PCR検査抑制論は完全な泥船

PCR検査抑制論は完全な泥船だから、早く捨てない人ほど損をする。世界規模のパンデミックの最中に、精度の高さで知られるPCRを、偽陽性偽陰性事前確率を持ち出して数か月間も叩き続けて検査数も全然伸ばさなかったのは、日本の医療史に残る黒歴史になることは確実だから。

さて、この泥船にこの期に及んで専門家分科会が堂々と乗ってしまったわけですが。根拠も示していないので沈む船であることに変わりないです。PCRの原理とか複数国での高い検査精度とかは偉い人が口先で否定しても変わることはないからです。それが科学的事実というものです。

コメント 2020-07-07 090752

ベイズの定理とか事前確率とかを持ち出して「仮に」特異度99%であるなら偽陽性が大量に出るうんぬんかんぬんみたいな話が理解できる医師や理屈好きは多数いるけれども、それでは本当の特異度は何か?ってところまで頭が回らない人が多いのが問題なのだから、本来はそこが専門家の出番のはずなんです。

確かに感度や特異度が高くない一般的な検査ならそうだけど、PCR法はSARS-CoV-2に特有の遺伝子配列のみを数百万倍に複製して検出するから、特異度は超高くてたぶん99.99x%の水準で、わずかな遺伝子も複製して検出するから感度も高いんですよ、だからガンガン活用しましょうね、と言わなければならない。

それが専門家もPCR特異度99%デマに乗っかって「もっと特異度が低いかもしれないが高めに見積もって99%とすると」みたいなアホなことを言ったら、ちょっと計算できる人は「それなら偽陽性がめっちゃ出て臨床では使い物にならんやんけ、どんなに推奨されても手は動かしてやらんぞ」みたいなことになる。

ここに100回に1回は間違えるひどい検査があるんですけど、何でみんなやってくれないんですかねえ、何が本当の問題なんですかねえ、みたいな事を言ったってそんなの誰がどう見ても明らかで、ひどい検査だっていうデマをまず払拭してから言いなさいよという話でしかないんですよ。

仮に特異度99%の検査を事前確率の低い集団に使えば偽陽性が大量に出るっていうのはそうだけど、じゃあ特異度がめっちゃ高いPCR検査だったらどうなるの、というのが現実的に考えなければならない問題で、精度がPCRより低い検査を使えばどうなるとか、そもそも検査しなければどうなるとかも考えるべき。

それらを落ち着いて考えれば、たとえ事前確率が低い集団であっても変に検査を絞ったり小細工したりすると、むしろ偽陽性や偽陰性が増えていろいろ被害も大きくなるから、ゴチャゴチャ言わずにスムーズにPCRを回せる仕組みを整えるのを頑張った方が良いという結論になる。

だいたい特異度99%なら偽陽性率1%になるから、日本でも外国でも陽性率が1%や0.1%以下が続いている地域が多数ある時点で全く現実に即していないし、偽陽性を出さないように細心の注意を払った上に低い偽陽性率を実現している医療関係者の方々をバカにしている。理論も現実も見えていないことになる。

だから何度でもいうけどPCR精度低い論とかPCR特異度99%論みたいなデマは徹底的に害悪でしかないんですよ。根拠のない数値を振りかざして偽陽性偽陰性の害を語るなど、反科学の最たるものでしかない。実際、日本以外でPCRの精度を問題にしている専門家はいないし、いても陰謀論者ばかりなんですよ。

そもそもPCR検査の感度と特異度が低いなら、プール検査(複数の検体をまとめて検査する)っていう発想は出てこないんですよ。感度が低ければまとめて検査したところで偽陰性になって野放しになる感染者が更に多くなるし、特異度が低ければプール検査なんかすれば偽陽性がさらに大量に生み出されてしまうから。下水検査なんかも同じ。

諸外国ではすでに活用されているプール検査みたいな有用な知見も入っているかと思えば、特異度99%デマみたいな話も未だに入っているところを見ると、新しい専門家分科会とやらも決して一枚岩ではなく、大抵の組織がそうであるように、優秀で良識ある人もいればどうしようもない人もいるってことです。

コメント 2020-07-07 092856

PCR抑制論者は、たとえ陰性であっても検査後に感染する可能性があるから陰性確認には意味がないみたいなことを言ったりするけど、人口の大部分が非感染だから、ある時点で陰性だった人が次の日にも未感染である可能性は高いから、やっぱり陰性確認には意味があることになる。

ちなみにPCR検査の方法と意義については、3月の時点でこちらの記事によくまとめられていて参考になります。

PCRの検体採取に慣れている人がいないとか、検査にアクセスしづらい地域や医療機関があるとか、疫学調査に集中するべき保健所が検査や受診調整や電話に忙殺されているとかは、それはそれで解決しなければならない問題であって、PCR検査自体の問題ではないから、PCRを叩いたところで何も解決はしない。

そもそも検査をせずに感染が蔓延すれば、たとえ有症者を全員断っていてもいずれはどの医療機関も無症状感染からの院内感染にやられるので、検査でこれを回避できる可能性は上がるけれども、検査せずに永遠に回避しつづけることはできないから、PCRを叩くことは医療関係者や患者の利益にもならない。

PCRは不要だ、と医療関係者自身が言い続けていれば、予算もなかなか拡充はされないし、内部にも抵抗者ができるし、人員も増員されないし、地域のPCRセンタも作られる可能性がなくなるし、検査の手間を省きミスを減らす自動検査機の導入も遅れるしで何も良い事はない。抑制論は医療の敵でしかない。

PCR検査抑制論を捨てなければならない理由は、以下の記事に続きます。


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