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父の肺癌②

 病院勤務なんてしていると、自分の体の心配はもとより、家族の健康に超過敏になる。禁煙は当たり前。飲み過ぎ、食べ過ぎに注意、適度な運動の推進などなど。
 ベビースモーカーの父。二十数年前孫たちが生まれてからは、家の中で吸わなくなったが、今でも頻回に庭先に出て吸っている。運送会社を定年退職後、趣味の畑仕事とグランドゴルフで、さらに吸う本数は減ったが、止める気配はない。
 いくつかの診療科を担当しているが、メインは呼吸器内科。何の因果か、父が肺癌なんて笑い事では済まされない。
 呼吸器内科をメインに担当して気付いたことに、運送会社に勤務している患者のベビースモーカー率はとても高い。理由は割と単純で、仕事中の待ち時間が長い。荷を積んでしまうと、配達先の指定の時間まで、時間を持て余してしまうのだ。
 過去父は何回か禁煙にトライしたこともあったようだが、家でせっかく禁煙しても、職場に行けば同僚たちがモクモク吸っているのだから、成功する可能性は皆無と言っていい。もちろん、数日すら成功したことは無い。
 余談であるが、夫の祖父と父、義祖父も義父もベビースモーカー。こちらは、下戸で、飲み会に行っても間が保たない辺りからベビースモーカーになった経緯がある。義祖父は私たち夫婦が結婚直後、義祖母が亡くなり、独居になりタバコは火の元が危ないと誰かしらに諫言され、すっと止めた。義父は、うちの息子や姪の誕生を機に、やはりすっと止めた。性格や気力、人柄が影響するのか。
 そんなベビースモーカーで、酒飲みでもある父ではあるが、健康診断だけは真面目に受けていて、年1回の市の胸部X線写真で胸部異常陰影となり、近くの県立病院へ。そこから県内1番の治療実績のある県立への紹介になったのである。

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