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Time after time

1月最後の金曜日、急いで仕事を終わらせて自宅に戻り、着替えを済ませたら、予め準備しておいた荷物に貴重品などを移し替え、また家を飛び出しました。

大きな荷物を持って、まだ混雑する地下鉄に潜り込み、東京駅へ。

新幹線のホームに着くと、売店で適当な弁当とビールを買い、停車していたのぞみ号の自由席に乗り込みました。そして、車両の一番前の席に。大きな荷物がある時、特にベースを持っている時は、足元が広く使えるこの席に座るのが一番便利なのです。

翌日の土曜日は故郷奈良での3年ぶりのライブ。

昔の仲間たちと即席バンドを組んで出演することになっていました。実は3年前もほぼ同じメンバーでしたが、メンバーが集まれるのがライブの当日だけなので、全員で曲を練習できるのはライブ当日の午前中しかなく、前日の夜、いくら遅くても奈良に移動しておく必要があったのです。

青春時代を共に過ごし、同じ夢を追いかけた仲間というのは不思議なもので、簡単に時空を超えて感を取り戻せるのは分かっていました。でも、前準備をしっかりしておいて、当日の負担をできるだけ少なくしておくことに越したことはありません。

そこでライブの内容を工夫しました。

演奏する曲は既存する曲のカバーをすることにして、オーソドックスで出来るだけ演奏難易度の低いもの。そして、誰もが知っているようなヒット曲。そのほうがお客様も楽しめるはずです。
このようにルールを決めてメンバーで話し合って選曲をしました。
そして私は、せっかくなので何かメッセージを届けたいと思って、とある曲を選曲しました。1980年代に世界的に大ヒットしたシンディローパーの「Time after time」という曲です。
この曲は、女の子が夢を追いかけることを決意して街を出ていくため離れ離れになってしまう恋人同士の話です。

ちょっと、その歌詞の一部を紹介させて下さい。

If you're lost, you can look and you'll find me
Time after time
If you fall I'll catch you, I'll be waiting
Time after time

 もし私を見失ったとしても必ず見つけ出して 貴方にはできるはずだから
 もし貴方が落ち込んだとしたら私が助けに行く いつでも待っているから

この歌詞の中の「私」を「困難に直面した時に大切にすべきもの」に置き換えてみて欲しいのです。たとえば新型コロナウィルスに全世界が見舞われた時のように…。

残念なニュースや残念な行動をする人達を多く見聞きしたりもしましたが、でも私は、辛い状況に置かれてもこの「大切なもの」を見失わなかった友人達のことを知っていました。
そんな彼らのエピソードも話させてもらいながら、この曲を演奏しました。上手く伝わっただろうか…。

エンディングにこの曲は、Time after time(何度でも)と祈るように繰り返します。

私達人間は、時に間違ってしまいます。でも「大切なもの」に気付くチャンスは何度でも訪れるのです。

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