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75点の人

どこの親も、子供がまだ小さい頃は、過剰な期待をしたりもするし、何が向いているかも分からないから、本人の資質にはサッパリ合っていない習い事に通わせる、なんて事もあったりするけれども、流石に13、14歳にもなってくると、大体大人になった時の想像がつくし、苦手とする分野なんかも見えてくる。

で、先週土曜日の夕暮れ時、突然息子があたふたと数人の男子に連絡し、しばらく電話してはまた別の子に電話する、みたいなことをし始めたので、一体どうしたのかと訊いたら、月曜日に地理のプレゼンがあって、男子三人で発表をしなければいけないのだが、まだ何も手を付けていないという。
本当は金曜日の夕方あたりから始めるつもりだったのだが、皆グダグダしていて、その内一人は週末ネット環境の悪いおばあちゃんの家に泊まりに行っていたので、ますます着手するのが遅くなったのだと。

そしてどういう訳かプレゼンの内容は全て息子氏が考える事となり、日曜日の午後には何とかパワポの原稿が出来上がった。で、ここから面白いのが、「原稿作りは全部オレがやったんだから、発表はお前らがやれよ」と、残りの二人に各自パートを割り当てているではないか。今時の子は耳にスマホをあてて電話しないのか、口の前にスマホを持って一人一人に持ち場を指示している様子が妙にサラリーマンぽくて笑ってしまった。

息子は大して良い成績も取って来ないし、一芸に秀でているとかもないし、これといって将来やりたいことがガッツリ決まっているわけでもないので、何処の大学で何を専攻する、なんて事もこれから考えていかなければならないのだけれど、ある程度の責任感があり、納期を守る意識があって、たまに人の尻拭いをさせられるんだけど誰もやらんなら仕方がないからやる、みたいな一面を見ると、将来は何となく順当にサラリーマンやっていそうな気がする。で、中年以降は課長か何かになっているだろう。

少し前にも、数学の先生が授業中に消えることがある(コピーに行くと言っているが、もしかしたら数分休んでいるのかも?)のがクラスで物議を醸して、来年以降もその先生の授業を受けたいかどうかを話し合う事になった際、学級委員として話をまとめなければいけないとかで、また例のヘンなスマホの持ち方で長時間電話をしていた。その日私たちはたまたま空港にいたので、ますますビジネスマン感が出ていて、私はこーゆーサラリーマン、フランクフルト空港とかによくいそうとか思いつつ、こいつも大人になったなあと感慨深い気持ちにさせられたのだった。

大した才能もない人だから、点数をつけるなら75点くらいなのだろうけど、傍から観察していると、私が放っておいても一応十年後には社会人としてやっていけるだろう、という一種の安心感はある。意外性に欠けるという点では「おもんな…( ・_ゝ・)」とも思うけれど、今時平凡に生きていくのもそんなに簡単なことではないから、それも一種の才能なのかもしれない。


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