刀剣乱舞を知らない人向けの、「映画刀剣乱舞」の感想(ネタバレなし)
2.5次元に全く興味がない人が、ツイッターの勢いに押されて見に行きました、「映画 刀剣乱舞」!
やー、面白かったです!頭の切り替え方にコツが必要ですけど、綺麗に切り替えたら大変楽しめます!!
ということで「刀剣乱舞」を知らない人向けに「映画 刀剣乱舞」面白いよという話をしてみます。
ちょっと遅い気もしますけど、審神者の皆様が頑張ってるおかげで上映期間延びてますのでね!もし気になる方がいたら是非見に行っていただきたいという気持ちを込めて!
「刀剣乱舞」の原作を知らない人でも、以下の条件に当てはまるならこの映画は間違いなく楽しめます。
・特撮が好きな人
・チャンバラ全開の時代劇が好きな人
「そんなこと言われても「刀剣乱舞」のゲーム知らないしな〜。プレイしたこともないしアニメも舞台も見たことないし〜。いきなり映画に行っても話わかんないでしょ〜?」っていう人も心配無用です。
原作の「刀剣乱舞ーONLINEー」には、そもそもきちっとしたストーリーがありません。
「西暦2205年、時の政府は過去へ干渉し歴史改変を目論む「歴史修正主義者」に対抗すべく、物に眠る想いや心を目覚めさせ力を引き出す能力を持つ「審神者」(さにわ)と刀剣より生み出された付喪神「刀剣男士」(とうけんだんし)を各時代へと送り込み、戦いを繰り広げる。」(ウィキペディアより引用)
ゲームはこの設定と、キャラの性格がわかる会話があるだけ。
私も映画終わってからゲーム始めてみましたけど、マジでストーリーらしいストーリーがない。
「ゲームは出汁。アニメ映画舞台はそれを材料にした懐石料理」って言ってた人がいましたけど、本当にその通りだった。
なので「映画 刀剣乱舞」は他の舞台、アニメとは一切リンクがありません。俳優さんは舞台から引っ張ってきていますが、そちらの舞台の話ともお話自体は全くの別物です。映画だけで完結しています。
よって映画が初「刀剣乱舞」だよって人も全く問題なく見られる作りになっています。
以下は「刀剣乱舞」知らないよ〜って人がこの映画を楽しむコツとか楽しめるポイントとかです。
この映画は「歴史戦隊 刀剣ジャー」である。
こう思って観ると、「刀剣男士(人の姿を与えられた刀はこう呼ばれます)」の違和感がほぼなくなると思います。
奇抜な衣装も髪の色も、顔出してる特撮だと思えばいいんです。実際彼らは人外の存在なので、「人外の存在がタイムパトロールにやってきた話だな」という理解で概ね間違ってないです。
改変を阻止しないといけない歴史側も、秀吉役に八嶋智人さん、信長に山本耕史さんを起用しており、歴史上の登場人物サイドの演技が「ガチの大河の一場面なのかな?」っていうレベルになってます。特に秀吉の狂気の演技が凄まじい。「あ、この一瞬で狂った(本人も自覚してなかった本性が出てしまった)なこの人」って明らかにわかる。背筋がゾッとしました。八嶋さんすごい…。
そのガチ大河の改変を阻止しようと男士達が未来から送り込まれてくる特撮なんやな〜特撮のスーツの代わりにこの刀剣ジャー達はファンタジーな派手派手着物着てるんやな〜っていう感じで鑑賞すれば、この映画を楽しむ分には支障がないと思います。
そう、男士達の格好は浮いてても問題ないんです。なぜなら特撮だから。
原作ゲームは女性向けだけど、映画本編に恋愛要素・メロドラマ要素はゼロ。
『「刀剣乱舞」って女性向けのイケメンに囲まれるゲームでしょ〜男性が見るにはちょっと〜』って人もいるかなと思って、この項目を追加しました。
ゲームではプレイヤーに当たる、刀剣男士達を顕現させて過去に送り込む能力を持った、男士たちに「主」と呼ばれて慕われる審神者(さにわ)は、この映画ではおじいちゃんです。顔もほぼ映りません。
よって、恋愛要素ありません。妙齢の女性は一切出てきません。
(入浴シーンは一応ありますけど、お色気を期待するとがっかりするよ!!!)
