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#それはミカちゃん

最終回 「何歳になっても」

最終回 「何歳になっても」

ミカちゃんは、言う。

ずっとここにいる。

僕は聞く。

ここって、どこ?

ミカちゃんは、言う。

そんな事は、分からない。

だって、そんな事、考えた事もないし。

ミカちゃんは、どうなりたいの?

あんたは、どうなりたいの?

ミカちゃんは、楽しいの?

あんたは、楽しいの?

俺が、ミカちゃんを見失う時が来るの?

あんたは、私を見失うほど賢くない。

俺は、賢くないの?

そこに、引っ

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第9話 「犬小屋」

第9話 「犬小屋」

小さい犬、おる。

ほら、あそこ!

めちゃくちゃ可愛いやん。 

ミカちゃんの機嫌は、治っていた。

僕とミカちゃんは、寝坊と朝の喧嘩で大遅刻をして誰もいない校庭を歩いていた。

その時、ミカちゃんは、小さな犬を見つけた。

なぁ!

あそこ、よちよち歩いてるやん。

どうする?

ミカちゃんは僕の腕を引っ張って、その犬がいる、裏庭の方に行こうとした。

僕達が近づいて行くと、その犬は駆け寄って

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第8話 「参考書」

第8話 「参考書」

公文をクビになったので、自分で探した進学塾に通い始めた。

全然、知らない人ばかりで初日から、めちゃくちゃ楽しかった。クラスは、成績順に分かれていて入塾テストの結果、僕は真ん中のSクラスだった。

因みに1番上は、Tクラス。
そして1番下は、Aクラス。

Tは、天才。
Sは、秀才。
Aは、アホ。

とても分かりやすい名前に、少し引いた。

さすが、地域でも有名な進学塾だ。

席順も、後ろに行けば行

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第7話「ピアノ教室」

第7話「ピアノ教室」

なんで断ったん!なんで?

アホちゃう!

なんでなん!

ミカちゃんは、いつになくキレていた。

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第6話「赤い靴」

第6話「赤い靴」

それにしても、あんたモテへんなぁ。

チョコレート、全然貰ってなかったやん。

めちゃ、心配やわぁ〜。

モテる兆し、何ひとつ無いもんなぁ。

ミカちゃんは、自転車の後ろで、ずっとそんな事を言い続けていた。

僕は、相変わらずの無視をキメ込んで、自転車を漕いで、ピアノ教室へと向かっていた。

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第5話「スケートボード」

第5話「スケートボード」

ラグビースクールの遠征で、大きなバスに乗って奈良県に向かっていた。

サービスエリアで、アイスクリームを買ってバスの中で食べていたら、バス酔いもあって気分が悪くなった。

結局、1試合も出ずに帰りのバスに乗った。

帰りのサービスエリアで、僕はまたアイスクリームを買って、バスの中で食べていた。

コーチからは、微妙な顔をされた。

でも、仕方ないのだ。

前の日の夜に、ミカちゃんと凄く喧嘩をした。

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第4話「絆創膏」

第4話「絆創膏」

ただ大きいだけで。

ただ、少しみんなと違うだけで。

何故か、それだけの事で、男の子達から珍しがられたり、心の無い言葉を放り投げられたりしている女の子がいた。

気になるけど、気にならない。

そう言う事を目の当たりにすると、いつもそんな気分だった。

僕は、小学4年生になっていて、すぐにキレる奴と言うカテゴリーに分類されていた。

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第3話 「イルカ」

第3話 「イルカ」

友達、少なくない?

クラスの友達と遊んだりないの?

雨の土曜日の午後、教室の窓から濡れたグランドを見て、ミカちゃんは言った。

おるわ!

いっつも、あいつらと一緒に遊んでるやろ?

僕は、提出してなかった宿題を片っ端から片付けながら、言い返した、

ミカちゃんは、少し真剣な顔をし、僕に近づいて来て、少し小さな声で言った。

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第2話 「あの子のお弁当」

第2話 「あの子のお弁当」

ミカちゃんは、甘い物が大好きだった。

僕は、麺類や細い食べ物が好きで、カップラーメンや、蕎麦や焼きビーフン、春雨や千切りのキャベツ。

とにかく細くなっていれば、何でも良かった。

テストで良い点を取った時に、お母さんは何か食べたい物ある?とよくリクエストを聞いてくれた。

僕は、即座に焼きビーフン!やラーメン!

と答えていたつもりだった。

けど、気がつけば、いつも喫茶店に座っていて目の前に

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「それはミカちゃん」第1話  リュックサック

「それはミカちゃん」第1話 リュックサック

女の子だったら、ミカ。

上から読んでも下から読んでも、カミデミカ。

お父さんは、小さい頃、よくそう言っていた。

今は、実家を縦横無尽に掃除してくれるルンバに、ミカちゃんと名づけている。

上の兄ふたりが男の子だったので、久しぶりにお母さんの妊娠が分かった時、両親とも女の子が産まれて来ると確信したそうだ。

男の子用の兄のお下がりじゃなく、赤ちゃん用から幼児用まで全て、女の子用を買い揃えていた

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