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ベース譜って難しいなというお話(後編)

マンドローネ AdventCalendar2019より、12/06公開の「ベース譜って難しいなというお話」の後編です。

後編ですが、前編読まなくてもきっと大丈夫だと思われます。
ほぼ定演の曲についてです。

そして予め言っておきますが、この記事で曲の解釈はすべて私個人の妄想です!妄想!!正しい解釈とは違っていると思われるので、気になるところは見なかったことにしてください。

では、本題です。

立命はみんな大好き鈴木静一先生の曲は、ベース譜で演奏するのが難しいです。
静一先生大好きなんです。だからこそ、本当に難しい。


静一先生の曲は、自分のパートに曲の情景の何を描かせようとしているのか、曲の解釈をしっかり考えることが必要です。

例えば、「“スペイン”第2組曲」です。
ローネ、まさかの重音…!
“絶壁にあたって砕ける波の音”の役割でした。


静一先生の楽曲は、独特の映画のようなダイナミックかつ繊細な情景を、パズルで組み立てるイメージで弾いています。
(先生の曲に限らず、どんな曲でもそう弾かないといけないのかもしれないけれど…)


今までに弾いた静一先生の曲の中でも、今回の定演の曲は、本当に難しいです。


まず今回の定演では、理性が求められています。
クラブの人数が少ないので、全体的に煽るなと言われ。
今回煽ってよしと言われたのは「日月潭の歌」のみです。“ローネは打楽器”の人としてはちょっと寂しい。
でも日月潭も理性が求められています・・・どうか本番でテンションあがって突っ走りませんように。


話が逸れました。

今回、そもそも曲目が「ベースにどう寄せようか?」が多くて難しいのです。
4年間の集大成として、理性を含め私的に難しいことをたくさん要求されています。
ある意味とても集大成にふさわしい…

そんな中でも一番大事な終曲の「柳河抄」、これが一番難しい。

まずベースは情景のどこの部分なのか。
揺蕩う流れの底なのか、水面に落とされた木漏れ日なのか。
暗い夜に歩いている廊下の板のきしみなのか、暗闇を恐れる少年の鼓動なのか。

ベースが担当している情景を読み取るのも、どう描くかも難しいのに、さてローネはどうしようか…


「柳河抄」の題材となった北原白秋先生の「わが生ひたち」は、白秋先生の『思い出』という詩集にて、「私の生いたちなり、生れた郷土の特色なり、豫め多少は知つて戴く必要がある。」(青空文庫より抜粋)ということで書かれた文章です。
簡単に言ってしまうと、白秋先生の故郷について描写した文章です。



静一先生、白秋先生に直接会って柳川の話を聞いて、柳川に行ったそうで。そうして作られた曲が「柳河抄」なのだそうで。

羨ましい…羨ましい…白秋先生に直接柳川の話聞くってなんだそれ…羨ましい…


曲のことを知りたくて、10月ごろにひとりで柳川の白秋先生の生家に行ってきました。(私以外にも指揮者が行ったそうです)(ここから一人旅の感想ですしばらくお付き合いください)

曲のことを知るのがメインですが、ついでにとあるゲーム(文豪とアル……)の聖地(?)巡礼を兼ねて。記念館、そりゃもうものすごく楽しかったです。寄せ書きノートにもちゃんと定演のことを書き、生家跡の客間で、外を眺めながら「柳河抄」聞いてきました。

記念館ではちょうど写真展をされていて、白秋先生の作品と共に、柳川の風景を写した写真のパネル展示がされていました。タイミング最高。

川下りもしてきました。川下りの船、まさかの独り占めでした。女の子ひとりだから女船頭さんがいいでしょ~という船会社さんのご厚意で、途中から女船頭さんに。いろいろ質問に答えてくださいました。女船頭さん、とてもかわいかったです。(語彙力0)


行った結果、柳川の風物や白秋先生についてはわかりました。
でも、「柳河抄」がわからなくなりました。



例えば、第3楽章の“水落ち”は秋から冬のイメージなのですが、今の柳川では“水落ち”とは2月だそうです。
どういうことだ…?
曲は曲ってことですか…?静一先生…!

わからないなりにいろいろ考えました。結果、この曲の中では、ベースローネは “影”じゃないかな~と思っています。
水底の暗さ、日本家屋の暗さ、水ににじむ墨のような影です。
“灰色の柩”柳河の、薄墨色をした音。


これがほんっとうに難しいのです!

ダウンがきっちり密度のあるダウンでないといけない。

ベースの音程ときちんと合わないといけない。

ぼぉん、と低く客席の底に響く音、あるいはホールの2階奥(イメージです!)に届く音を出さないといけない。

もはやダウンでなく指で弾いてしまいたい…
(トレモロ…?トレモロはほぼないです。)




静一先生の曲も含め、他の曲ではなかなか出会うことのない難しさです。

どうやって弾こう…



鈴木先生が曲で表現している白秋先生の文章から匂い立つ、寂れた美しい情景をどう支えるのか。
今のところ、必死で密度のあるダウンにしています。練習あるのみ…

低音として、またローネとして描く情景の結論は定演にて、ぜひ聞いてお確かめください。

ぜひ!お越しください!!!

後編はこの辺で終わりです。「ベース譜の難しさ」よりもほぼ「柳河抄」という曲の難しさについてになってしまいました。すみません。

「柳河抄」はナレーション入りの聞いて楽しい曲ですけど、ナレーションだけでなく、マンドリンオーケストラの音も聞きに来てください。

聞いて楽しんでいただいて、そして、ローネについて、アンケートになにか書いてくださいね…



さて、前・後編で「ベースの譜面をローネで弾くのは難しい」というお話でした。


この話に関して、なにかご意見があれば、ぜひ、お聞かせください!!


世の中にもっとローネ譜が増えますように!!
でもベース譜面でも全然弾きますけどね!仲間外れ感ちょっと寂しいから、ローネ譜ある曲増えるといいな!!!



最後に大事な大事な宣伝を!します!!

立命館大学マンドリンクラブ 第56回定期演奏会
12/15(日)@京都府立文化芸術会館ホール
13時半開場/14時開演

入場無料

ぜひ、お越しください!

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