刀剣男士達も任務を遂行していくプロとして描かれていますし、あの人たちそもそも刀なので女性の色仕掛けに迷ったりする余地ないよね…。
ヒロイン枠は…強いて言うなら刀剣男士の骨喰君(白い髪の子)ですかね…。
「シン・ゴジラ」もそうなんですけど、メロドラマ要素を排除したことによって、映画の心地いい緊張感が最後までノンストップで楽しめる構成になっています。
なお、織田信長、豊臣秀吉陣営も女性は一切出てきません。そっち側のメロドラマ要素もないです。これは単純に尺の都合と、話がややこしくなるからかな…。
殺陣がすごい。
元々舞台の刀剣乱舞で男士を演じている俳優さんを引っ張ってきてるだけあって、チャンバラシーンの迫力がすごいです。若手の俳優さん8人が披露する大迫力の殺陣シーンだけでも見る価値あると思います。「実写でアニメより迫力あって美しい殺陣はじめて見たかも…」ってなりました。殺陣に詳しい人ならきっともっと楽しめるのではないかなと思います。
ストーリーが良質の時代劇エンタメしてる。
脚本を担当した小林靖子さんが語っていたことなんですが、「歴史を守るために、歴史上の人物を歴史通りに殺さないといけない」というのが「映画刀剣乱舞」が他の「歴史を守るタイムパトロール系の映画」と違うところであり、これがこの映画のギミックのキーになっています。
映画は織田信長が休んでいた本能寺が燃やされるシーンから始まり、本能寺で死んだはずの織田信長が敵の時間遡行軍の手に落ちて生き延びていた!ここからどうにかして織田信長を表舞台に出さないまま葬り去って、狂った歴史を正しい流れに戻さないといけないぞ!あれ、でもリーダー格の三日月宗近の行動がおかしいぞ…?という展開になります。
で、「刀剣乱舞」でしか使えないギミックを使って、この謎が二転三転していくのです。ジェットコースターみたいな展開にハラハラドキドキして、オチがわかると本当によくできたトンデモ時代劇エンタメだわこれは!ってなります。
なお、「慕っていた主人を殺さないといけない、だけど殺したくない、どうしよう…」ってウジウジ悩む男士はこの映画にはいません。(ちょっとメンタルやられる男士はいるけど、彼は早い段階で戦線を離脱します)。
皆歴史を守るプロとして動いてます。
「慕っていた主人を〜」っていう葛藤はぶっちゃけ他のメディアミックスで見た(私が他に見たメディアミックスはアニメの花丸1期・活劇途中までですがどちらもそれがテーマで絡んできた)から映画でまで見たくないな〜尺無いし暗くなるし〜って思ってたので、プロとしてプロの仕事をきっちりやる男士達が見られたのは純粋に楽しかったです。必殺仕事人とかあっちの感じ。
最後に
なんでわざわざ未視聴の人向けにこんな記事書いたかと言うと、「時代劇好きの人にも観に行って欲しい」と思うからです。というのも、この映画、多分邦画の時代劇では近年ありえないくらいの興行成績を叩き出しているのと、「映画 刀剣乱舞」つまり「トンデモエンタメチャンバラ時代劇」が「邦画で金になる」と認識されれば、時代劇業界が活性化するのではないかなと思うから、です。
映画監督さん、多分そこを狙ってこの映画作ったような気がするんだよなあ。
実写版刀剣乱舞、時代劇映画で若手俳優を養成するのにうってつけなんですよね。
若いイケメン俳優を特撮戦隊方式でたくさん出せるから彼らの育成もできるし…(少なくとも人気の高い幕末は確実にもう一本作れると思う)。時代劇で若手俳優を養成できる場所って、テレビだともう大河ドラマくらいしか残ってないと思うんですよね。水戸黄門も終わっちゃったし。
ちょっと前にるろ剣の実写版がヒットしましたけど、るろ剣も原作があるので作れる映画の数に限りがあるし。
刀剣乱舞はこの原作縛りがほぼないんですよね。
原作の話の制限もない(審神者がいて本丸がありますよって設定と台詞からうかがえる男士の性格をある程度守れば、話はどう展開してもよい)し、男士もたくさんいるので若手俳優をどんどん投入できる。これを起爆剤に、邦画の時代劇を活性化したいという思惑があるんじゃないかなあ、と思った次第で。
その辺のあれこれを除いても、1800円でお釣りが来る面白さだと思います。
スカッとしたい男性の方にも大変おすすめですので、ぜひ劇場に足を運んでみてください。
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