映画『笑いのカイブツ』公開記念！滝本憲吾監督×井筒和幸監督トークイベントレポート！
主演:岡山天音×監督:滝本憲吾の最新作『笑いのカイブツ』の公開を記念して、1月27日(土)にテアトル新宿にて滝本憲吾監督と映画監督の井筒和幸さん登壇によるトークイベントを開催いたしました。当日の模様をレポート記事としてお届けします。
滝本憲吾監督と映画監督の井筒和幸さん、MCを務めるエグゼクティブプロデューサーの成宏基さんが登壇。滝本監督と井筒監督との出会いは、滝本監督が映像専門学校NCF (なんばクリエイターファクトリー)で井筒和幸ゼミ第一期生として入学したこと。滝本監督が劇映画の現場に初めて参加したのも2003年に公開された井筒監督の映画『ゲロッパ！』だった。（以下、敬称略）
滝本は井筒との出会いについて、「元々、井筒監督の作品が大好きだったので、井筒さんに教えていただけるスクールがあると知って入ったのが始まりでした」と尊敬の念を示しつつ、映画監督としての一歩を踏み出したきっかけを明かす。井筒は「もう（滝本と）出会って20年ですね」と感慨深い様子を見せると、滝本は「『ゲロッパ！』では雪かきから始まりましたね」と当時の現場を振り返る。井筒は「実は人手は足りていたんですけど、いきなり『やりますわ！』と来て、そこから３ヶ月間くらい。大変だったよね」と問いかけると、滝本は「でも、全てが良い思い出ですね。家がなかったのはしんどかったですけど（笑）車中泊で凍えそうになりながら、お風呂もないなかでやっていたので」と、実力が鍛えられてきた過酷な現場でのエピソードを明かした。
井筒和幸「とにかく『見せてやる！』というパワーが映画の力だと思う」
井筒は「映画って撮るとわかるけど本当に難しいものだよ。人に伝えるっていうか、とにかく『見せてやる！』というパワーが映画の力だと思う」と長年積み上げてきた監督業の難しさについて語ると、滝本も共感。「監督は正解がないので本当に難しい。でも、井筒監督から教わったもの、吸収したものは全て取り入れ、観客に『これでもくらえ！』という気持ちで作りました。乱暴な言い方ですが、その意気込みは大事だと思っています」と滝本は答え、井筒監督から受け継がれている映画制作の姿勢を垣間見せた。
『笑いのカイブツ』の主人公ツチヤに対して井筒は、「どんな職業であれ、サラリーマンであれ、尖っている人物はいるね。でも、まともな人物を撮っても面白くない。昔からそう話して来たよね」と滝本に問いかけると「そういう意味では、まともな人がほぼいないですね」と本作のキャラクター像について言及。井筒は「作った人物ではなく、彼（主人公のツチヤ）が“実在する人間”っていうのが良かった。どんなキャラクターが合わさっても、自分が見聞きして接してきた“現在を生きている人”をモデルにしていたら説得力があるよね」と解説しつつ、ツチヤだけでなく周囲のキャラクターも印象深かったと話す。
滝本憲吾、井筒から学んだのは「相槌一つでも徹底的にキャラクターに沿った言葉選び」
”井筒イズムを感じた”という感想も見受けられる本作。成は、滝本にどんなことを井筒監督から一番学んだかと問いかけると「一番学んだことは、言葉にならないことばかりなので言えないです。本当に365日毎日一緒にいた数年間があったので、一言では言い表すことができない」と師弟関係の強さを垣間見せつつ、「でも、井筒監督の台本は、たった1行のひとつの台詞が決まらないと考え込んで1日が終わる日がある。何気ない相槌一つでも徹底的にキャラクターに沿った言葉選びをしている。その答えを出すために何日ご一緒したことか…それほど言葉って重要なことだと思っています」と井筒から学んだ演出術について説明。井筒は「（言葉によって）自分のイデオロギーを出す、自分の思っていていることを「見てくれ！これでもか！」と伝えることが大切」と熱く語った。
最後は、滝本が観客へ感謝の言葉を伝えると、井筒は滝本が本作に寄せた言葉、「カイブツと呼ぶなら呼べばいい 破壊なくして創造なし。そんな一人の人間の物語です」を読み上げ、「良い言葉だね」としみじみ。観客からの温かい拍手でトークイベントは終了した。
『笑いのカイブツ』あらすじ
笑いに人生を捧げるツチヤタカユキは毎日気が狂うほどにネタを考える日々を過ごしていた。念願叶ってお笑い劇場の小屋付き作家見習いになるも、愚直で不器用なツチヤは他人には理解されず淘汰されてしまう。失望していた彼を救ったのはある芸人のラジオ番組だった。番組にネタや大喜利の回答を送るハガキ職人として再びお笑いに人生をかけていた矢先、「東京に来て一緒にお笑いやろう」と憧れの芸人からラジオ番組を通して声がかかった。そんなツチヤは東京で必死に馴染もうとするが…。
テアトル新宿ほか全国大ヒット上映中！
sundae-films.com/warai-kaibutsu
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？