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データで見る、日本の新型コロナ蔓延の現状

日本と収束国の状況を比較していく。
まず人口100万人あたりの新規感染者数と、陽性率
日本は新規感染も多く陽性率も高めのオレンジになっている。縦軸は対数軸なので日本は収束に近い各国よりも桁違いに新規感染者の発生率が高い上に上昇傾向が続いていることがわかる。

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人口100万人あたりの死亡者数。オーストラリアは一時期感染爆発していたが、最近はほぼ収束できていることがわかる。このグラフも縦軸は対数軸なので、日本は収束に近い各国よりもやはり桁違いに多いことになる。しかも増加傾向にある。中国の少なさはすごいともいえる。

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1人の陽性者あたりに何件の検査をしているか。収束国は軒並み、1人の陽性者を見つけるために、日本よりずっと多くの検査をやっていることがわかる。これも縦軸は対数軸なので、上位の国々は陽性者数に対して日本より桁違いに多くの検査をやっていることになる。

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検査陽性率。陽性者に対する検査数が少ない日本は、検査陽性率も収束に近い各国よりも高い値で推移することになる。収束国の中では韓国は陽性率が上がりつつあるように見える。台湾は市中感染ゼロが220日以上続いているので、陽性率が高めなのは空港検査陽性の影響だろう。

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人口1000人あたりの検査数。収束国は大抵日本よりかなり多いが、韓国は日本と大差なく、そのためか陽性率も他の国々よりも高くなっている。市中感染が広がっているのに検査数が追いつかなくなっている国ほど、収束国のグループから脱落していく傾向があるのだろう。

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陽性者致命率。中国は武漢の件があるから高いままだけど、日本も武漢ほどの感染爆発がなかったにも関わらず当初は高かったようだ。重症になるまで検査しない方針が影響していたか。そして日本は感染者が他国比で多いにも関わらずじわじわ下がってもいる。現場は優秀なのだろう。

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人口あたりではない死亡者数推移。人口差があるといっても日本は突出している。一時は山ができていたオーストラリアは収束している。韓国は収束国の中では相対的には苦戦しているともいえる。しかし日本は急激なうなぎのぼりとなっていて、心配になる。

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ここまでざっくりまとめると、日本は収束に近い国々よりも、新規感染者数も陽性率も人口あたり死亡者数も多くなっているだけでなく上昇傾向になっていて、検査は桁違いレベルに少ない状態が続いている。検査数が少な目で陽性率が高めの韓国も苦戦しつつある。日本は検査抑制などしている場合ではない。


人口あたりの検査数。検査数自体は収束国でも日本以下の所も多く、検査数を増やさなくても収束できるという誤解が生じ得る。しかし検査数が少なくて済んでいる国は検査陽性率が低く陽性者1人あたりの検査数も多いので「そもそも蔓延国ほど検査をしなくて済んでいる」だけだ。

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同様の話に、欧米は検査数を大量に増やしても感染爆発しているではないかという誤謬があるが、それがなぜ間違っているかというと、蔓延国は検査が多くてもそれ以上に感染者が多く新規感染数も陽性率もなかなか減らないためで、検査数が感染増加に間に合わなかったということ。


引き続き収束国以外も含む国際比較データも見ていこう。
まず1人あたりGDPと人口1000人あたりの検査数。日本はGDPは高めの右側にいるのに検査数は圧倒的に少ないことがわかる。お金はあるのに途上国並みの検査数で済まそうとするケチで愚かな作戦を取り続けているということ。

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日本で気を付けなければならないのは、収束国より陽性率が高めになりつつあることで、陽性率は高ければ高いほど検査の見逃しも多くなると推定される。各種モデルの感染者推定値はいずれも発表されてる陽性者数より多くなる。報道される感染増減は氷山の一角であるということ。

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1人あたりのGDPと100万人あたりの死者数。GDPが高いほど死者数も多くなりがちに見えるが、GDPが高い右側でも下の方にいる国々は検査陽性率が低く新規感染者も少ない国ばかりであることに注目する。日本は右下の中では多い方である。左下は単に検査ができてない可能性がある。

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陽性者累計数と死者数。当然ながら感染者が増えれば増えるほど死者数が増える。しかも両軸が対数なので、どちらも桁違いに増えることがあるということ。日本も右上に向かいつつある。そして斜めの線は陽性者致命率(CFR)であるが、検査が足りない国ほど左上に寄り、高くなる

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国の年齢中央値と陽性者致命率。COVID-19は高齢者ほど致命率が高いが、右側の高齢国でも極端に高い致命率になっていない。高齢国ほど医療水準が高かったり検査で感染抑止できるためCFRも抑えられるためだろう。丸が小さい割にCFRが高い国は検査が間に合っていないと思われる。

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累計陽性者数に対する累計検査数陽性者数が増えるほど検査数も増やさざるを得なくなる。斜めの線は検査陽性率だが、検査数が多くても陽性者が多い右上は陽性率が下がらない。左上は検査が多いのに陽性者が少ない優秀な国である。検査をケチらなかった国は蔓延も防いでいる

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人口あたりで見た、陽性者数と人口当たりの検査数。さきほどの図と大きな傾向は変わらない。陽性率が高いほどコロナ対策は苦戦することになるので、右下になるのは何としても避けなければならないが、日本は左下の途上国に近い位置にいる。上を目指すには検査数が必要である。

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直近の100万人あたりの陽性者数と検査数。左上の収束国は十分な検査数で陽性率を抑え込んでいることがわかる。同様の検査数でも、陽性者数の方が先に増えてしまった右上の国々は、陽性率も下がらず苦戦していることになる。感染者は早期に洗い出せた方が良いという話である。

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100万人あたりの累計陽性者数陽性者あたりの検査数。下に行くほど陽性率が高く検査が足りていないことになる。2週間程度の推移を表示させたら、多くの国は陽性率も高く感染者数も多い右下に押し流されていっているのがわかる。左上に踏みとどまっている国は、優秀である。

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