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Galaxy S24 Ultra発表から変わる、これからのAIスマホの未来

Samsungは、2024年のフラッグシップスマートフォン「Galaxy S24」シリーズを2024年1月18日(日本時間)に海外発表しました。
Galaxy S24・Galaxy S24+・Galaxy S24 Ultraの3機種で、海外では1月31日より発売されます。

端末の詳細については、MATTU SQUAREのサイト記事や、YouTube動画にてまとめていますので、そちらもご覧ください。
日本ではまだ取り扱いを発表していませんが、例年春に発表・発売しています。続報に期待したいところです。

海外発表を見て、また、Galaxy Harajukuにてグローバルモデルの先行展示も見てきました。
見た目は昨年のGalaxy S23シリーズに似たところもありますが、明確に異なる「AIスマホの新時代」を感じています。

AI時代のスマホ発表、発表スタイルも変化

2023年の初頭から「Chat GPT」の台頭でムーブメントを起こした生成AI。
それまでは、AIといってもいまいちピンとこなかったかもしれませんが、一般ユーザーから見ても体感しやすい形でお披露目されました。

その後、GoogleはBard・Gemini、MicrosoftはCopilotをリリースするなど、2023年のAI業界では、テックジャイアントの各社は生成AIをし烈に競っています。

ChatGPTなど、2024年初頭現在の生成AIは大規模なクラウドサーバーとのやり取りを行う「クラウド型AI」が主流。

スマホは「オンデバイスAI」で進化?

一方、スマホなど、デバイス単体でAIの恩恵を受けられる「オンデバイスAI」の動きが活発になったのも印象深いです。

Pixel 6シリーズから搭載されているGoogle Tensor

Googleは、2021年に発売したPixel 6シリーズより独自のチップ「Google Tensor」を用いたAI体験を先行して提供していました。
リアルタイムで録音した声を文字起こしできたり、動画音声の翻訳、写真編集時の「消しゴムマジック」など、声と静止画編集が強化されている形でした。

今回、Samsungも「AIスマホ」を発表するに至ったわけですが、突然このようになったわけではありません。

Snapdragon Summit 2023で語られた、「スマホとAIの関係性」

2023年10月にハワイで開催されたSnapdragon Summit 2023では、スマートフォン向けの最新チップセットである「Snapdragon 8 Gen 3」が発表されました。

Gen 3を「Gen AI」と表現するほど、AIに注力しています

Snapdragon 8 Gen 3自体、先代のGen 2と比べて性能も大きく進化しています。
しかし、大々的に語られたのは「AIに最適化されている」という点。

とりわけ、現代人が肌身離さず持っている「スマートフォン」をAIに最適化している、とアピールしたのは、歴代のSnapdragon 8シリーズの発表とは大きく異なります。

また、クアルコムが強調したのは「オンデバイスAI」。

On-device AIをスマホ・PCなどクロスデバイスで訴求するクアルコム

スマートフォンチップの中にAI専用の「NPU」を搭載し、スマホの中だけでもある程度AI処理を完結する「オンデバイスAI」にこだわっています。
これは、通信環境という点でも、会社・仕事などでスマホを使う際のセキュリティを担保する、という点でも、非常に大事なことです。

AI生成画像とインカメラを合成して写真・動画を取れるデモ

Snapdragon Summitのデモでは、スマホ上で生成AIをオンデバイスで回したり、カメラのリアルタイム映像とAI生成画像と合成したりと、いろいろな近未来のテクノロジーを見ることができました。

Samsung Galaxy S24シリーズでも、オンデバイスのみの設定が可能

Snapdragon Summitは、チップセットの発表なので、搭載製品がすぐ発売される、というものでもありません。
しかし、これから1年間の新製品や、または次世代以降の方向性も合わせて、このように「AI」を主眼に進化していくことを決定づけている、という点でも、非常に興味深いものでした。

Galaxy S24シリーズの発表は、今までとは大きく異なった

2024年1月18日に行われたGalaxy S24・Galaxy S24 Ultraの発表も、今までのSamsung Galaxy Unpackedとは大きく異なりました。

今までのUnpackedでは、

「カメラすごいんだぞ!!!」
「性能もパワフル!ゲームもめっちゃ快適!」
「環境にもめっちゃ配慮!」
どやっ!

