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#13歳のSF

13歳のSF

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最終話 「知っている」

たくさんの矛盾を一気に含んだ大きな春の惑星が、僕達の街に不時着した。

市長選では、候補者が注射針を誰かに打たれてしまったし、その成分は泥水だった。

日曜日には、人権を守ろうとする人達が町を闊歩し、その姿は、とても勇ましかった。

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第9話 「太陽」

気がつけば、最上級生になっていた。

それと同時に、僕達が頼りにしていた仲間の転校が決まった。

それも、同時に2人。

でも僕達は、もはや、学校という単位で物事を考えなくなっていたから、お別れ会のような事は、何もしなかった。

また、集まろう。

それが、僕達のお別れの言葉だった。

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第8話 「煌々と光る」

僕達は、昨日観たテレビの話や、アニメ、スポーツの話は一切しなかった。

たいていは、近い将来の話だ。

いずれ、別々の道を歩いて行く事になるのは分かっているから。

いつまでも、一緒に居られるようなアイディアを、アイスクリームを食べながら出し合う。

これが、僕らの日課だった。

大人になったら、団地に一緒に住もう。

何かみんなで、同じ仕事をしよう。

いつも、そんな結

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第7話 「キラキラ」

ある夏の日、観音様に手を合わせていた。

いつも、自分達を見てくれていて、ありがとうございますと、慣例的に唱えた。

観音様と会った後、僕達は、いつものように自分達の町を見渡した。

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第5話 「プール」

ある日の夜、2階のベランダから間近に見える小学校の校庭を見つめていた。

引き寄せられるように窓を開けてベランダに立つと、校庭のグランドには綺麗なミステリーサークルがいくつも出来ていて、綺麗な光を放っていた。

蛍光色に光る縄文土器のような模様。

僕は、不思議と当たり前のように、それをずっと見つめていた。

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第4話 「幸せな時間」

文通をしていた。

転校して行った、好きな人と。

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第3話 「満たされるスケジュール」

体育館裏。

上級生達との交渉か始まった。

僕達は、もうすぐ組体操の演目に参加しなければならないし、その後はすぐにクラス対抗リレーが待っている。

うだうだと話してられない。

でも、人質にされている仲間を最大限優先しなければならない。

それが、僕達の世界のルールだ。

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第2話 「ヒント」

M-16というモデルライフルを、転校していく友達にプレゼントしたのは、それを使って欲しいからでは無かった。

もしもの時の御守りに、部屋の隅にでも置いてくれてたらと、みんなでお金を出し合った。

僕達は、M-16の使い手になってしまったけれど、転校して行く彼には使って欲しくない。

それでも、僕達はプレゼントした。

お道具箱や体操袋、細々とした、たくさんの荷物を持って、ラン

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第1話 「テレパシー」

春の惑星が、地球上に降り立ったから、僕達はいっせいに制服を着たのだ。

正確には、制服みたいな黒い服。

黒い服だったら、何でもいいと勝手に思い込んでいたから、それで良かった。

それに、もう、青春は終わったのだから。

最近まで、バレンタインデーにチョコレートを誰にも貰っていない事をみんなで笑い合ったりしていたけれど、もう、そんな事も全然どうでもいい事になる。

何故な

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