今はいいお嫁さんと娘に恵まれて、愛妻弁当を作ってもらって、こんなにも幸せだ。人生は帳尻が合うように出来ている。みんなも覚えておいて欲しい。」

みんな雑談やら自習に夢中で、誰もまともに聞いていなかったのでは?と思ったけど、ここにしっかり聞いていた人がいる。そして人生の辛い時を救われた。

当時の私は、無謀な挑戦をしていた。

第一志望校の模試の判定は、高3の夏頃までずっとE判定。頑張っている割に思うように成績が上がらず焦っていた。親も担任も「志望校のランクを下げろ」と言ってきた。それでも私は第一志望の大学を諦めきれず、毎日夜遅くまで机にかじりつくように勉強した。経済的な理由から学習塾や予備校に通うのが難しく、ネットで情報収集しながら独学で挑んでいた。全国の受験生たちのみならず、孤独とも戦った。

秋頃、推薦入試などで進路が決まる生徒たちが出てきた。その子達が放課後に楽しそうに遊びに行く姿を見て、何度も「うらやましいな」と思った。

姉妹に彼氏が出来て毎週楽しくデートに出かけて行く姿を見て、「なぜ自分は勉強しているのだろう?頑張って意味はあるのかな」と何度も思った。

そんな時に、「人生は帳尻が合うように出来ている」という言葉を思い出し、自分を奮い立たせた。

この頑張りは、未来で無駄にならない。たとえ志望校に合格できなかったとしても、ここで頑張ったことや身につけた忍耐力、自分自身と向き合ったことは人生の中で必ず役に立つ。

苦しいことのあとには、必ず幸せがやってくる。

そう信じて、走り抜いた。

結果、私は周囲に無理と言われた第一志望に合格することができた。

合格してからの毎日は、苦しい日々に想像していた未来の何倍も楽しく、充実していた。

それから時は過ぎ、私は社会人になった。
「帳尻が合うように出来ている」というのは、受験のみならず、人生全般に言える言葉だと実感している。

何かを頑張って、すべて無駄に終わるということは無い。

苦しいだけ、嫌なことだけ、苦労だけの人生は無い。

もちろん、「努力は必ず報われる」といった考え方に異論を唱える人もいるだろう。

しかし、私は、自分の思い描いた結果が出なかったとしても、自分が思う報われ方をしなかったとしても、頑張ったことや苦労したことに対する何らかのリターンは人生のどこかで必ず得られると考えている。

だから、腐らず、あきらめないことも大切なのかもしれない。

長い目で見て、ゆっくり、じっくり待とう。

きっと、人生は帳尻が合うように出来ている。

これからも大切にしていきたい教えだ。


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