新型コロナ対策で検査が重要な理由

新型コロナ対策の鍵はとにかく見つけることで、PCR検査は少なくとも他の検査より高精度だから、事前確率が何であろうとさっさと検査する方が結果的に偽陽性偽陰性は減ります。見つけなければ偽陰性偽陽性を大きく超える真の感染者が生まれてしまうので、検査しない手はありえない。それだけの話です。

そもそもPCR検査は、特異度はきわめて高く99.99%以上の水準で、感度も70%で低いとはいえず、有病率が低くても検査対象の軽く99%以上は正しく陽性陰性が判定できる。PCR以外でこの精度で判定するのは至難の業だから、PCRをいかに回せるかで感染防護や収束までの効率が決まる。

PCR検査を絞って他の検査を使っても、特異度はPCR以下だから偽陽性が増えるし、感度もPCRに届かないので見逃し(偽陰性)も増える。検体採取時間もPCRは5分程度で短い部類で、患者への侵襲も相対的には少なく、検査コストや手間も自動化で低減の余地がある。だから大規模スクリーニングでも活用されている。

検査せずに市中の軽症者や無症状者の拡散を許すと、感染者数はゆっくりとはいえ指数関数的に増える。2週間で2倍など。重症者数と死亡者数もこれに比例する。どんな医療資源も、2週間で2倍の速度では増やし続けられないから、感染拡大を放置すると、いつかは必ず医療崩壊が起きる。

これを止めるためには、「感染者」と「非感染者」の接触をとにかく減らすことが必要で、感染者は感染者の周辺に特に現れやすい特徴がある。だから感染者の周辺を徹底的に一気に検査できる体制を維持することが、収束への近道となる。これをしないと大規模自粛が必須になる。だから検査は最重要の道具。

いったん市中感染が起き始めたら、経路不明の感染連鎖も継続することになるので、広範囲のスクリーニングで拾い上げる必要がある。検査の網が広いほど、市中感染が大規模に広がる前に見つけられる可能性が上がるから、ここでも検査規模は重要になる。感染症対策は感染連鎖の拡大との時間勝負になる。

だから、報奨金を与えてでも、検査費用を無料にしてでも、プール検査や下水検査を活用してでも、広く網を張って早期に感染者を見つけることがとにかく重要になる。これが、諸外国がPCR検査に必死になっている理由となる。

ちなみに日本のクラスター対策は人手不足で、感染連鎖が広がってしまった後では真の能力の発揮が難しくなる上に、専門知識が要るのですぐに人材を育成することができない。一方でPCRは民間活用等で規模拡大の余地があるため、クラスター対策成功のためにも、感染連鎖初期の感染者検出が超重要となる。

一定程度の新規感染が続くなら検査しなくても良いかというとそれも違う。なぜなら2週間で感染が2倍になるなら一定を維持するためには2週間で感染機会を半分にしていく必要があるためだ。結局いつかは完全自粛に収束する。そもそも人口の大多数が未感染だから無駄が多い。検査なしの収束はありえない。

PCR検査抑制論の問題点の詳細については、以下の記事を参照されたい。


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