みたいな構成で行われていましたが、今年はだいぶ変わりましたよね。

Galaxy AI!

最初から「Galaxy AI」に全振りしており、今回のGalaxy AIで出来る新機能がてんこ盛り。

Googleも強化してきた言語系では、電話でのライブ翻訳もできるようになっています。
ボイスレコーダーでの10人まで話者を区別して文字起こし・翻訳も可能です。

Galaxy Harajukuでの先行展示にて。通話のライブ翻訳のデモも見れます

カメラも強化してはいますが、「Galaxy AIのおかげでこんなに鮮明に生成できます」「こんなに編集できますよ!」みたいな感じにアピールしていました。

カメラ:夜景低照度環境でもきれいに撮れるし、手振れ性能もさらに強化

とにかくAIなんですよね。

もちろん性能面でも、Galaxy S24 Ultraは「Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxy」という、Galaxy S24向けにさらに最適化(クロックアップ)されたチップを採用しているため、より性能はアップしています。

チップセットの性能アップも強調している、が、NPUが中央に。

発表会でも、冷却構造の強化、レイトレーシングの強化など、性能アップの内容は謳われていましたが、それよりも「Galaxy AI」による機能強化が全面的に推しだされていた形です。

スマホの発表は、スペック訴求から機能訴求に戻った?

個人的には、発表会では「スペック、ドーン!」と発表すべきではなく、「こんな機能、便利ですよね?使いたいですよね?」と言っていった方が、一般の方にはわかりやすいのではないかと思うのです。

Googleとのコラボで実現した、かこって検索(Circle to Search)

逸般人(マニア)には「Snapdragon 8 Gen 3」と言われたら「やった!」と思うでしょうが、一般人は正直よくわからない、むしろメモリとかストレージとか、なに?という人のほうが圧倒的に多いはず。

スマホもAI時代に突入したからこそ、スペック訴求ではなく、機能重視でスマホを選びやすくなったのではないかと思います。
おそらく、同じSnapdragon 8 Gen 3のスマホでも、各社で使える機能はかなり異なる可能性が高いです。

(おそらく、Google Pixelシリーズも、(広告や割引・還元等の恩恵もあるかもしれませんが)機能訴求で成功している事例なのかもしれません)

これからの「AIスマホ」は、見た目以上に機能差がつきやすいかも

今まで「スペック至上主義」だったハイエンドスマホも、AIスマホ時代の到来で、スペック以上に機能を求められるようになってきました。

Google PixelとSamsung Galaxyも、現時点ではAI機能は翻訳・文字起こし・画像編集と方向性は似ていますが、細かく見ていくとアプローチが異なるのが面白いです。

Galaxy S24 UltraならではのAI機能は、メモを要約・体裁も整えられる「ノートアシスト」

また、Google Pixelはもちろん自社Googleの機能にフォーカスされていますが、Samsung GalaxyはMicrosoftとの連携も非常にしっかりしています。
Androidユーザーは特にWindowsをお使いの方も多いでしょうから、GalaxyとWindowsのタッグはユーザーにとってもうれしいでしょう。

Android OSとしてある程度AI機能をサポートする方向性もあるでしょうが、独自設計チップのGoogle Tensorを使うか、PC・イヤホン・XRなど様々な機器との連携も謳っているSnapdragon 8シリーズチップを使うかでも、機能やパワフルさも含めて差が出てくるところかもしれません。

ユーザーに届く新機能の魅力は、だいぶとらえ方が変わりつつあります。
より、メーカーとユーザーの距離が、今後の商品開発に影響しそうな感じがします。

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