一番相応しい場所

弟から個展の案内状が届いた。

「メディアに載りにくい絵」
と本人も自負している、写真や印刷物では全く分からないナゾな絵。

今年は、なぜか封を開けた途端に

『わぁ。。(´⊙ω⊙`)』
って なった。

それは一日も休まず絵に向かい続けた、時間そのものだった。

印刷物の中に、ある美術館学芸員さんの講評が入っていた。

『時間をかけて対峙することが必要な特徴ゆえに、インパクトのある見た目を重視しがちな昨今の美術界において、彼の作品は理解者に巡り合うことは容易ではないのかもしれない。だが、継続によって裏付けられた強靭な作品世界は、美術の中の真摯な問いを描き続けている』

弟は、この講評を頂いた時にたいそう喜んで私に見せ、父母の仏壇にも供えていた。

父と母が生きているうちに見てもらいたかったのだと思う。

個展のため家を留守にする弟の代わりに毎年実家に行っていて、何年も彼の個展に行っていない。
今年は、ゆっくりと画廊で時間を過ごすことが出来る。

それでも、おそらく弟の絵が一番相応しいのは、彼のアトリエなのだと思う。

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