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映画『笑いのカイブツ』公開記念!主演・岡山天音×滝本憲吾監督トークイベントレポート

映画『笑いのカイブツ』の公開を記念して、1月29日(月)にテアトル新宿にて、主演の岡山天音さんと滝本憲吾監督登壇によるトークイベントを開催いたしました。当日の模様をレポート記事としてお届けします。

満席の会場を見渡して観客へ感謝を伝える滝本憲吾監督に続き、主演の岡山も「公開から1ヶ月近く経っていますが、足を運んでくださって本当に嬉しく思います」と喜びの言葉と共に挨拶。続けて岡山が、来場の観客たちへ何度目の鑑賞かを問いかけると、なんと2度目以上の方が半数挙手!中には6度目の鑑賞という方まで確認し、滝本監督も「予想以上!」と驚きを隠せない表情を見せた。(以下、敬称略)

岡山天音「最初からツチヤという役に大きい隔たりはなかった」

主人公の”ツチヤ”という生きづらさを抱えた強烈なキャラクターを演じた岡山。その役作りについて問われた岡山は「最初からツチヤという役に大きい隔たりはなかった」と説明。「子供の頃から僕の中にも小さな”カイブツ”、小さな”ツチヤ”がいる気配がしていて。台本に生きているツチヤと自分の中の何かが共鳴するきっかけが割と最初の段階で得られました。あとは、原作や台本を読んだ時に自分の中の奥に潜む気配を手綱に引き寄せていきました」と役と自身の近い部分を認識した上で、滝本と台本を読み込んでリハーサルを重ねて”ツチヤ”というキャラクターの理解を深めていったという。
それに続けて、滝本監督は脚本の中でツチヤが”笑い”に取り憑かれた理由を意図的に省略したことについて言及。「(主人公のツチヤを)自分に置き換えて観る人が多いと思ったので、敢えてその理由を限定したくないと思いました」と脚本をブラッシュアップする中で、より多くの観客に寄り添う物語になっていったことが明かされた。

主演:岡山天音

岡山天音「この映画における核というのは、一つのものに命を燃やしているということ」

続けて、意図的に脚本で描かれていない部分のアプローチについて問われた滝本監督は、「僕は野暮なことをいう前に、岡山さんがどのように考えているかまず芝居で見たかった」と役者の考えを尊重する姿勢で撮影に臨んでいたと説明。岡山は共感しながら、「バックボーンに関しては、”笑い”だからとかいう話じゃないのかなっていう。劇中では”笑い”ですけど、この映画における核というのは、(主人公が)一つのものに命を燃やしているということ。その対象は重要じゃないと思っていました」と回答。続けて、原作者のツチヤタカユキと話した時を振り返り、「(ツチヤさんは)好きなものがたくさんあって、アート作品、漫画、映画とか、お笑いだけでなく色々なものを吸収されている方だった。ただ手探りで何かないかと漁った時にお金が掛からずに取り組めて、一番身近なものが”お笑い”だったと仰っていて。ツチヤさんに、『もし仮に他のカルチャーが同じ条件だったとしたら、それに命を燃やしていた可能性はありましたか?』と質問したことがあるんですが、『全然ありました』と即答していました」と、本作で描かれる普遍的なテーマについて言及した。

滝本監督が岡山を大絶賛!「一切様子見で芝居をしない」「テイク1で本気を見せてくる」

現場で岡山が役にのめり込む姿を見ていた滝本は「役者さんのタイプは色々ありますが、岡山さんは一切様子見で芝居をしないんですよ。僕は結構しつこく何テイクも撮る方なのですが、ついついOKを出してしまうほど(岡山は)テイク1で良い時が何度もあった。テイク1で本気を見せてくるので、僕も負けじと撮らなきゃいけないから毎回燃えました」と岡山の演技が刺激となり撮影に挑めたという。続けて「(岡山は)役にのって裸の心を見せてくれる。見栄をはって演技する俳優さんも多いけど、その人の心が見えた方が僕は好き。(岡山は)信用できる人だから、僕もしっかりやろうって思いました」と役者としての姿勢も大絶賛。

滝本憲吾監督

滝本監督「実はワンシーンだけ、岡山天音ではない人がツチヤタカユキを演じている」

滝本は本作の裏話として「皆さん気づいてないと思いますけど、ワンシーンだけ岡山天音ではない人がツチヤタカユキを演じているんですよ」と驚きのエピソードを公開する場面も。劇中のあるシーンでツチヤの身体を小さく見せるため、中学生を起用したという。観客も気づいた人はいなかったようで滝本は「ぜひ注目してほしいです(笑)」と呼びかけるも、岡山は「6回鑑賞した方も気づいてないから難しいですよ!」と笑いを誘った。

左)岡山天音、右)滝本憲吾監督

また一般の人からの質問コーナーを設ける場面も。「おふたりにとって”カイブツ”となんでしょうか?」と問いかけられると滝本は「僕は”世間”がカイブツだと思います」と話し、共感する岡山は「僕も似てるかもしれないですが、”他者”ですかね。もしかしたら自分もかもしれないので、”人”が自分から見ると”カイブツ”なのかなと思います。やはり人は自分のことしか分からないし、自分のことですら、自分の手から離れてしまう瞬間もあるので、そう意味でとても怖くて面白くて興味が尽きない対象です」と真摯に答えた。他にも共演者との話や、関西弁を取得するまでの道のりなど、内容が盛りだくさんの時間となった。

最後に滝本は「何回も鑑賞していただいた方もいらっしゃって、本当にありがとうございます」と感謝を伝える。岡山も「何度も足を運んでくださっている方がいて、誰かの心に何かが届いているのかなと思うと本当にこの上ないくらい幸福です。当たり前ですけど、映画って全人類の中で出会えない人がほとんどだと思うんです。その中で、この映画と出会ってくださったことは何か特別なものを僕自身感じます。どう感じていただけるかは人それぞれだと思いますが、この映画と出会ってくださって感謝しています」と熱い言葉で締めくくり、大きな拍手のなかトークイベントは終了した。

『笑いのカイブツ』あらすじ

笑いに人生を捧げるツチヤタカユキは毎日気が狂うほどにネタを考える日々を過ごしていた。念願叶ってお笑い劇場の小屋付き作家見習いになるも、愚直で不器用なツチヤは他人には理解されず淘汰されてしまう。失望していた彼を救ったのはある芸人のラジオ番組だった。番組にネタや大喜利の回答を送るハガキ職人として再びお笑いに人生をかけていた矢先、「東京に来て一緒にお笑いやろう」と憧れの芸人からラジオ番組を通して声がかかった。そんなツチヤは東京で必死に馴染もうとするが…。

テアトル新宿ほか全国大ヒット上映中!
sundae-films.com/warai-kaibutsu

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