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Apple TV+のドラマ「PACHINKO パチンコ」を見て、「在日コリアンの話」がこうやって世界中でドラマとして配信されることにビックリしたので、思うことをつれづれ

雑記というか、「在日コリアン」として思ったことをあれこれと。
(在日韓国人 or 在日朝鮮人と言い方も各種あるが、ここではいまるっと「在日コリアン」で)

■在日コリアンの物語に出演している在日が日本名で出演する理由に「在日コリアンの"海外"ならではの悩み」を実感

パチンコの第一話を見たら、知っている人が出ててビックリした。
モーザス役のSoji Araiさん。本名は朴昭熙(パク・ソヒ、박소희)。
知っていると言っても、「大学生のとき何度か遊びに行ったサークルにいた先輩」程度の間柄なので、先方は私のことを覚えていないと思う。
(おこがましすぎるので連絡していない)


ツイッターインスタはちゃんとフォローした。
(みんなもフォローしてね!)

それにしてもビックリした。本当にビックリした。
報道で「在日も出演している」というのは読んだけど、ソヒさんは「Soji Arai」名義だったので気づかなかった。あまりにビックリして声が出た。

ソヒさんが芸能活動をしていることは知ってたけど、いつのまにかアメリカに行ってたとは。日本にいた時は本名で活動していた気がするから、パチンコに日本名で出演していたことにもビックリしたが、記事を読んで「なるほどな」と。
(みんなー!ぜひ↑の記事も読んでね!!)

これは自分語りも含むが、私たち在日は、海外では「韓国人」だ(在日コリアンで国籍が韓国でない人もいるが、今回そこは置いといて)。日本で生まれたと説明しても、相手には「典型的な韓国人」であることを想定されるケースがほとんど。リップサービスで「韓国ドラマの○○○を見たよ!すごい面白かった!!」とか「BTS好きなんだよね〜」と言われたりする。私としては「宇多田ヒカルが好き」と言われるほうがテンション上がるんだが… 日本的な要素は説明しないと分かってもらえない。日本語はネイティブレベルで話せるのに、「どうせなまってるんでしょ?」と疑われる。おいおい、知らないくせにw といつも思う。でも、私の日本語レベルが日本人と同等であるとロジカルに証明する手段はないのだ。マレーシアで生まれたNon-Malaysianである息子がマレーシア語を話さないように、私が日本で生まれたという事実はこの文脈においてはあまり意味をなさない。日本語ネイティブだから日本語能力試験(JLPT)もわざわざ受けないし。

一方で「外国人が思うような典型的な韓国人」ではないので、韓国語は流暢には喋れない(在日の読み書き会話のレベルは様々だが)。
文化、流行り、政治、わからないことが多い。
韓国の大統領選挙だって、投票しようと思えばできるけど、投票日の日本のニュースで初めて候補者の名前を知ったくらいだし、学生の新学期が3月から始まるというのもつい最近知った。

もはや日本人でも韓国人でもない。

そんな在日コリアンが本名を背負って海外で生きるというのは(私の場合通称名がないのでそもそも本名でしか生きていないとはいえ)、需要と供給が一致しない場面にぶち当たりまくるのを意味するし、これまで9年に及ぶ海外生活でまざまざと実感したので、ソヒさんの記事で「そうだよね、ですよね」と激しく頷いてばかりだった。ソヒさんがアメリカでの芸名を日本人っぽい名前にしてアメリカで活動するのも理解できる。

そんなソヒさん、一人でアメリカに乗り込んで、実績を積んできた。そして手にしたこの機会。本当にすごい。ただの他人なんだけどあまりに嬉しくて、親に「知ってる人が出てるからパチンコは必ず見て」とLINEした。

■ 日本に対する複雑な感情をグイグイえぐるドラマ

原作はまだ読んでいないので先のストーリーは知らないんだけど、第一話を見ていたら普段は特に思い出さない「日本に対する複雑な感情」をね、ゴリゴリとえぐられた。

뱃노래っていう歌のシーンが、とても悲しかった。
(画像は、ドラマのスクショ)

日本、好きですよ。好きなんだけどね。いい国だとも思うけど。選挙権がないので、私には他人事なフシも多々。ゆーても夫は日本人、子どもは今の所日韓ダブルで、いずれ本人に選択させるつもりだけど親のエゴとしては日本国籍は保持し続けて欲しいと思っているので、日本は沈没しないで欲しいとも思う。

■そりゃ確かに移民だけど、移民とひとくくりにせずに"在日"要素をもう少し出して〜〜〜、と思っちゃったりする。当事者としては。

パチンコの原作者は7歳の時に韓国からアメリカに移住した人。
韓国からアメリカに移住した人は、200万人以上いるらしい。


彼らは韓国では「海外僑胞」と呼ばれるし、日本では「韓国系アメリカ人」と呼ばれる。このドラマの制作陣、出演者には韓国系アメリカ人が多い。
韓国系アメリカ人と呼ばれるくらいなので、基本的にアメリカ国籍を取得しているのだろう。移民1世は自分たちで取得する必要があるば、2世以降はあっちで生まれたらその時点でアメリカ国籍を取得できるしね。

この原作はアメリカでベストセラーになって、オバマさんも大絶賛したらしい。マジで??すごいな。在日をテーマにした話がアメリカでそんなに売れるなんて。韓国系に限らずアメリカに移住した人は多いので、そういう文脈で、「移民」を扱ったPachinkoはアメリカに多くいる移民やその子孫の琴線に触れるなにかがあるのかもしれない。

一方で、「まぶしい韓国の叙事詩(BBC)」「韓国移民者の物語(Kstype)」などと在日要素を省いた書き方をされているのを見かけるたびに、在日コリアンの自分としてはもう少し「在日」要素を表に出してほしいな〜〜〜なんて思ったりする。うまく言語化できないけど。

まぁね、個々の話を突き詰めたらキリがないのかもな、とも思うんだけどね。

書籍に対して「在日の設定が甘い」というレビューを目にしたことがあるけど、その辺りはドラマだとどうだろう。ソロモンの日本語にはたしかに違和感あるけど(彼は韓国出身でアメリカに移住した人、日本語は今回のために特訓したらしい)、アメリカ的にはそんなのは些末な問題なんだろうな。

第三話、ソヒさん演じるモーザスのセリフで「オモニ!こんな遅くにどないしたんや」っていうのがあるんだけど、これね、在日っぽいな〜〜〜ってニヤニヤしながら見た。


■終わりに

このツイートにあるソヒさんの言葉がね、ホントそれそれそれ〜〜!!!って感じで。


というわけで、パチンコは毎週金曜日に新しいエピソードが公開されます。早く金曜日になれ〜〜〜\(^o^)/


■ご参考:日本で一番詳しい、Pachinkoキャストまとめ


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