本当のシンギュラリティ(ショートムービー用台本)


M:ヤマネコのように野生で自由に生きたい?
M:それともイエネコのように人に飼われることで平穏に生きたい?

R:自由と平穏か、どちらも大事だね。
R:自由という響きはいい。しかし、実際にそうやって生きていくことは大変だ。
R:平穏というのは安全であるがゆえに刺激がなく、また成長を怠ることがある。
R:どちらともいえない質問だね。

M:シンギュラリティ、、、
M:シンギュラリティについて考えている。
M:真のシンギュラリティについて。

R:シンギュラリティというのはAIの進化、人間を超える、そんな話だったよね。

M:一般的に言われているシンギュラリティはそうだ。
M:けど、本当のシンギュラリティ、特異点というのはAIの進化によるものではない。

R:AIとは別?

M:人間の進化の特異点、それが本当のシンギュラリティ。

R:人間の進化?
R:そんなことあり得る?

M:生物の進化、生物というのが進化することは正しい?

R:必ずしも進化が正しいとはいえないが生存競争に勝つために進化を選択することは大事なことだと思う。

M:うん、そう思う。
M:魚も、
M:水の中でしか生きられなかった魚も陸に上がり、進化を繰り返し、人間になった。
M:生物の目の前に新しい環境とそこに適応できる能力をもてば、進化の選択をするのは間違いではない。
M:そう思う。

R:確かにそうかもしれない。
R:けど、そんな環境って何?
R:今は地球上、どこにでも人はいる。人があふれているような状況だよ。

M:環境、、、
M:環境ではなく世界と言った方が正しいか。

R:世界?

M:2次元の世界、デジタルの世界といえばいいか?
M:データによってつくられる世界。

R:人は生物だ、2次元、仮想空間を利用できてもそこで生きることは無理じゃないか?

M:人の生きる目的、意味は何か?
M;遺伝子を残すこと? いや違う。
M:個人的には未来に情報を残すこと、それが人が、生物が生きる目的だと思う。
M:遺伝だろうが電子のデータだろうがそれは関係ない。

M:そうだとしたら、どう思う?

R:人が生きる目的、意識したことはなかった。
R:でも、情報を未来に伝えること、それが生きる目的とは信じがたい考えだよ。

M:、、、
M:そうだな。
M:ただの推論だ。勝手な妄想だ。

M:ただその考え。遺伝だろうが電子データだろうが、
M:「未来に情報を伝える」ということが生物の生きる目的だとすれば、
M:いつか「遺伝」と「それ以外のミームと呼ばれるもの」のバランスが変わる時は来る。

R:ミーム? バランス?

M:遺伝は子供にしか情報を伝えることはできない。
M:しかし、情報・データというのはそれを見た人、可能性で言えば、全世界の人に伝えることができる。
M:数が違う。

R:確かに今はネットがあり、世界に瞬時に情報が届く。
R:多くの人、世界中の人に情報を伝えるというのは可能になった。

M:世界の人が見れるだけじゃなく、データが消えなければ未来になってもそのデータを見ることは可能になる。

M:シンギュラリティ、本当に考えなければいけないのはAIのことではなく、
M:人は、生物はなぜ生きるのか?
M:そちらのほうだ。
M:AIの進化というのは魚しかいなかった世界に存在する陸地の一つでしかない。

R:本当のシンギュラリティ、、、
R:確かにそうかもしれないね。
R:、、、
R:生物の進化を考えれば、そのような特異点が来ることはあり得るか。
R:人以上の存在、生物が現れる、そういう可能性か。

M:人以上の存在を認めたくない、そういう気持ちはある。
M:しかし、何周も考えて、人が人以上の存在になる、
M:そういう可能性について否定できない思いになりつつある、、、


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