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ラベンダー

保育園の送り迎えのとき必ず通る道の、必ず信号に引っかかる交差点がある。その角にある花壇にいつもラベンダーが植わっている。
ラベンダーはハーブだけど何年も経つと木みたいになってくる。その花壇のラベンダーも木みたいになっていて力強い。よく茂るのでよくカットされているが、しっかり伸びてまた季節になると花を咲かせている。

信号が赤になり片足で地面を踏ん張って重いママチャリを支える。後ろのシートから子どもが絶えず話しかけてくる。帰ったら洗濯まわして、あれしてこれして、お昼はあの残り物を食べるとして…と忙しない朝に、フワッとラベンダーの香りがする。鼻を近づけなくても、自転車に乗ったままでも香るのだからすごいなと毎回思う。

管理しているのは奥の建設事務所の人だろうか?
毎日毎日このラベンダーに癒やされていること、いつか手紙に書いて渡そうかしら?
手紙をもらって嬉しいだろうか、手入れをしている甲斐があると思うか、はたまた今後も育てていかなければとプレッシャーを感じるだろうか。

そんなことを考えている間に信号が青になり、今日も何事も起こらないまま自転車を漕ぎ出す。

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