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ピザの耳が食べられない

ピザの耳が食べられない。

正確に言うと、食べられなくなった。

若い頃はピザなんてご馳走だし、そんなに滅多に食べられないから、毎回感動しながら食べてた。
もちろん耳まで美味しく食べられてた。

『持つところ』

20代半ば頃付き合った彼氏の実家は、お金持ちだった。
東京、戸建て、庭付き、床暖房付き、三階建て。

ここ8人は住めるやんって思うくらい広かった。

そこでピザを食べた。
家族みんな、耳を残す。

なんで耳食べないんですか?
と聞くと、
ん〜なんか『持つところ』って思っちゃうんだよね。と。

彼氏だけじゃない。お父さんもお母さんも、残す。

なんならトーストの耳も残す。最後の『持ってたところ』だけ残す。

そんな彼氏と5年ほど付き合っていて、
ご家族とも仲良くさせていただき、
いつのまにか私にも『持つところ』の認識が定着してしまった。

ピザは極力食べたくない

そんなこんなで、彼と別れて5年以上経った今でも、ピザの耳が食べられない。

トーストの耳は克服したのだが、ピザだけはいまだに食べられない。

食べようと思えば食べられるのだが、『生理的に無理』というやつで、口に入れると気持ち悪くなってしまう。

そもそも『持つところ』の認識はパン類に対してはないし、パンは普通に食べ切れる。

ピザだけがどうしてもダメなのだ。

本当に行儀が悪いし、そんな現場を目撃した日にはなにそれ無理!嫌い!と思うタイプの行動を自分がしてしまっていることが本当に嫌で、

なるべくピザを食べない生活を送ることになった。

出前といえば、ピザ!
という感じだろうが、うちの会社で出前を取るときはピザは絶対取らない。

マックの宅配とか、ガストの宅配とか、寿司とか、そういうのに逃げる。

どうしてもピザになってしまった時は、泣きながら食べるか、こっそりPさんに食べてもらう。

事情を理解しているPさんはいつも『お前本当ねーよ』と怒りながら私の残した耳を食べてくれる。

私も本当ねーよと思うよ…ごめん。

今思えば、お金持ちだから耳を残す…って訳ではなくて、そういう習慣の人たちだったと思うし、

その元彼氏のことも、家族のことも、今でもとても感謝しているし、すごくいい人たちだったと思ってる。

ただただ、若い頃の自分がいかに『人に流されて生きてきたか』が、グサグサと突き刺さって痛い。

ピザを見るたびに、この事実を突きつけられているようで、本当に泣きそうになる。

だから、ピザは極力食べたくない。
自分のダメなところは十分理解したから、もう許してほしい。

何が言いたいかというと、

人に流されずに生きたい。

ってことです。


もうすぐ32になります。

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